転生したので悪役令嬢に夜這いを仕掛けたら♂だった件

第1話 旅立ち

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（本当に憂鬱だ）

私はただ黙って窓の外を見るしかなかった。出発してからずっと無言だったが、ついに沈黙に耐えられなくなったのかミーシャが話しかけてくる。

「あの……セリス様？」

「どうかしましたか？」

「その……大丈夫ですか？」

心配そうな表情を浮かべる彼女に、私は笑顔を向ける。

「はい！もちろんですよ！」

「そうですか……何かあればすぐに言ってくださいね？」

「ええ。わかりました」

それからさらに時間が経ち、今日泊まる宿にたどり着いた。小さな町だが、宿はそれなりに繁盛しているようで結構賑やかだった。御者さんにチップを渡した後、私たちは部屋に案内される。私は自分の荷物を置き、ベッドの上に寝転がった。

（ふぅ……、疲れた……）

これからのことを思うと気が重い。なんせ政略結婚なのだ。愛なんて生まれないだろう。というか、そもそも結婚する意味があるのだろうか？同盟のためとはいえ、好きでもない人と結婚とか嫌すぎるんですけど……
そんなことを考えていると、ミーシャに声をかけられた。

「セリス様。この宿には温泉があるそうですよ？」

「本当！？それはいいですね！！」

温泉という言葉を聞いてテンションが上がる。前世でも何度か行ったことがあるが、やっぱり日本人としてはお風呂は欠かせないよね！まぁ、男湯にしか入ったことないんだけどさ……

私はワクワクしながら着替えを用意し、早速温泉へと向かうことにした。