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容疑者たち
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「この場合、一番得したのは誰だ」
太郎の疑問にはあっさりと答えた。
「孝徳天皇、斉明天皇、天智天皇、天武天皇」
「天皇しかいないの?」
太郎が目を丸くする。
「山背大兄皇子か古人大兄皇子のどちらかが即位していたら、そのうちの三人は廃れ皇子の運命だったはずだ」
中大兄の皇子と日本書紀にそう記されているが、ことが起きる前は単に葛城の皇子とだけ呼ばれていただろう。
大兄というのは大王候補という意味で呼ばれる。
この時点で大兄の地位にいたのは山背大兄皇子と古人大兄皇子の二人だけ。つまり蘇我氏の母を持つ二人だけだった。
そして、そうじゃない皇子は最初から候補に上らない、大兄の称号を得ることはできなかった。
つまり、この時点で大兄の地位にあった山背大兄皇子は入鹿と不仲という事実はなかったという仮説が成り立つ。
「皇極天皇は中大兄の皇子が成長するまでの中継ぎという説が有力だと聞いたことがあるけど」
太郎がそう呟く。
「でもな、この場合、たぶん舒明天皇は、古人大兄皇子を即位させるために皇極天皇を即位させたんじゃないかと思う」
俺はそう考えた。
はなっから蘇我氏は中大兄皇子を皇位継承など考えていなかっただろう。
「大兄になるには年齢制限がある感じだな。舒明天皇が亡くなる直前大兄は山背大兄皇子しかいなかったんじゃないかな、そして古人大兄皇子が大兄の身分を得るまでの時間稼ぎに皇極天皇を即位させたんだ」
「それ、皇極天皇は不満に思わないわけ」
「ないだろうな」
愛人の息子を即位させるために、普通に怒る。
「しかしまあ、そんな考え方ができるというだけだけどな」
俺はこきこきと首を鳴らす。
「そもそも舒明天皇も即位するために法提郎女と娶ったんじゃね、法提郎女の産んだ子供を大兄にするという条件でさ、皇后はただのお飾りだったんじゃないかね」
ああ、軽く頭を抱える太郎。
「やばいよな、それ」
「そもそも舒明天皇の父親は彦人大兄皇子っていうんだけど、敏達天皇の長男だったが蘇我系の皇子に追い落とされて生涯即位できなかったんだ」
ああああと太郎がつぶやく。
太郎の疑問にはあっさりと答えた。
「孝徳天皇、斉明天皇、天智天皇、天武天皇」
「天皇しかいないの?」
太郎が目を丸くする。
「山背大兄皇子か古人大兄皇子のどちらかが即位していたら、そのうちの三人は廃れ皇子の運命だったはずだ」
中大兄の皇子と日本書紀にそう記されているが、ことが起きる前は単に葛城の皇子とだけ呼ばれていただろう。
大兄というのは大王候補という意味で呼ばれる。
この時点で大兄の地位にいたのは山背大兄皇子と古人大兄皇子の二人だけ。つまり蘇我氏の母を持つ二人だけだった。
そして、そうじゃない皇子は最初から候補に上らない、大兄の称号を得ることはできなかった。
つまり、この時点で大兄の地位にあった山背大兄皇子は入鹿と不仲という事実はなかったという仮説が成り立つ。
「皇極天皇は中大兄の皇子が成長するまでの中継ぎという説が有力だと聞いたことがあるけど」
太郎がそう呟く。
「でもな、この場合、たぶん舒明天皇は、古人大兄皇子を即位させるために皇極天皇を即位させたんじゃないかと思う」
俺はそう考えた。
はなっから蘇我氏は中大兄皇子を皇位継承など考えていなかっただろう。
「大兄になるには年齢制限がある感じだな。舒明天皇が亡くなる直前大兄は山背大兄皇子しかいなかったんじゃないかな、そして古人大兄皇子が大兄の身分を得るまでの時間稼ぎに皇極天皇を即位させたんだ」
「それ、皇極天皇は不満に思わないわけ」
「ないだろうな」
愛人の息子を即位させるために、普通に怒る。
「しかしまあ、そんな考え方ができるというだけだけどな」
俺はこきこきと首を鳴らす。
「そもそも舒明天皇も即位するために法提郎女と娶ったんじゃね、法提郎女の産んだ子供を大兄にするという条件でさ、皇后はただのお飾りだったんじゃないかね」
ああ、軽く頭を抱える太郎。
「やばいよな、それ」
「そもそも舒明天皇の父親は彦人大兄皇子っていうんだけど、敏達天皇の長男だったが蘇我系の皇子に追い落とされて生涯即位できなかったんだ」
ああああと太郎がつぶやく。
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