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1章:魔王様、魔王引退するってよ
我のTSについて娘がノリノリな件
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成すべきことは成した。
神に選ばれたとかぬかしおる光の勇者を悉く返り討ちにし、魔界から地上への侵略も無事成功を収め、今や魔王領は地上の半数を掌握した。
魔族による世界征服、という我が本願はもう果たされたと言っても過言ではないだろう。あとは時間の問題だけだ。いずれ全てを我が手中に収めることだろう。
しかし。
唯一心残りがあるとすれば、我を討伐せんと無謀にも挑んでくる人間どもを待ち受けるために我が魔王城を離れることができず、地上の領土がどうなっているのか把握できていないことだ。あやつらがせっかく来てくれたのに我が不在だと心苦しいじゃん?
ここ魔界なら我が力で全ての場所を見通せるものの、こと地上に関しては忌まわしい神の護法とやらがまだ機能しているのか見ることが叶わぬ。地上を任せた配下に逐一報告させてはいるが、やはり自身の目で現状を確認することも重要だろう。
ということで。
そろそろ引退して隠居しよっかなと。我が血を継ぐ者にこの魔界の統治を任せようぞ。
「お父様、とうとうワタシがお父様の後を継ぐ時が来たのですね」
我に傅くは、我が娘、ステラ・ステラだ。
闇の如く黒い髪をゆるーく腰まであるツインテールにし、だぼっとした白いTシャツに黒革のショートパンツとかいうずいぶんとラフな格好のままで玉座の間にやってきおったが? 後継の儀式的なやつやるって事前に言ってたのに? 服装の指定とかしなかったし、まあ、極秘事項だから臣下とかも立ち入り禁止にしたけどさ。
魔族としては小柄で華奢ではあるが、こやつは我が血を引く者。
以前、愚かにも我に戦いを挑み、そして魔に屈した勇者の小娘を、配下共に好き勝手魔改造させて我が力を継ぐべき者を産ませたのだ。ふふふ、闇と光の力が合わさって最強にみえる。魔王の座を引き継がせるには最適であろう。
「ねえ、あなた、今日は何が食べたい? 今日はステラにとっても特別な日なんだし、リクエストなんでも聞いちゃうわよ」
ちなみに憐れなる勇者の成れの果ては、妻として今も魔王城の家事全般に従事しておる。ふふ、かつては最強の勇者と持て囃された者が宿敵であるはずの我が妻となり、テキパキと炊事洗濯をこなすのはさぞかし屈辱的であろうな。
「お母さんも嬉しいわ、ステラが立派な魔王になるなんて」
「シャーリイ、儀式の途中で勝手に入ってこないでくれないか?」
どうしても娘の晴れ姿を見たい! と駄々をこねるシャーリイを宥めて玉座の間から追い出し、なんとか無事儀式は成功した。あとで、綺麗な魔石でもジュエリーにしてプレゼントしよう。このままではこれから10年はご飯抜きだ、いくら我でもさすがに滅びてしまう。
というわけで、これでようやく。
「我は地上に行くぞ」
「はい、気を付けて行ってらっしゃいね、あなた」
「お土産もよろしくね、お父様」
「う、うむ、そんなちょっと出かけてくる、みたいな軽快な送り出され方もなんか複雑な気分だな」
これは引退した我にとって重要な最後の大仕事だ。ちょっと骨休めも兼ねようかなとも思ってはいたし、そういう気分もないと言えば嘘にはなるが、そして、久しぶりの外出に少しだけワクワクしちゃってるのも否定はできないけれども。それでも、これは魔族の世界征服にとって大事なことなのだ。我、お土産のセンスないけど大丈夫かなあ。
ということで、案外あっさりと外出許可も取れたことだし。
シャーリイの気が変わらないうちに、よっしゃ、地上、行っちゃいますか!
