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設定(≠核心)
―ーLIVE:【外装起因機関・電葬経土:七人姉妹】&【 】feat. ――⑤
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いつか【外装起因機関・電葬経土:七人姉妹】に会えたなら聞こうと思っていたことがあった。ずっと心の片隅でわたしを苛み続けていたことを。
わたしはこの機会をずっと待っていて、それはなんだか意外なほどに早く来た。こんな風に会えるなんて思わなかったけど。
「ところで、【天変界位】はどこにいるの? 【深層義肢】はアナタ達が神様達から逃がしてくれた、って言ってたわ。わたし、あの子にどうしても謝りたいことがあるの」
そう、わたしは【天変界位】を守ることができなかった。もし、あの子を守ることができていたら、わたし達はあの異世界大戦で勝てたのかもしれない。星と共にあるはずの少女を星から引き離してしまった原因はわたしで、そのせいで、あの無邪気な笑顔が翳っていやしないだろうかとずっと思い悩んでいた。
だから、わたしは【天変界位】に謝らなきゃいけない。
「ええ、確かに【天変界位】というデータはここに保管されているわ。ただ、“始源拾弐機関”という物語構造体はあまりにも寓話容量が膨大過ぎてね。だから、仕方なく仮想月、第参映月、として説話的加重投射するしかなかったのよ」
ん? なんだなんだ? 急に何言ってるかわからなくなったぞ? え、同じ言語だよね?
「【天変界位】は世界を変えるもの。物語の中心であるあの星そのものを体現する存在なんだけどさー、変えるべき世界基底がないここでは、彼女は顕現できないんだよね。だから、私達が必要最低限の想像構造の最小単位のみを保管しているってわけ」
八重歯を見せながらニシシと笑う活発そうな、緑を差し色にした少女の気楽な口調に相反する難解すぎる言葉に、逆に理解が追い付かなくてすっかり思考を放棄してしまった。エルルカに教わった魔法の呪文すらまともに詠唱できなかったんだから、こんな魔法めいた言葉の羅列が理解できないのも仕方ないね。
「つまり、今、月は4つに見えるってことよ、……大丈夫、お姉ちゃんさん?」
完全に思考が停止していしまったわたしの顔を心配そうに覗き込むのは、わたしよりも幼い女の子。大きなトパーズイエローの瞳が屈託なく輝いている。は? どういうこと? 4つ目の月を、作った? 確かにあの時月が4つに見えたけどそれは見間違いじゃなかったの? え、何を言っているのかしら、そんなことができるはずが……
「この星の2つの月は私達が作ったの、私達の機能だけじゃキャパシティオーバーだからサーバーを増設したんだよ」
いいや、全然ダメだ。壮大すぎるお話に全くもってついていけない。想像の遥か上を行くスケールの大きさにまた頭が混乱して、そう、さっきから混乱しっぱなしでとても混乱している、まさに混乱だらけだ。
物の形を決め、月を作り、そして、あの巨大な幼女、【天変界位】すら救い出した。やってることだけで言えば、わたしより遥かに創造主っぽいし、そして、英雄的だ。
「地上で第零真月、と言われているのが私達のオリジナルで、第壱硝月、第弐虚月が増設したサーバーね」
なるほど、あまりにも壮大すぎるし意味不明な魔法の言葉すぎて、何言ってるのかさっぱりわからねえんだぜ。月を作る? そんなの完全に神話じゃない。どうして、彼女達の物語が地上にないんだ、こんな壮大すぎる物語を誰も知らないなんてもったいなさすぎる。
決めた、絶対にわたしがこの物語を伝えよう。そうすれば、月に関するわくわく胸躍るようなおとぎ話がまた一つこの世界に増えるんだもの。
わたしはこの機会をずっと待っていて、それはなんだか意外なほどに早く来た。こんな風に会えるなんて思わなかったけど。
「ところで、【天変界位】はどこにいるの? 【深層義肢】はアナタ達が神様達から逃がしてくれた、って言ってたわ。わたし、あの子にどうしても謝りたいことがあるの」
そう、わたしは【天変界位】を守ることができなかった。もし、あの子を守ることができていたら、わたし達はあの異世界大戦で勝てたのかもしれない。星と共にあるはずの少女を星から引き離してしまった原因はわたしで、そのせいで、あの無邪気な笑顔が翳っていやしないだろうかとずっと思い悩んでいた。
だから、わたしは【天変界位】に謝らなきゃいけない。
「ええ、確かに【天変界位】というデータはここに保管されているわ。ただ、“始源拾弐機関”という物語構造体はあまりにも寓話容量が膨大過ぎてね。だから、仕方なく仮想月、第参映月、として説話的加重投射するしかなかったのよ」
ん? なんだなんだ? 急に何言ってるかわからなくなったぞ? え、同じ言語だよね?
「【天変界位】は世界を変えるもの。物語の中心であるあの星そのものを体現する存在なんだけどさー、変えるべき世界基底がないここでは、彼女は顕現できないんだよね。だから、私達が必要最低限の想像構造の最小単位のみを保管しているってわけ」
八重歯を見せながらニシシと笑う活発そうな、緑を差し色にした少女の気楽な口調に相反する難解すぎる言葉に、逆に理解が追い付かなくてすっかり思考を放棄してしまった。エルルカに教わった魔法の呪文すらまともに詠唱できなかったんだから、こんな魔法めいた言葉の羅列が理解できないのも仕方ないね。
「つまり、今、月は4つに見えるってことよ、……大丈夫、お姉ちゃんさん?」
完全に思考が停止していしまったわたしの顔を心配そうに覗き込むのは、わたしよりも幼い女の子。大きなトパーズイエローの瞳が屈託なく輝いている。は? どういうこと? 4つ目の月を、作った? 確かにあの時月が4つに見えたけどそれは見間違いじゃなかったの? え、何を言っているのかしら、そんなことができるはずが……
「この星の2つの月は私達が作ったの、私達の機能だけじゃキャパシティオーバーだからサーバーを増設したんだよ」
いいや、全然ダメだ。壮大すぎるお話に全くもってついていけない。想像の遥か上を行くスケールの大きさにまた頭が混乱して、そう、さっきから混乱しっぱなしでとても混乱している、まさに混乱だらけだ。
物の形を決め、月を作り、そして、あの巨大な幼女、【天変界位】すら救い出した。やってることだけで言えば、わたしより遥かに創造主っぽいし、そして、英雄的だ。
「地上で第零真月、と言われているのが私達のオリジナルで、第壱硝月、第弐虚月が増設したサーバーね」
なるほど、あまりにも壮大すぎるし意味不明な魔法の言葉すぎて、何言ってるのかさっぱりわからねえんだぜ。月を作る? そんなの完全に神話じゃない。どうして、彼女達の物語が地上にないんだ、こんな壮大すぎる物語を誰も知らないなんてもったいなさすぎる。
決めた、絶対にわたしがこの物語を伝えよう。そうすれば、月に関するわくわく胸躍るようなおとぎ話がまた一つこの世界に増えるんだもの。
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