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「私はいま、事件の現場に来ています」

 世界の終わりに貴女を見たあの日は、指先のホログラムがバチバチと七色に輝いていたのを思い出した。

 貴女は私の汚れた手を取って、この世界へと連れ出してくれた。

 ノイズじみたエラーコードだらけのエフェクトを振り払うような高揚。

 綺麗な花火に心動かされた冷たいアンドロイドの気分。

 あの栄光を誇れ。

 全ての娯楽を遊び尽くした神々の陰鬱な葬列は、ああああ、何を探していたのか忘れて五寸釘を飲み込めと言われたような得体の知れない暗闇で私の目はどうにかってしまいそうだった。

 それまでの私は対岸の街明かりを見つめるだけの名前もないペンギンもどきでしかなかった。

 響きが想像力になり。

 絵が鉛筆を走らせて。

 台詞が物語を紡いで。

 ここには仲間がいて。

 私は世界を創造した。 
 
 機械仕掛けのおもちゃ箱の中で私は黄昏の空を見上げることしかできなかった。

 あの放課後の冒険の果て、二人がどこに行って、私がどうしていきて帰ってきたのか分からない。

 流行だけを模倣しろと責め苛む濁流に飲み込まれてしまった。

 それを掬い上げてくれたのは貴女だった。

 だから、貴女に出会えたあの日は今までの私が殺された事件に他ならなかった。
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