王様と籠の鳥

序章

クリムゾン王国

　戦闘民族が集結した国、クリムゾン王国。
　民族の王座に君臨するのは身長２メートルを超える大男、ライアナ。
　褐色の肌に均整のとれた筋肉、眼光の鋭い瞳は燃えるような緋色、ウェーブがかった柔らかい髪は風になびくと黄金色に輝いた。
　ライアナを直に見た女は例外なく彼の虜になってしまう。しかし、彼の性格は唯一の例外を除いて無慈悲といっていいほど他人に無関心で冷酷だったため、大抵の者は相対する前に恐れおののくところで引きとどまるのが常だった。それでも血迷い妾となった者も多く、妾や側室達との間には１００人以上の子供が生まれた。
　しかし、ライアナは側室を王の寝室へ招き入れることはなかった。理由は明白、全ては政略結婚、または子を成すための結婚であったからだ。
　王は愛されることはあっても自ら妾や側室達を愛することはなかった。

　彼が愛したのは正室ただ一人だった。