1 / 3
第1話 休憩
1-1
しおりを挟む
ここはとある星系にある惑星、アルデバラン。その衛星軌道上に、『スペース・ラブ』社が所有する宇宙ステーションがある。そしてこのステーションには、様々な星の生命体が働いている。
「おーい! そっちの作業終わったか?」
「はい、今終わりました!」
「そうか、ご苦労さん」
「いえいえ、仕事ですから……」
『スペース・ラブ』社は、主に宇宙旅行の斡旋を業務としている会社だ。
「それじゃあ、次の指示が来るまで休憩しててくれ」
「はい、ありがとうございます!」
ある者は船内の製造ラインで宇宙船を作り、またある者は宇宙船の整備をする。中には、他の部署へ手伝いに行く者もいる。
「ふぅ……今日も忙しいなぁ」
そんな彼らを見ながら、俺は1人呟いた。俺の名前は、佐藤京太。どこにでも居るような平凡な男さ。俺は現在、『スペース・ラブ』社でアルバイトをしている。まだ入ったばかりだが、それなりに楽しくやっているよ。
「それにしても、みんなよく働くなぁ……」
周りを見ると、皆真剣な表情で仕事をしている。その姿はとても格好良くて、とても輝いて見えた。俺も早く一人前になって、あんな風になりたいと思う。しかし、中々上手くいかないものだ……
「どうしたの? 京太くん」
俺がボーっとしていたら、隣の席に座っている女性が話しかけてきた。彼女は、同じ職場で働く女性だ。名前は、メイラというらしい。彼女は俺より3歳上の先輩であり、とても美人なお姉さんだ。俺とはあまり接点が無いのだが、こうして時々話しかけてくれる。
「いえ、何でもないですよ」
「そう? なら良いんだけどね」
彼女はそう言うと、自分の机に戻っていった。その後ろ姿を見て、思わずドキッとする。
(やっぱり綺麗だよなぁ……)
彼女の後ろ姿に見惚れながら、心の中で呟く。彼女と初めて会った時、あまりの美しさに一目惚れしてしまったのだ。それからというもの、彼女を見る度に胸がドキドキしてしまう。
「おい、何をやってるんだ?」
すると突然、背後から声をかけられた。振り返るとそこには、見慣れた先輩の姿があった。彼は俺の教育係でもあるため、いつも一緒に行動している。彼の名前は、カグラと言う。顔立ちは整っていてイケメンだし、性格も良い。なので社内の女性達からはモテていて、ファンクラブもあるという噂を聞いたことがある。
「いや、別に何もしてませんけど……」
「本当か? なんか怪しいぞ」
「ホントだってば!」
彼の疑いの目から逃れるように、慌てて否定する。まあ確かに少しだけ彼女に見惚れていたけど、決して変なことを考えていた訳じゃない。
「それより、そっちの仕事は終わったのか?」
「はい、ちょうど今終わったところです」
「そうか、お疲れ様」
カグラはそう言いながら、俺の頭をポンッと撫でてくる。俺は子供扱いされているようで恥ずかしかったが、同時に嬉しくもあった。
「それで次は、何の仕事をすればいいんですか?」
「そうだなぁ……とりあえず、休憩してこい」
「えっ!? いやまだ仕事が残ってますし……」
「大丈夫だ、あとは他の奴に任せればいい」
「そういう訳にはいきませんよ! ちゃんと最後までやり遂げないと……」
俺が必死に訴えかけると、彼は呆れた様子で溜息をつく。そしてそのまま立ち上がり、俺の腕を掴んだ。
「そんなこと言わずに、休憩してこいよ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
俺は引きずられるようにして、部屋の外へと連れていかれる。周りの人達が何事かという目を向ける中、俺は彼に抗議をした。
「なんで急に、休憩なんてさせるんだよ!?」「お前の顔を見りゃ分かるよ。働きすぎだ」
「いや、でも……」
「良いから休め。これは命令だ」
「うぐっ……分かりましたよ」
俺は渋々、彼の言葉に従うことにした。まあ正直言って、さっきから眠気が凄くて限界だったしね。
「よし、それじゃあ行くぞ。ついて来い」
「どこに行くつもりなんですか?」
「それは行ってみてのお楽しみだ」
「はあ……」
一体何処に連れていく気なのか疑問だったが、今は大人しく従うことにしよう。そう思いながら、俺は彼と一緒に部屋を出たのであった。
「おーい! そっちの作業終わったか?」
「はい、今終わりました!」
「そうか、ご苦労さん」
「いえいえ、仕事ですから……」
『スペース・ラブ』社は、主に宇宙旅行の斡旋を業務としている会社だ。
「それじゃあ、次の指示が来るまで休憩しててくれ」
「はい、ありがとうございます!」
ある者は船内の製造ラインで宇宙船を作り、またある者は宇宙船の整備をする。中には、他の部署へ手伝いに行く者もいる。
