異世界転生、お疲れさまでした!

ひぽぽたます

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第1話 異世界転生、お疲れさまでした!

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俺の名前は佐藤京太きょうた。トラックに轢かれて死んだのだが、転生して勇者となり、魔王を倒してこの世界を救った。そして俺は、そのご褒美として女神様から『叶えられることなら何でも一つだけ願いを叶えてあげる』と言われているのだ。

そこで俺は考えた。神様はよく『何でも願いを叶えてやる』とか言うけど、あれってどれくらいのことまで叶えてくれるのだろうか? たとえば、地球を支配したいとか言ってもいいんだろうか……?自分も神になりたいとか……、現実世界で女神様と同棲したいとか、結婚したいとか言ったらどうなるんだろう……?

すると女神様は大きく咳払いをした。

「ゴホンッ!」

「な、なんですか?」

「あのですね……あなたが今考えていることは分かりますよ……。私は神ですからね……」

「うっ……」

「まぁ私も人間だった頃がありましたし、そういう欲望はありますよね。だけどあなたの考えは非常にまずいのです。神になるということは世界を創造するということですよ。あなたはまだ神ではありません。だからそんな大それた願いはダメなのです」

「そうか~、残念だなぁ」

「私が叶えられる範囲内であればどんなことでも叶えられますよ」

「そうだな~、勇者は飽きたし、現実世界で魔王になってみたいかも。あと、できれば美人の女幹部や美少女の部下に囲まれてハーレム生活を送りたいな~なんて……」

「うーむ、なかなか難しい注文ですねぇ……」

女神様は困ったような表情を浮かべる。

「京太さんがやろうとしていることは、暴力団やマフィアのボスになっちゃおうっていうことでしょう? あまり褒められたものではないというか……、正直なところお勧めできないんですが……」

「えぇ~、どうしてだよぉ?」

「だって……、魔王を倒すために京太さんを転生させたんですよ?つまり、京太さんが現実世界で魔王になったら、今度は京太さんが倒される番になっちゃいますよ」

「うぐぅ……」

魔王をやってみたいという気持ちもある……。でも確かに女神様の言うことも一理ある……。う~ん、どうしたものかなぁ……。しばらく悩んでいると女神様が再び口を開いた。

「ではこうしましょう。京太さんの願いの一つ目である『魔王になること』は叶えられませんが、代わりに私の力で京太さんを現実世界でも勇者にしましょう。これならば問題ないと思いますよ」

「おお、それはありがたい! ぜひお願いします!」

「分かりました。それでは京太さんを現実世界に戻します。異世界転生、お疲れさまでした!」

女神様がパチンと指を鳴らすと、俺は光に包まれて体が軽くなっていった。
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