幸福サーカス団

もちもちピノ

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事件の始まり

綾子先生

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 あれからしばらく経ち…ジョーカーは退院したがしばらくは歩けないらしく松葉杖で病院を出るとちはやとメアリーが迎えにきてくれた。
「ジョーカー災難だったね」
メアリーはそう言うがジョーカーの心には引っかかるものがあった。あれと戦ったさいに包帯についていたあの粉……念の為に綿棒で採取をしラップでガチガチに包んでいた。
「ジョーカーさん」
 そう呼ぶ一人の男と学校帰りの制服姿のソフィア……
「具合大丈夫?」
 ソフィアはあのあと心身の都合でしばらく療養していた
 まああんなことがあったら年頃の女の子はしばらくは寝込むだろうなとジョーカーは心の中で思っていると隣にいるガタイのいい男は自分にいきなり握手をし「娘を助けていただきありがとうございます!!私は山下雄大と申します!!ソフィアの父です!本当にありがとうございます」
 やたら大きな声のソフィアの父の山下雄大……
「パパ ジョーカーさんが困ってる!離して!」
 ピスピス泣きながら感謝を伝えると……ある女性が赤い車から出てきた。
「あら ソフィアちゃん奇遇ですね」
「綾子先生?なんでここに??」
 
 その女性はマリーゴールドの花のような髪色と薄緑色の目の美しい女性。
「もしかしてあなたがジョーカーさん??私の大好きな仔羊ちゃん助けていただきありがとうございます」
その優しげな笑顔にジョーカーはどうすればいいか分からず目を合わせられなかった。
「はい……」
次に雄大にニコニコしながら「こんばんは山下さんあら今日もたくましいですね」
「ええっまあ」
その女のニコニコ具合に怪しむちはや……
 (こな女……男なれしてはるな………)
ソフィアは先生を紹介する。
「紹介します私の通う中学の教師ので担任の茅森綾子先生綾子先生は歴史の先生で」
「主に日本史を担当しています」
そしてジョーカーたちも名前を名乗る。
 
「ボクは…アントワーヌリントス……サーカスでジョーカーの名前で道化師やっています…こっちはちはやさん陸上パフォーマンス担当でこっちはメアリーこちらは空中パフォーマンスを主に……」
「よろしく…」
「よろしくお頼み申します」

 綾子先生はニコニコしながら「よろしくね」と軽く言うとつまづいてジョーカーに激突する。
「ごめんなさい」
「いや…べつに」
 ジョーカーは少し赤面をし顔を隠す。
――――――――――――――――
 そしてソフィア達と別れたあとジョーカーはいつものようにテントに戻っていた。

「ただいま」
「オカエリナサイ」
 ミライくんが出迎えてくれた。
荷物を自身の部屋に置き……ポケットから綿棒を取り出そうとするが何故か見つからない。
「あれ??もしかしてあの時……」
 綾子に激突した際に落としてしまったのかもしれない。
「明日探しに行かなきゃ」
――――――――――――

 その頃 綾子はあの綿棒を取り出し冷たい目をしていた
そして怪しい男とキスを交わした際に気づかれないように海に捨てるのだった。

――――――――――――――

 一方その頃
「あーお腹すきました………やっぱり病院を襲撃なんてやめとけばよかったんです……」
 そんなことを思いながらあの時のことを思い出している。
「…私が来た際の病院にいたあの人は一体何をしていたのでしょうか……」

 それはあの日の夜
見つからないように獲物を探している際に洗濯カートを引く黒服の人が何かを運んでいた…顔は見えず体もダボっとした服装のせいでで女か男かも分からないただ匂いだけは覚えていた。
 柑橘類特有の匂いと明らかに医療用ではない粗悪な薬の匂い……

「……なんだかやな予感がしますね」

 そして……その頃幸福サーカス団ではジョーカーの退院祝いのパーティーが執り行われていたしかしその中にはリドルがいなかった……

「ちょっとリドル呼んでくる」
 そう言ってシルクは席を外しリドルのいる森に行く……
「気をつけなはれこの辺には熊がいちょるから」
 ちはやはケーキを食べつつシルクにそういうと「へいへい」と言いながらテントから出る。

「……」
 そしてシルクがリドルがいる森に向かうとリドルが震えながら立ち尽くしていた。
「おういたいた リドルどう」
 リドルはシルクの口を塞いだ。
「シルクあれって……」
「!!」
 二人の目の前に現れた光景……それは3メートルはありそうな大きな熊……バリボリと何かを食べている……それは…食べられ続けて肉塊となった

                   人間……
「やべぇな…団長に報告だすぐにこの山を出たほうがいい」
「だね…」
 
二人はそう言ってテントまで熊に見つからないようにゆっくり移動した。
 
 
 
 
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