モモタロウと七人の鬼

もちもちピノ

文字の大きさ
上 下
3 / 35
始まり

化け蟹退治

しおりを挟む

嵐の日
ある旅人が無人寺に雨宿りをしている時そこに奇妙な声が聞こえた
「両足が八つ腕が二つ方向自在にして目は天を向いている この生き物の名は」

「はぁ何言ってんだ」

旅人が雑に問いかけると大きな何かが現れ旅人を闇に飲み込みバキバキと音が響いた。

「たりぬ」と言い残し姿を消した。


山に封じられていた孫悟空を仲間にし旅をしている桃太郎鬼の一人である饕餮を討伐しに行くために道無き道を歩いていた。

孫悟空はどっかからの盗賊から強奪した赤い服を桃太郎に見せていた。

「どうだかっこいいだろ」

桃太郎はパチパチと手を叩いたが何かを思いついたかのように手荷物から帽子を取り出し孫悟空の頭にかぶせた。

「狩人からもらった帽子だ 少し直したがなかなかだろ」

孫悟空は桃太郎からもらった帽子を手に取りニコニコと笑った。

その時 しとしとと雨が降りやがて強く降ってきた。桃太郎は近くの無人寺を見つけ、孫悟空と共に中に入る。

「オレ 雨嫌いなんだよ」
ブルブルと体をゆらす悟空とお堂の中を見る
桃太郎。

「……このお寺の中やな感じですね」
リツがつぶやくが桃太郎はお寺の中にある生きている蟹に注目していた。孫悟空はテクテクと横歩きする蟹をひょいっとつかみバリバリと食べた。

「うんま」

桃太郎は蟹のがいた場所をよく見るが目立った穴はなく、まるで無から出現したようにまた蟹があわられるのだ。

すると孫悟空は鼻をくんとにおいをかいだ。

「かすかに妖怪クセェな……」

如意棒を持ち警戒する孫悟空。桃太郎も刀を近くに置く。

嵐の風で外を吹き荒れる夜
二人は日の出が出るまでその寺に泊まることに嵐で軋む音で眠れない桃太郎ふと暗闇の方に目をやると声がきこえた。

「両足が八つ腕が二つ方向自在にして目は天を向いている この生き物の名は」

その声を聞き桃太郎は飛び起き刀を手に取る。

「両足が八つ腕が二つ方向自在にして目は天を向いている この生き物の名は」

声はどんどん強くなる。
(なんだ……なぞなぞか……)

桃太郎はなぞなぞの答えについて考えていた。

「両足が八つ腕が二つ方向自在にして目は天を向いている この生き物の名は」

また強くなる。

(両足が八つ?腕が二つ?方向自在にして目は天を向いている……そんな生き物って…あっ)

桃太郎はあの生物の名前を思い出した。

「その生物の名は………



               蟹だ」


桃太郎が刀の鞘を投げつけると鞘から鈍い音が聞こえ 叫び声をあげ声の主が現れた。

お寺を半分を占めるほどの大きさの蟹だった

その叫び声を聞き孫悟空も飛び起きた。

「なんだ」

「説明はあとだ あの化け蟹を退治するぞ」

桃太郎は蟹に刀を抜いた。

蟹は桃太郎の鞘を後ろから抜き取り投げつけるが孫悟空が如意棒で防ぐと蟹は言う。

「セッカクノゴチソウ……ニガサナイ」

蟹は大きなハサミを振り上げた、二人は軽く避けたがその反動でお寺が壊れ、下から髑髏と蟹が大量に出てきた。

「こいつ人間をこんなに食ってやがったのか
クソが蟹の分際でなめやがって」

孫悟空は怒りの表情で如意棒を向けたが子蟹が二人に襲いかかった。子蟹を払い除けたがそのたびに大蟹の大きなハサミが襲い掛かる。

桃太郎は考えたこの状況を打破する方法。

「そうだ」桃太郎は昔じいちゃんに教えてもらった刀の形を再現する。

「孫悟空 今から熱くなるぞ」

桃太郎は刀を強く握り大蟹に向けた。

「日の丸流 日の丸旋風ひのまるせんぷう

そう叫ぶと刀が赤くなり目にも、止まらない早業で大蟹を切った。

大蟹は炎に焼かれながら断末魔を上げて生き絶えた。子蟹はその光景を見ておそれをなして逃げていった。

「なんとか倒せたな…」

その時二人はお腹が鳴った。

孫悟空は蟹の亡骸を見てニヤリと笑う。

朝日が昇る頃 蟹を一通り食べた一行はまた旅に出るのであった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【短編小説】様々な人間模様

遠藤良二
現代文学
 僕には友人、親族がたくさんいる。友人は先輩、同級生、後輩がいる。親族は父の兄妹が八人、母の兄妹は七人いる。 僕の名前は|板垣譲二《いたがきじょうじ》、二十五歳。職業は実家が農家なのでその手伝いをしている。ミニトマト、米を作り農協で買い取って貰っている。彼女はいるが最近会っていない。会ってくれない、と言った方が的確か。なぜかは僕が後輩の女の子と仲良くしていたからだと思う、多分。嫉妬というやつだろう。てことは、彼女は僕のことがまだ好きでいてくれている証拠だ。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

処理中です...