と、その前に。
ひとまず、この身体をなんとかせねば。
「この身体ではさすがに動きづらいか」
強大な力と魔力を誇るこの巨体では一発で我が魔王だとバレてしまう。領地にはひっそり行って気付かれずに普段の様子を見なければ意味がない。それに、いちいち見つかって人間どもに突っかかられても面倒だ。
それに、千年と酷使し続けたうえに、我が力の大半をステラに継承したが故、肉体としてはほとんど滅んでしまっているようなものなのだ。
「身体を換装せねばならぬな」
ぱきり、右手にはしるひび割れを眺める。改造を続けてもはや元の種族が何であったかすらわからないほどに原型を失っていたとしても、それでも自身の身体だ。思い入れがないと言えば嘘になる。
「バ美肉ですか、お父様」
「バ、え、なんて?」
「バ美肉、バーチャル美少女受肉です、今地上で流行ってるんですよ」
「あ、そ、そうなのか」
なんだかよくわからぬが、魔王である我がここで知らないというのも娘に対して威厳がない。なんとなく話は合わせておこう。流行に敏感で年頃の娘ともばっちり話が合う父というのはどこの種族関係なくカッコいいものであろう。
「そういうことならお任せください、我が魔王城にはお母様を超弩級どえっっっち清楚NTR系人妻に魔改造したスーパーエリートマッドサイエンティスト集団がおりますので」
「う、うん、まあ、そこまで言うなら」
まあ、我が妻をあんなふうにどえっっっっっちに改造した者達だ、面構えは違うだろう。本当頭おかしいわ。自らをマッドサイエンティストと名乗るはどうかと思うが。
「安心してくださいまし、決してお父様をショタにはしませんので」
「そういう不安は感じてなかったけど急に不安になってきた」
「ちんちんが生えている生物はこの世界から滅びるべきです。女同士のじっとりねっちょりとした絡みの方が美しいじゃありませんか!」
「いや知らんけど、我が娘ながらその過激な思想めっちゃ怖い」
なんだ、ショタとやらを心の底から憎悪しているようなその黒いオーラは。我が知らぬところでこやつに何があったというのだ、我の教育ミスったか? こやつ、今にもこの世の全てのちんちんをもぎ取りそうな勢いではないか。
「ショタはショタらしく何も考えず野山に放たれていればいいのです、お姉さんを快楽メス堕ちさせるような凶悪なナニなんてファンタジーなんです!」
「さっきから年頃の娘が熱心に一体何の話をしているのだ?」
神に選ばれたとかぬかしおる光の勇者を悉く返り討ちにし、魔界から地上への侵略も無事成功を収め、今や魔王領は地上の半数を掌握した。
魔族による世界征服、という我が本願はもう果たされたと言っても過言ではないだろう。あとは時間の問題だけだ。いずれ全てを我が手中に収めることだろう。
しかし。
唯一心残りがあるとすれば、我を討伐せんと無謀にも挑んでくる人間どもを待ち受けるために我が魔王城を離れることができず、地上の領土がどうなっているのか把握できていないことだ。あやつらがせっかく来てくれたのに我が不在だと心苦しいじゃん?
ここ魔界なら我が力で全ての場所を見通せるものの、こと地上に関しては忌まわしい神の護法とやらがまだ機能しているのか見ることが叶わぬ。地上を任せた配下に逐一報告させてはいるが、やはり自身の目で現状を確認することも重要だろう。
ということで。
そろそろ引退して隠居しよっかなと。我が血を継ぐ者にこの魔界の統治を任せようぞ。
「お父様、とうとうワタシがお父様の後を継ぐ時が来たのですね」
我に傅くは、我が娘、ステラ・ステラだ。
闇の如く黒い髪をゆるーく腰まであるツインテールにし、だぼっとした白いTシャツに黒革のショートパンツとかいうずいぶんとラフな格好のままで玉座の間にやってきおったが? 後継の儀式的なやつやるって事前に言ってたのに? 服装の指定とかしなかったし、まあ、極秘事項だから臣下とかも立ち入り禁止にしたけどさ。
魔族としては小柄で華奢ではあるが、こやつは我が血を引く者。
以前、愚かにも我に戦いを挑み、そして魔に屈した勇者の小娘を、配下共に好き勝手魔改造させて我が力を継ぐべき者を産ませたのだ。ふふふ、闇と光の力が合わさって最強にみえる。魔王の座を引き継がせるには最適であろう。
