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Knight & Honor
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私は誰を守りたかったのだろうか。
誰のための戦いだったのだろうか。
何に祈りを捧げていたのだろうか。
何故剣を振るっていたのだろうか。
屍の丘の頂で唯独り立ち尽くす。
私だけが未練がましく生き残ってしまった。
己の無力を恨み、そして、思い知りながら空を見上げた。
狭まっていく空の暗さも、何者も救わぬ神の存在証明も、あの少女の悲しみに暮れた表情も。
何もかもが意味などない。
黄昏の空が夜の始まりを拒む。
まるで、この世界はまだ終わりはしないのだ、と無抵抗に足掻くように。
「あなたを救いたいの、騎士様」
少女は覚束ない足取りで死者の騎士達を踏み越えるとその小さな手を伸ばす。
ああ、その手こそが私を唯一導いてくれるような気がして。
私はその手を取ろうとした。
しかし。
俯いた私の視線の先には血に塗れた穢らわしい手。
私には少女の純白はあまりにも眩しく。
「私は救われるべきじゃない」
もうすでに剣は折れ。
打倒すべき敵は無く。
縋る神は私を救わず。
世界の終わりに君を見た。
「あなたはこの世界を救ったから」
ばさり、少女の背中で小さな白い翼が静かに羽ばたいた。
「そうか、私が真に救いたかったのは」
この手に何を掴むのか、私にはまだ分からない。
誰のための戦いだったのだろうか。
何に祈りを捧げていたのだろうか。
何故剣を振るっていたのだろうか。
屍の丘の頂で唯独り立ち尽くす。
私だけが未練がましく生き残ってしまった。
己の無力を恨み、そして、思い知りながら空を見上げた。
狭まっていく空の暗さも、何者も救わぬ神の存在証明も、あの少女の悲しみに暮れた表情も。
何もかもが意味などない。
黄昏の空が夜の始まりを拒む。
まるで、この世界はまだ終わりはしないのだ、と無抵抗に足掻くように。
「あなたを救いたいの、騎士様」
少女は覚束ない足取りで死者の騎士達を踏み越えるとその小さな手を伸ばす。
ああ、その手こそが私を唯一導いてくれるような気がして。
私はその手を取ろうとした。
しかし。
俯いた私の視線の先には血に塗れた穢らわしい手。
私には少女の純白はあまりにも眩しく。
「私は救われるべきじゃない」
もうすでに剣は折れ。
打倒すべき敵は無く。
縋る神は私を救わず。
世界の終わりに君を見た。
「あなたはこの世界を救ったから」
ばさり、少女の背中で小さな白い翼が静かに羽ばたいた。
「そうか、私が真に救いたかったのは」
この手に何を掴むのか、私にはまだ分からない。
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