「ふぅ……今日も忙しいなぁ」
そんな彼らを見ながら、俺は1人呟いた。俺の名前は、佐藤京太。どこにでも居るような平凡な男さ。俺は現在、『スペース・ラブ』社でアルバイトをしている。まだ入ったばかりだが、それなりに楽しくやっているよ。
「それにしても、みんなよく働くなぁ……」
周りを見ると、皆真剣な表情で仕事をしている。その姿はとても格好良くて、とても輝いて見えた。俺も早く一人前になって、あんな風になりたいと思う。しかし、中々上手くいかないものだ……
「どうしたの? 京太くん」
俺がボーっとしていたら、隣の席に座っている女性が話しかけてきた。彼女は、同じ職場で働く女性だ。名前は、メイラというらしい。彼女は俺より3歳上の先輩であり、とても美人なお姉さんだ。俺とはあまり接点が無いのだが、こうして時々話しかけてくれる。
「いえ、何でもないですよ」
「そう? なら良いんだけどね」
彼女はそう言うと、自分の机に戻っていった。その後ろ姿を見て、思わずドキッとする。
(やっぱり綺麗だよなぁ……)
彼女の後ろ姿に見惚れながら、心の中で呟く。彼女と初めて会った時、あまりの美しさに一目惚れしてしまったのだ。それからというもの、彼女を見る度に胸がドキドキしてしまう。
「おい、何をやってるんだ?」
すると突然、背後から声をかけられた。振り返るとそこには、見慣れた先輩の姿があった。彼は俺の教育係でもあるため、いつも一緒に行動している。彼の名前は、カグラと言う。顔立ちは整っていてイケメンだし、性格も良い。なので社内の女性達からはモテていて、ファンクラブもあるという噂を聞いたことがある。
「いや、別に何もしてませんけど……」
「本当か? なんか怪しいぞ」
「ホントだってば!」
彼の疑いの目から逃れるように、慌てて否定する。まあ確かに少しだけ彼女に見惚れていたけど、決して変なことを考えていた訳じゃない。
「それより、そっちの仕事は終わったのか?」
「はい、ちょうど今終わったところです」
「そうか、お疲れ様」
カグラはそう言いながら、俺の頭をポンッと撫でてくる。俺は子供扱いされているようで恥ずかしかったが、同時に嬉しくもあった。
「それで次は、何の仕事をすればいいんですか?」
「そうだなぁ……とりあえず、休憩してこい」
「えっ!? いやまだ仕事が残ってますし……」
「大丈夫だ、あとは他の奴に任せればいい」
「そういう訳にはいきませんよ! ちゃんと最後までやり遂げないと……」
俺が必死に訴えかけると、彼は呆れた様子で溜息をつく。そしてそのまま立ち上がり、俺の腕を掴んだ。
「そんなこと言わずに、休憩してこいよ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
俺は引きずられるようにして、部屋の外へと連れていかれる。周りの人達が何事かという目を向ける中、俺は彼に抗議をした。
「なんで急に、休憩なんてさせるんだよ!?」「お前の顔を見りゃ分かるよ。働きすぎだ」
「いや、でも……」
「良いから休め。これは命令だ」
「うぐっ……分かりましたよ」
俺は渋々、彼の言葉に従うことにした。まあ正直言って、さっきから眠気が凄くて限界だったしね。
「よし、それじゃあ行くぞ。ついて来い」
「どこに行くつもりなんですか?」
「それは行ってみてのお楽しみだ」
「はあ……」
一体何処に連れていく気なのか疑問だったが、今は大人しく従うことにしよう。そう思いながら、俺は彼と一緒に部屋を出たのであった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説


淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。


悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話
水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。
相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。
義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。
陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。
しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる