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対立→■■■→再演
―― ■ ■心励起/仇多羅急行】 ■■ ――④
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「ねえ、感動の再会ってアタシもとっても好きなんだけどね、今はこっちをなんとかしてくれないかしら」
【心励起/仇多羅急行】はその大きな図体に不似合いな弱気な態度であわあわしている。そんな彼女の視線の先には、
「舐めやがって、クソが」悪態とドス黒い血を吐き出す。
死んではいないにしても、どこからどう見たって確実に起き上がることは出来ないはずの状態で。しかし、それでも、リョウガはなぜか起き上がる。
彼に寄り添うユノの両手から現れた魔法陣が光り輝き、リョウガの全身を覆う。
「ユノがいるんだ、物理攻撃で死ぬはずねえだろうが。それにステータスはMAXにしてもらってるんだ」
「それでもボコボコにされてたみたいだけどねぇ~」【心励起/仇多羅急行】、余計なこと言わないの!
床の破片が絡み付いた黒髪を振り乱しながら、リョウガはそれでも、いや、むしろさらに怒り狂いながらラフィーナへと神剣を向ける。
「俺達を神に選ばれた最強の勇者だと知っててこんな真似したのか、ああ?」
「あら! アナタなんかが勇者ですって!? そんなのとっても信じられないわ! こんなに下品で不作法で横柄で無礼な品の欠片もありゃしない人が!?」
よっしゃ、わたしが言いたいこと全部言ってくれた! そうよ、ケヴィンはもっとかっこよかったんだから! 勇者ってきっと、こんな弱い者いじめなんてしなくて、どんな人とだって、そう、魔王とだって話し合うことができる人なんだ!
「心外ですね。僕達は最強なんですよ、最強、最も強い者、わかりますか? いくらキミが強くても所詮原住民では女神様に力を与えられた僕達には到底敵わないんですよ」
「ワタシはお行儀のお話をしているの、だれが強いかどうかなんてはじめからワタシに決まっているのですからお話のしようがないことなのよ」
とうとう言っちゃったよ、このお姫さま!
自称最強お姫さま、ラフィーナはまるで聞き分けのない小さな子どもに丁寧に語り聞かせるように。彼女も小さな子どもだからなんだか微笑ましい光景のはずなんだけど、今は全然そんな気分にはなれない。
そう、つまり、ユノの魔法がある限り、どんなに死に至る致命傷だってあっという間に回復してしまうってことだよね。
「ね、ねえ、どうしよう、ラフィーナ、これじゃあ……」
「ふふ、ワタシったら記憶は一方向にしか働かなくって、何かが起こる前にそれを思い出すなんてできっこないの。だからこんなときどんな物語をまとえばいいかわからないの」
そうは言いつつもどこか楽しげなラフィーナ。クローゼットの前でどのドレスを着ていこうかとうきうき悩んでいるみたい。
いくらこんなにちっちゃなラフィーナがあの強大なドラゴンのアズと引き分けるような得体の知れない強さを持っていたとしても。
はたして神様の異能を授けられた転生者に太刀打ちできるのだろうか。
わたしにはわからない。どちらもわたし達とは別次元の強さで、そんなのに巻き込まれただけのわたし達が計り知れるようなひと達なんかじゃない。
でも、ラフィーナならなんとかしてくれる、なんとなくそう思える。そう、きっとラフィーナの気分が変わらないなら。
ーー Time can be funny in dreams.
【心励起/仇多羅急行】はその大きな図体に不似合いな弱気な態度であわあわしている。そんな彼女の視線の先には、
「舐めやがって、クソが」悪態とドス黒い血を吐き出す。
死んではいないにしても、どこからどう見たって確実に起き上がることは出来ないはずの状態で。しかし、それでも、リョウガはなぜか起き上がる。
彼に寄り添うユノの両手から現れた魔法陣が光り輝き、リョウガの全身を覆う。
「ユノがいるんだ、物理攻撃で死ぬはずねえだろうが。それにステータスはMAXにしてもらってるんだ」
「それでもボコボコにされてたみたいだけどねぇ~」【心励起/仇多羅急行】、余計なこと言わないの!
床の破片が絡み付いた黒髪を振り乱しながら、リョウガはそれでも、いや、むしろさらに怒り狂いながらラフィーナへと神剣を向ける。
「俺達を神に選ばれた最強の勇者だと知っててこんな真似したのか、ああ?」
「あら! アナタなんかが勇者ですって!? そんなのとっても信じられないわ! こんなに下品で不作法で横柄で無礼な品の欠片もありゃしない人が!?」
よっしゃ、わたしが言いたいこと全部言ってくれた! そうよ、ケヴィンはもっとかっこよかったんだから! 勇者ってきっと、こんな弱い者いじめなんてしなくて、どんな人とだって、そう、魔王とだって話し合うことができる人なんだ!
「心外ですね。僕達は最強なんですよ、最強、最も強い者、わかりますか? いくらキミが強くても所詮原住民では女神様に力を与えられた僕達には到底敵わないんですよ」
「ワタシはお行儀のお話をしているの、だれが強いかどうかなんてはじめからワタシに決まっているのですからお話のしようがないことなのよ」
とうとう言っちゃったよ、このお姫さま!
自称最強お姫さま、ラフィーナはまるで聞き分けのない小さな子どもに丁寧に語り聞かせるように。彼女も小さな子どもだからなんだか微笑ましい光景のはずなんだけど、今は全然そんな気分にはなれない。
そう、つまり、ユノの魔法がある限り、どんなに死に至る致命傷だってあっという間に回復してしまうってことだよね。
「ね、ねえ、どうしよう、ラフィーナ、これじゃあ……」
「ふふ、ワタシったら記憶は一方向にしか働かなくって、何かが起こる前にそれを思い出すなんてできっこないの。だからこんなときどんな物語をまとえばいいかわからないの」
そうは言いつつもどこか楽しげなラフィーナ。クローゼットの前でどのドレスを着ていこうかとうきうき悩んでいるみたい。
いくらこんなにちっちゃなラフィーナがあの強大なドラゴンのアズと引き分けるような得体の知れない強さを持っていたとしても。
はたして神様の異能を授けられた転生者に太刀打ちできるのだろうか。
わたしにはわからない。どちらもわたし達とは別次元の強さで、そんなのに巻き込まれただけのわたし達が計り知れるようなひと達なんかじゃない。
でも、ラフィーナならなんとかしてくれる、なんとなくそう思える。そう、きっとラフィーナの気分が変わらないなら。
ーー Time can be funny in dreams.
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