18 / 23
ご挨拶~魔界~1
しおりを挟む
魔界、フェレス邸――
「おかえりなさいませ、ご主人様」
ずらりと整列した使用人達が一斉に挨拶すると迫力がある。
達はメフィストに1人で着いて来たことをちょっぴり後悔した。
(何これ? セレブ? ついてけないんですけど! ……パパママに着いてきてもらえば良かった……)
フェレス邸に着いて早々、達は弱音をはいた。
今朝の両親の言葉を思い出す。
「ちょっと気後れしちゃうかもしれないけど、位の高い魔族の御邸は大抵お城みたいなものだから気にしないようにね。まあ、達なら大丈夫よ。ママの子だからね」
リリーは終始笑顔で言った。
「嫌なことがあったらパパを呼べ、この指輪がパパに繋いでくれる」
司は達に指輪を渡しながら泣いているのか怒っているのか判らない難しい顔をしてそう言った。
実に対照的な2人の対応だった。
(ママ、城って言葉の綾ではないのですね。……あなたの息子はすでにめげそうです。パパ、早いうちに連絡いれそうだよ……)
達は項垂れた。
「皆に紹介する、我輩の伴侶となった人間、間宮達だ」
人間、その響きに使用人達がざわめいた。
「ご主人様、……何故人間と?」
赤いピアスの使用人が震えながら問う。
「何故……? 我輩が我輩の意思にて伴侶と決めたからだ」
この赤いピアスの使用人、実はメフィストが達に召喚される直前までいちゃついていた元召し使いである。
名はアドムという。
彼は毎日、血の滲むような努力をして自分を磨き、やっとこの御邸の主、メフィスト様の目に留まった! ……と思った矢先、魔法陣にご主人様を掠め取られてしまった。
さらに、ご主人様が帰還すると聞き、喜んだのもつかの間、伴侶を伴ってという事実を知り彼は絶望した。それでもご主人様が見初めた相手ならばと、やりきれない思いを内に秘め、アドムは祝福しようと決めていた。しかし――
(ご主人様の伴侶がまさか人間とはっ……っ、私は人間に遅れをとったのか! 人間の癖にご主人様に色目を使うとはなんと厚かましい!!)
アドムはこれ以上ないというくらいの憎悪を込めて達を睨んだ。
達は使用人からの殺気を感じてメフィストの影に隠れる。
(ヤバイでしょこれっ、睨んでるもの、ものすっごく殺意だだ漏れで睨んでるもの、美形の睨みって半端ないっ、こえぇーよ。絶対愛人かなんかだよ!)
「達、皆に挨拶を……」
メフィストは、俯きビクつく達をくいっと前に押し出す。
(プレッシャー半端ないんですけど……めちゃめちゃアウェーなんですけど……)
針の筵のような視線にさらされて臆するも、達は意を決して顔をあげた。
「おかえりなさいませ、ご主人様」
ずらりと整列した使用人達が一斉に挨拶すると迫力がある。
達はメフィストに1人で着いて来たことをちょっぴり後悔した。
(何これ? セレブ? ついてけないんですけど! ……パパママに着いてきてもらえば良かった……)
フェレス邸に着いて早々、達は弱音をはいた。
今朝の両親の言葉を思い出す。
「ちょっと気後れしちゃうかもしれないけど、位の高い魔族の御邸は大抵お城みたいなものだから気にしないようにね。まあ、達なら大丈夫よ。ママの子だからね」
リリーは終始笑顔で言った。
「嫌なことがあったらパパを呼べ、この指輪がパパに繋いでくれる」
司は達に指輪を渡しながら泣いているのか怒っているのか判らない難しい顔をしてそう言った。
実に対照的な2人の対応だった。
(ママ、城って言葉の綾ではないのですね。……あなたの息子はすでにめげそうです。パパ、早いうちに連絡いれそうだよ……)
達は項垂れた。
「皆に紹介する、我輩の伴侶となった人間、間宮達だ」
人間、その響きに使用人達がざわめいた。
「ご主人様、……何故人間と?」
赤いピアスの使用人が震えながら問う。
「何故……? 我輩が我輩の意思にて伴侶と決めたからだ」
この赤いピアスの使用人、実はメフィストが達に召喚される直前までいちゃついていた元召し使いである。
名はアドムという。
彼は毎日、血の滲むような努力をして自分を磨き、やっとこの御邸の主、メフィスト様の目に留まった! ……と思った矢先、魔法陣にご主人様を掠め取られてしまった。
さらに、ご主人様が帰還すると聞き、喜んだのもつかの間、伴侶を伴ってという事実を知り彼は絶望した。それでもご主人様が見初めた相手ならばと、やりきれない思いを内に秘め、アドムは祝福しようと決めていた。しかし――
(ご主人様の伴侶がまさか人間とはっ……っ、私は人間に遅れをとったのか! 人間の癖にご主人様に色目を使うとはなんと厚かましい!!)
アドムはこれ以上ないというくらいの憎悪を込めて達を睨んだ。
達は使用人からの殺気を感じてメフィストの影に隠れる。
(ヤバイでしょこれっ、睨んでるもの、ものすっごく殺意だだ漏れで睨んでるもの、美形の睨みって半端ないっ、こえぇーよ。絶対愛人かなんかだよ!)
「達、皆に挨拶を……」
メフィストは、俯きビクつく達をくいっと前に押し出す。
(プレッシャー半端ないんですけど……めちゃめちゃアウェーなんですけど……)
針の筵のような視線にさらされて臆するも、達は意を決して顔をあげた。
0
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる