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少なくとも今までよりは人間らしい生活を
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「…………ん……」
窓のカーテンから射し込む光で目が覚めた零斗。なんだか身体を固定されている上に近くで寝息が聞こえる。
隣を見ると、無防備な寝顔を晒して、零斗の身体を捕まえて足を絡めている。
どうりで体が重いわけだった。
昨夜は朝方頃になってやっとライアが眠いと言い出して、しかし汚れたままというのもいけないので、風呂に入れた。
髪を乾かしていると、ライアは気絶するように急に眠ってしまった。それから彼をベッドへ運び、寝かせると、零斗も自分のベッドに横たわり、眠りについたのだろう。
……何故ライアが移動している?
自分のベッドに寝かせたはずなのだが。
まあ、恐らくはライアが来てしまったのだろう。
時計を見れば、昼の1時過ぎを指している。
まあ、眠ったのが夜中だったから仕方が無い。
「……ライア。起きて」
ライアの肩に手を乗せてゆさゆさと揺さぶる。
「……んん……」
するとライアはシーツを引っ張って、そのまま零斗を背を向けてくるまってしまった。
布団を取られた形になっている。
零斗は苦笑いを浮かべながらライアの頭を撫でる。
「…身体は大丈夫か?痛くないか?」
「………別に…慣れてるし…、ていうかさ。」
不意に、髪をなでている手を軽く叩かれた。
「これ、止めて。俺はガキじゃないんだからさ…」
「?、ああ」
言われて手を離す零斗。
昨日は撫でられて号泣していたとは思えないくらいの素っ気ない対応に、寝起きで機嫌が悪いのかと思った。
が、まあ、いつもの事である。
ライアは俺の家に来た時からこんな調子で冷静な時は媚びようとしないし甘えようとしない。
錯乱していなくても触れれば拒否するし、様々な事を面倒くさいと言うし、ついでにやんわりとした嫌味のおまけ付きだ。
言えば、上から目線なのである。
普通、ああいう施設にいれば逆に自分を守るために従順になって奉仕する体制が抜けないか、無関心になってしまうかで、今のライアとは程遠いのではないのかと思う。
「……零斗、お腹空いた……」
ふとライアがそう言った。
「ん?あぁ。今から用意する。ライアはゆっくりしていてくれ」
そう返せば、何故か溜息が聞こえた。
「……退屈になる」
「……本でも読んで待つか?それとも…手伝う?」
ライアは起き上がって、髪の毛を手ぐしで整える。
「……お前の料理、見に行く…本渡されても読めないし……」
「あ……そうだったな。悪かった」
「別に…」
後者は無いだろう、なんて安直に予想したが、考えれば、言葉は分かっていてもライアは読み書きをした事がない。
読めない文字の羅列を目にしても退屈になるだけだろう。
……基本の知識だけでも植えて置かないと駄目か……?そうでないと、ライアが将来困る事になる。
いくら昔よりは治安は言いとしても、変な書類に騙されることだってある。
零斗は少し考えて、結論を出した。
ライアの様子を見ながらだが…1週間後位には家庭教師を雇おうか。素人が教えても分からないだろう。それなら、専門の方がいい。
「……なぁ、ライア」
「……ん…、何」
「俺以外の人間と、接触出来たりしそうか?」
「別に……普通に出来るけど。……なんで?」
「…文字が読めないと色々困るからな。教えてくれる人を雇おうかと思って」
ライアは興味薄そうに、ふぅん、と返事をした。
「まあ、別にいいんじゃない…?」
「そうか。明日明後日と急ぐ気は無いから、まだ期間はあるが……承諾してくれて嬉しいよ。ありがとう」
「……それより、お腹空いた……ご飯早く作ってよ……」
「あ。そうだったな。悪い悪い」
苦笑いを浮かべながらそう言うと、零斗はシャツを着て、台所へ向かう。
ライアも服を着て台所へ向かった。
窓のカーテンから射し込む光で目が覚めた零斗。なんだか身体を固定されている上に近くで寝息が聞こえる。
隣を見ると、無防備な寝顔を晒して、零斗の身体を捕まえて足を絡めている。
どうりで体が重いわけだった。
昨夜は朝方頃になってやっとライアが眠いと言い出して、しかし汚れたままというのもいけないので、風呂に入れた。
髪を乾かしていると、ライアは気絶するように急に眠ってしまった。それから彼をベッドへ運び、寝かせると、零斗も自分のベッドに横たわり、眠りについたのだろう。
……何故ライアが移動している?
自分のベッドに寝かせたはずなのだが。
まあ、恐らくはライアが来てしまったのだろう。
時計を見れば、昼の1時過ぎを指している。
まあ、眠ったのが夜中だったから仕方が無い。
「……ライア。起きて」
ライアの肩に手を乗せてゆさゆさと揺さぶる。
「……んん……」
するとライアはシーツを引っ張って、そのまま零斗を背を向けてくるまってしまった。
布団を取られた形になっている。
零斗は苦笑いを浮かべながらライアの頭を撫でる。
「…身体は大丈夫か?痛くないか?」
「………別に…慣れてるし…、ていうかさ。」
不意に、髪をなでている手を軽く叩かれた。
「これ、止めて。俺はガキじゃないんだからさ…」
「?、ああ」
言われて手を離す零斗。
昨日は撫でられて号泣していたとは思えないくらいの素っ気ない対応に、寝起きで機嫌が悪いのかと思った。
が、まあ、いつもの事である。
ライアは俺の家に来た時からこんな調子で冷静な時は媚びようとしないし甘えようとしない。
錯乱していなくても触れれば拒否するし、様々な事を面倒くさいと言うし、ついでにやんわりとした嫌味のおまけ付きだ。
言えば、上から目線なのである。
普通、ああいう施設にいれば逆に自分を守るために従順になって奉仕する体制が抜けないか、無関心になってしまうかで、今のライアとは程遠いのではないのかと思う。
「……零斗、お腹空いた……」
ふとライアがそう言った。
「ん?あぁ。今から用意する。ライアはゆっくりしていてくれ」
そう返せば、何故か溜息が聞こえた。
「……退屈になる」
「……本でも読んで待つか?それとも…手伝う?」
ライアは起き上がって、髪の毛を手ぐしで整える。
「……お前の料理、見に行く…本渡されても読めないし……」
「あ……そうだったな。悪かった」
「別に…」
後者は無いだろう、なんて安直に予想したが、考えれば、言葉は分かっていてもライアは読み書きをした事がない。
読めない文字の羅列を目にしても退屈になるだけだろう。
……基本の知識だけでも植えて置かないと駄目か……?そうでないと、ライアが将来困る事になる。
いくら昔よりは治安は言いとしても、変な書類に騙されることだってある。
零斗は少し考えて、結論を出した。
ライアの様子を見ながらだが…1週間後位には家庭教師を雇おうか。素人が教えても分からないだろう。それなら、専門の方がいい。
「……なぁ、ライア」
「……ん…、何」
「俺以外の人間と、接触出来たりしそうか?」
「別に……普通に出来るけど。……なんで?」
「…文字が読めないと色々困るからな。教えてくれる人を雇おうかと思って」
ライアは興味薄そうに、ふぅん、と返事をした。
「まあ、別にいいんじゃない…?」
「そうか。明日明後日と急ぐ気は無いから、まだ期間はあるが……承諾してくれて嬉しいよ。ありがとう」
「……それより、お腹空いた……ご飯早く作ってよ……」
「あ。そうだったな。悪い悪い」
苦笑いを浮かべながらそう言うと、零斗はシャツを着て、台所へ向かう。
ライアも服を着て台所へ向かった。
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