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7. 不思議な不思議な生き物
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明るい部屋の中で目を覚ます。
(生きているのか……?)
手を動かしてみるが動く。身体を起こす。自分の身体を見る。特に変わった様子はないようだ。服も着たままである。近くにいるシルバーはまだ眠っているようだ。
「気がついたようじゃの~」
「ん?」
声の方に顔を向ける。そこには一人の老人がいた。真っ白な短髪で、鋭い眼差しをしている。どこか威厳を感じさせる雰囲気を持っている。年齢は60歳くらいだろうか。白衣をまとっており、その手に握られているのは分厚い本であった。彼はこちらに歩み寄り話しかけてきた。
「はじめまして、ワシの名はユキナリ。君の名前は何というのかな?」
「僕は京太といいます」
「おぉそうか、君の名前はキョウタというのか」
そう言って椅子に腰掛けた。僕にも座るように促した。彼の言葉を聞き、自分がなぜここにいるのか思い出そうとした。たしか、紫色のネズミの怪物に襲われ……。その後の記憶がない。
「あの、あなたが助けてくれたんですか? ありがとうございます。ところでここはどこですか?」
「ここはワシの研究所だ。ワシはこの世界の怪物について研究しているんじゃよ」
「怪物?」
「うむ。例えばこの子じゃな」
そう言われて老人の足元を見ると、そこには燃えさかる爬虫類の怪物がいた。
「この子は火を噴く怪物じゃ。愛らしい顔をしておるじゃろ」
「はい、可愛いですね」
「実は凶暴な性格をしておってな、油断すると大火傷をするぞ」
「え!?」
見た目はとても可愛らしく無害に見える。でも、もし暴れて火を噴いたら……、と思うと恐ろしい。
「他にはこんな奴もいる」
次は背中に植物が寄生した怪物が現れた。背中の植物から数本の触手を伸ばしている。
「この生き物は?」
「植物の怪物じゃな。毒ガスを出して獲物を弱らせる。触手を使って攻撃してくるから注意が必要じゃ」
「なるほど……」
「こいつは成長すると、光合成で集めたエネルギーを使ってビーム光線を出すようになる。危険な怪物じゃ」
(気持ち悪い触手だな……不思議な生き物だ……)
その後も様々な生物が紹介された。どの怪物も不思議な見た目をしていた。そして彼らは全てユキナリ博士の飼い慣らしているペットだということが分かった。
「ユキナリ博士はどういう研究をしているんですか?」
「ワシはこの世界の全種類の怪物について調べ、図鑑を完成させようとしているんじゃ」
「すごいですね……、あの、僕は草むらで怪物に襲われました。どうやってこの怪物たちを飼い慣らしているんですか?」
僕は気になって質問した。
「それはな、彼らの好物を毎日与え、愛情を持って接し、信頼関係を築くことが重要なのじゃ」
「すごい、本当に飼い慣らせているんだ……」
「キョウタも怪物を飼ってみるといい。慣れればきっと愛着が湧くぞ」
ユキナリ博士は笑みを浮かべて言った。
「怪物……ですか……」
そんなもの飼えるわけないだろ!と思ったが口には出さなかった。……しかし、僕たちの世界を救うための重要なヒントだ。過去に僕たちの世界を襲った怪物はこの世界の怪物たちだ。そうすると、僕たちがユキナリ博士のように怪物を飼い慣らすことができれば、争わずに済むのではないだろうか……。これからの対策について色々考えていると、シルバーが目を覚ました。
(生きているのか……?)
手を動かしてみるが動く。身体を起こす。自分の身体を見る。特に変わった様子はないようだ。服も着たままである。近くにいるシルバーはまだ眠っているようだ。
「気がついたようじゃの~」
「ん?」
声の方に顔を向ける。そこには一人の老人がいた。真っ白な短髪で、鋭い眼差しをしている。どこか威厳を感じさせる雰囲気を持っている。年齢は60歳くらいだろうか。白衣をまとっており、その手に握られているのは分厚い本であった。彼はこちらに歩み寄り話しかけてきた。
「はじめまして、ワシの名はユキナリ。君の名前は何というのかな?」
「僕は京太といいます」
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そう言って椅子に腰掛けた。僕にも座るように促した。彼の言葉を聞き、自分がなぜここにいるのか思い出そうとした。たしか、紫色のネズミの怪物に襲われ……。その後の記憶がない。
「あの、あなたが助けてくれたんですか? ありがとうございます。ところでここはどこですか?」
「ここはワシの研究所だ。ワシはこの世界の怪物について研究しているんじゃよ」
「怪物?」
「うむ。例えばこの子じゃな」
そう言われて老人の足元を見ると、そこには燃えさかる爬虫類の怪物がいた。
「この子は火を噴く怪物じゃ。愛らしい顔をしておるじゃろ」
「はい、可愛いですね」
「実は凶暴な性格をしておってな、油断すると大火傷をするぞ」
「え!?」
見た目はとても可愛らしく無害に見える。でも、もし暴れて火を噴いたら……、と思うと恐ろしい。
「他にはこんな奴もいる」
次は背中に植物が寄生した怪物が現れた。背中の植物から数本の触手を伸ばしている。
「この生き物は?」
「植物の怪物じゃな。毒ガスを出して獲物を弱らせる。触手を使って攻撃してくるから注意が必要じゃ」
「なるほど……」
「こいつは成長すると、光合成で集めたエネルギーを使ってビーム光線を出すようになる。危険な怪物じゃ」
(気持ち悪い触手だな……不思議な生き物だ……)
その後も様々な生物が紹介された。どの怪物も不思議な見た目をしていた。そして彼らは全てユキナリ博士の飼い慣らしているペットだということが分かった。
「ユキナリ博士はどういう研究をしているんですか?」
「ワシはこの世界の全種類の怪物について調べ、図鑑を完成させようとしているんじゃ」
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僕は気になって質問した。
「それはな、彼らの好物を毎日与え、愛情を持って接し、信頼関係を築くことが重要なのじゃ」
「すごい、本当に飼い慣らせているんだ……」
「キョウタも怪物を飼ってみるといい。慣れればきっと愛着が湧くぞ」
ユキナリ博士は笑みを浮かべて言った。
「怪物……ですか……」
そんなもの飼えるわけないだろ!と思ったが口には出さなかった。……しかし、僕たちの世界を救うための重要なヒントだ。過去に僕たちの世界を襲った怪物はこの世界の怪物たちだ。そうすると、僕たちがユキナリ博士のように怪物を飼い慣らすことができれば、争わずに済むのではないだろうか……。これからの対策について色々考えていると、シルバーが目を覚ました。
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