「ねえ、あなた、今日は何が食べたい? 今日はステラにとっても特別な日なんだし、リクエストなんでも聞いちゃうわよ」
ちなみに憐れなる勇者の成れの果ては、妻として今も魔王城の家事全般に従事しておる。ふふ、かつては最強の勇者と持て囃された者が宿敵であるはずの我が妻となり、テキパキと炊事洗濯をこなすのはさぞかし屈辱的であろうな。
「お母さんも嬉しいわ、ステラが立派な魔王になるなんて」
「シャーリイ、儀式の途中で勝手に入ってこないでくれないか?」
どうしても娘の晴れ姿を見たい! と駄々をこねるシャーリイを宥めて玉座の間から追い出し、なんとか無事儀式は成功した。あとで、綺麗な魔石でもジュエリーにしてプレゼントしよう。このままではこれから10年はご飯抜きだ、いくら我でもさすがに滅びてしまう。
というわけで、これでようやく。
「我は地上に行くぞ」
「はい、気を付けて行ってらっしゃいね、あなた」
「お土産もよろしくね、お父様」
「う、うむ、そんなちょっと出かけてくる、みたいな軽快な送り出され方もなんか複雑な気分だな」
これは引退した我にとって重要な最後の大仕事だ。ちょっと骨休めも兼ねようかなとも思ってはいたし、そういう気分もないと言えば嘘にはなるが、そして、久しぶりの外出に少しだけワクワクしちゃってるのも否定はできないけれども。それでも、これは魔族の世界征服にとって大事なことなのだ。我、お土産のセンスないけど大丈夫かなあ。
ということで、案外あっさりと外出許可も取れたことだし。
シャーリイの気が変わらないうちに、よっしゃ、地上、行っちゃいますか!
と、その前に。
ひとまず、この身体をなんとかせねば。
「この身体ではさすがに動きづらいか」
強大な力と魔力を誇るこの巨体では一発で我が魔王だとバレてしまう。領地にはひっそり行って気付かれずに普段の様子を見なければ意味がない。それに、いちいち見つかって人間どもに突っかかられても面倒だ。
それに、千年と酷使し続けたうえに、我が力の大半をステラに継承したが故、肉体としてはほとんど滅んでしまっているようなものなのだ。
「身体を換装せねばならぬな」
ぱきり、右手にはしるひび割れを眺める。改造を続けてもはや元の種族が何であったかすらわからないほどに原型を失っていたとしても、それでも自身の身体だ。思い入れがないと言えば嘘になる。
「バ美肉ですか、お父様」
「バ、え、なんて?」
「バ美肉、バーチャル美少女受肉です、今地上で流行ってるんですよ」
「あ、そ、そうなのか」
なんだかよくわからぬが、魔王である我がここで知らないというのも娘に対して威厳がない。なんとなく話は合わせておこう。流行に敏感で年頃の娘ともばっちり話が合う父というのはどこの種族関係なくカッコいいものであろう。
「そういうことならお任せください、我が魔王城にはお母様を超弩級どえっっっち清楚NTR系人妻に魔改造したスーパーエリートマッドサイエンティスト集団がおりますので」
「う、うん、まあ、そこまで言うなら」
まあ、我が妻をあんなふうにどえっっっっっちに改造した者達だ、面構えは違うだろう。本当頭おかしいわ。自らをマッドサイエンティストと名乗るはどうかと思うが。
「安心してくださいまし、決してお父様をショタにはしませんので」
「そういう不安は感じてなかったけど急に不安になってきた」
「ちんちんが生えている生物はこの世界から滅びるべきです。女同士のじっとりねっちょりとした絡みの方が美しいじゃありませんか!」
「いや知らんけど、我が娘ながらその過激な思想めっちゃ怖い」
なんだ、ショタとやらを心の底から憎悪しているようなその黒いオーラは。我が知らぬところでこやつに何があったというのだ、我の教育ミスったか? こやつ、今にもこの世の全てのちんちんをもぎ取りそうな勢いではないか。
「ショタはショタらしく何も考えず野山に放たれていればいいのです、お姉さんを快楽メス堕ちさせるような凶悪なナニなんてファンタジーなんです!」
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