黒い塔

日暮マルタ

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終わり

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 ユストゥスの衝撃的な最期に、僕達は言葉も無く歩いた。マルタは気にしていないのかもしれないけど。
 視線を地面に落として歩いていたら、突然地面がバッカンと無くなって僕達二人は底に落ちてしまった。そこは暗くて、上からの光が僅かにある。
 落ちたときに腰を打った。暗さに目が慣れてきてから、目の前にぼーっと浮かび上がる白い、女神像。
 暗くて何も無い中に不気味に女神像が鎮座している。僕達は驚き、ここが目指していた女神の元なのか、と怖々と像に近付いた。
「よくここまで辿り着きましたね」
 心が温かくなるような優しい声がした。泣き出しそうになりながら、これは女神様の声なのだと確信した。
「よく頑張りましたね。願いを一つ叶えてあげましょう」
 僕は妹を探しているんだ。妹に会いたい!
 そう口にしようとした矢先、隣から声がした。
「もっと不幸を! 全ての人に!」
「いいでしょう。……あなたは?」
 僕は女神に縋って泣きたかった。
「本物の僕の妹を、ここに」
 果たして僕の願いは叶えられた。白い女神像が消えたと思ったら。目の前にきょとんとした大人の女性が現れる。おしゃれに巻かれた茶髪、そうか君は大人になれたんだね。僕のことを覚えているのかな。
 悲鳴を上げる妹を抱きしめて泣く。暗い穴の底に、マルタの高笑いだけがずっとこだましていた。
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