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第4章
歩み寄り2
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シェルミーユは歓喜した。
初めてライアナが自分以外の人を王宮へ招こうとしている。これは大きな進歩だ。
シェルミーユはライアナの手をとって懇願した。
「是非に頼む」
「わかった……」
ライアナはシェルミーユの真っ直ぐな瞳に思わず即答してしまったが、それでも後悔はしなかった。それどころかシェルミーユが笑顔をライアナに向けたため幸せすら感じていた。婆やを王宮に招くことでシェルミーユの笑顔が増え、尚且つ略奪の不安を減らせるのであれば利点の方が大きい。この決断は間違ってはいない、ライアナはそう考えて完璧な独占枠から外れることへの消えない不安を抑えようとしていた。
そんな矢先、決定的なことが起こった。
「ありがとう、ライアナ」
ライアナは目を見開いた。
(シェルミーユが礼を言った? この俺に――? 心底嬉しそうに……っ)
あまりの嬉しさにライアナは破顔して言った。
「明日には婆やを紹介する」
シェルミーユは予想外の展開に思わずライアナに飛びついた。
その瞬間、ただでさえテンションが上がっていたライアナの理性が振り切れる。
「シェルミーユ、シェルミーユっ」
名前を何度も呼ばれ、そこらかしこに口付けをされてようやくシェルミーユはライアナの理性が振り切れてしまったことに気づいた。シェルミーユ自身、予想外の展開に感極まっていたため、気づくのに少し遅れてしまったのだ。
「まっ……待て。今からか? 今からずっと?」
ライアナは1度シェルミーユを抱き始めると翌日の明け方まで放しはしない。今はまだ夜明け前だ。理性が振り切れたライアナ相手に明日の明け方までなんてとてもじゃないが体がもたない。
「待ってくれ、お願いだから――」
「待てない」
ライアナとシェルミーユの目が合う。
シェルミーユはライアナの瞳の中に色を含んだ炎を見た。しかし、いつもの仄暗い炎とは違った。燃えるような鮮やかな緋色だった。それは紛れもないライアナの瞳の色だった。
(綺麗だ……、こんなにも澄んでいただろうか)
シェルミーユは抵抗をやめ、ライアナに身を任せた。
そしてただ一言、恥ずかしそうに呟いた。
「わかった……、ただ…………お願いだから加減してくれ。初めての顔合わせの時に足腰立たないのでは辛い……」
シェルミーユの瞳が羞恥に潤み、雪のように白い柔肌はピンク色に染まってゆく。
彼のその姿があまりにも扇情的で、ライアナは堪らずのどを鳴らす。
「ん、わかった。わかった故……これ以上俺を煽らないでくれ」
ライアナはシェルミーユの衣類をすべて剥ぐと、あらわになったその身に口付けを落としてゆく。その1つ1つに感度の良いシェルミーユは反応し、小さく喘ぐ。我慢している姿が微笑ましくも、逆に悩ましい。
(こんな姿、俺以外の他の誰にも見せられない――)
ライアナは恍惚として吐息をもらす。
(美しくも可愛いシェルミーユ、俺は絶対にお前を手放さない。俺からお前を奪おうとする奴は誰1人、生かしておかない――)
ライアナは独占欲と支配欲の炎をその瞳にチラつかせながらシェルミーユを貪る。シェルミーユにお願いされたため、ライアナは力の加減こそしたが、やはり翌日の明け方まで彼を解放することはなかった。
「愛しているよ、シェルミーユ。誰よりも……」
ライアナはすやすやと眠るシェルミーユを優しく抱きしめそう囁くと、しばしの間、幸福の眠りについた。
初めてライアナが自分以外の人を王宮へ招こうとしている。これは大きな進歩だ。
シェルミーユはライアナの手をとって懇願した。
「是非に頼む」
「わかった……」
ライアナはシェルミーユの真っ直ぐな瞳に思わず即答してしまったが、それでも後悔はしなかった。それどころかシェルミーユが笑顔をライアナに向けたため幸せすら感じていた。婆やを王宮に招くことでシェルミーユの笑顔が増え、尚且つ略奪の不安を減らせるのであれば利点の方が大きい。この決断は間違ってはいない、ライアナはそう考えて完璧な独占枠から外れることへの消えない不安を抑えようとしていた。
そんな矢先、決定的なことが起こった。
「ありがとう、ライアナ」
ライアナは目を見開いた。
(シェルミーユが礼を言った? この俺に――? 心底嬉しそうに……っ)
あまりの嬉しさにライアナは破顔して言った。
「明日には婆やを紹介する」
シェルミーユは予想外の展開に思わずライアナに飛びついた。
その瞬間、ただでさえテンションが上がっていたライアナの理性が振り切れる。
「シェルミーユ、シェルミーユっ」
名前を何度も呼ばれ、そこらかしこに口付けをされてようやくシェルミーユはライアナの理性が振り切れてしまったことに気づいた。シェルミーユ自身、予想外の展開に感極まっていたため、気づくのに少し遅れてしまったのだ。
「まっ……待て。今からか? 今からずっと?」
ライアナは1度シェルミーユを抱き始めると翌日の明け方まで放しはしない。今はまだ夜明け前だ。理性が振り切れたライアナ相手に明日の明け方までなんてとてもじゃないが体がもたない。
「待ってくれ、お願いだから――」
「待てない」
ライアナとシェルミーユの目が合う。
シェルミーユはライアナの瞳の中に色を含んだ炎を見た。しかし、いつもの仄暗い炎とは違った。燃えるような鮮やかな緋色だった。それは紛れもないライアナの瞳の色だった。
(綺麗だ……、こんなにも澄んでいただろうか)
シェルミーユは抵抗をやめ、ライアナに身を任せた。
そしてただ一言、恥ずかしそうに呟いた。
「わかった……、ただ…………お願いだから加減してくれ。初めての顔合わせの時に足腰立たないのでは辛い……」
シェルミーユの瞳が羞恥に潤み、雪のように白い柔肌はピンク色に染まってゆく。
彼のその姿があまりにも扇情的で、ライアナは堪らずのどを鳴らす。
「ん、わかった。わかった故……これ以上俺を煽らないでくれ」
ライアナはシェルミーユの衣類をすべて剥ぐと、あらわになったその身に口付けを落としてゆく。その1つ1つに感度の良いシェルミーユは反応し、小さく喘ぐ。我慢している姿が微笑ましくも、逆に悩ましい。
(こんな姿、俺以外の他の誰にも見せられない――)
ライアナは恍惚として吐息をもらす。
(美しくも可愛いシェルミーユ、俺は絶対にお前を手放さない。俺からお前を奪おうとする奴は誰1人、生かしておかない――)
ライアナは独占欲と支配欲の炎をその瞳にチラつかせながらシェルミーユを貪る。シェルミーユにお願いされたため、ライアナは力の加減こそしたが、やはり翌日の明け方まで彼を解放することはなかった。
「愛しているよ、シェルミーユ。誰よりも……」
ライアナはすやすやと眠るシェルミーユを優しく抱きしめそう囁くと、しばしの間、幸福の眠りについた。
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