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パパとママ
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彼女の姿が見えなくなると、達は必死に押さえていた涙が溢れてしまった。一旦溢れてしまった涙はなかなか止まらない。
ポロポロポロポロ……
「契約成立だ……これでお前は我輩の――」
思惑通りに事が進み興奮が治まらないメフィストは、とっさに達の顔をつかみ涙を吸い始めた。
「えっ? ちょっ何?」
あまりの事に達は動揺を隠せない。
「動くな! 溢れてしまったではないか!」
「ご、ごめんなさい」
「わかればいい……」
メフィストは達の頬をつたう涙を残らず舐めとると、最後に額にキスをして満足そうに言った。
「汝の魂、器は我輩のもの、汝契約により永久に我が僕――」
『我が僕の精霊よ、汝波動となりて我が末裔を守る剣となれ!』
「!?」
静寂の中、紅い稲妻と共に爆音が鳴り響く。稲妻は地下室の扉を破り達とメフィストの間を的確に別つ。
「誰だ!?」
もうもうと立ち込める瀑煙の向こうに紅い稲妻を纏った蒼白い顔をした男が殺気を撒き散らしていた。
メフィストはその顔に見覚えがあった。
「お前が何故――っ!」
「パパ……」
「パパぁ!?」
メフィストはその男と達を交互に見た。
「私の息子に何のようだ……フェレス卿」
男の名は間宮司、魔界でも有名な召喚術師だった。
(確か奥さんは――)
「ダーリン、いきなりどうしたの? ……あら、フェレス卿!?」
(魔界のマドンナ、リリー。噂には聞いていたがまさか本当に召喚術師と結婚していたとは――)
「ママ、パパ、どうしてメフィストの事知ってるの?」
「そんなことより達! 地下室に入ってはいけないと言ってあったじゃないか……。達がフェレス卿を召喚したのか?」
「……ごめんなさい……」
「やっぱり1人にするんじゃなかった……パパはお前が心配だ! もう絶対1人にしない!」
司は1人体を使って嘆いていた。その様子は相当の溺愛ぶりが想定できるほど狂気じみていてメフィストに対して禍々しい殺意が立ち込めている。
メフィストは気にせず同郷の者に声を掛けた。
「リリー、久しぶりだな」
「気安く妻の名を呼ぶな、かっ消すぞ……」
「お前の旦那は何だか悪魔より悪魔らしいというか……狂人だな」
「これは彼の愛の形なの、私も息子も彼の深い愛に包まれているのよ」
リリーはうっとりと言った。彼女は彼の狂気に満ちた愛がおきに召しているようだ。
「深い愛だか何だか知らんが、御宅の息子さんは既に我輩との契約が成立している。故に魔界へ連れて行く」
メフィストが達の手をとる。
「……パパ、ママ、ごめんね。今までありがとう」
達のしおらしさに、メフィストはまるで新妻を娶るような心地になってキュンッとした。
ポロポロポロポロ……
「契約成立だ……これでお前は我輩の――」
思惑通りに事が進み興奮が治まらないメフィストは、とっさに達の顔をつかみ涙を吸い始めた。
「えっ? ちょっ何?」
あまりの事に達は動揺を隠せない。
「動くな! 溢れてしまったではないか!」
「ご、ごめんなさい」
「わかればいい……」
メフィストは達の頬をつたう涙を残らず舐めとると、最後に額にキスをして満足そうに言った。
「汝の魂、器は我輩のもの、汝契約により永久に我が僕――」
『我が僕の精霊よ、汝波動となりて我が末裔を守る剣となれ!』
「!?」
静寂の中、紅い稲妻と共に爆音が鳴り響く。稲妻は地下室の扉を破り達とメフィストの間を的確に別つ。
「誰だ!?」
もうもうと立ち込める瀑煙の向こうに紅い稲妻を纏った蒼白い顔をした男が殺気を撒き散らしていた。
メフィストはその顔に見覚えがあった。
「お前が何故――っ!」
「パパ……」
「パパぁ!?」
メフィストはその男と達を交互に見た。
「私の息子に何のようだ……フェレス卿」
男の名は間宮司、魔界でも有名な召喚術師だった。
(確か奥さんは――)
「ダーリン、いきなりどうしたの? ……あら、フェレス卿!?」
(魔界のマドンナ、リリー。噂には聞いていたがまさか本当に召喚術師と結婚していたとは――)
「ママ、パパ、どうしてメフィストの事知ってるの?」
「そんなことより達! 地下室に入ってはいけないと言ってあったじゃないか……。達がフェレス卿を召喚したのか?」
「……ごめんなさい……」
「やっぱり1人にするんじゃなかった……パパはお前が心配だ! もう絶対1人にしない!」
司は1人体を使って嘆いていた。その様子は相当の溺愛ぶりが想定できるほど狂気じみていてメフィストに対して禍々しい殺意が立ち込めている。
メフィストは気にせず同郷の者に声を掛けた。
「リリー、久しぶりだな」
「気安く妻の名を呼ぶな、かっ消すぞ……」
「お前の旦那は何だか悪魔より悪魔らしいというか……狂人だな」
「これは彼の愛の形なの、私も息子も彼の深い愛に包まれているのよ」
リリーはうっとりと言った。彼女は彼の狂気に満ちた愛がおきに召しているようだ。
「深い愛だか何だか知らんが、御宅の息子さんは既に我輩との契約が成立している。故に魔界へ連れて行く」
メフィストが達の手をとる。
「……パパ、ママ、ごめんね。今までありがとう」
達のしおらしさに、メフィストはまるで新妻を娶るような心地になってキュンッとした。
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