ダークアクターMOB

karon

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依頼

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 翌日、多少の寝不足を除けば体調は悪くなく、酒は完全に抜けていた。
 俺は副業のために身だしなみを整える。
 グレーのスーツにアタッシュケース。髪はムースで固めてきっちりとした格好をした。
 鏡で見ればごく普通の勤め人のような格好になった。
 俺はメモにあった会社の前に立っていた。
 携帯を片手に相手が出てくるのを待った。そして一人の中年男が出てくるのを確認した。
 俺は覚えていた写真の顔を思い出す。
 そして俺は相手の後をつけた。そして行動パターンをメモしておく。
 男が会社から出て自宅に帰るまでずっと後をつけた。
 男はちょっと高めのマンションに住んでいた。それなりにいい収入を得ているらしい。
 家族の姿は見なかった。家族が悲しむとは限らない。依頼人が家族であるケースも多々あるようだ、まあ俺は確かめたことは無いが。
 一応三日間欠かさず俺は相手を調べていた。一度会社の中にも入ってみた。パワハラ上司の毛があった。
 だが、会社内では仕事ができない。俺は出社と帰宅を尾行し続けた。
 大体のパターンが読めたところで俺は斎藤さんの連絡を待った。
 変装を解かずに俺は斎藤さんに会った。
「どうだった」
 右手を頬にあて軽くしなをつくる斎藤さんを俺は冷めた目で見て言った。
「大体パターンはつかんだ、たぶんできるよ」
 それだけ言うと俺はスマホをいじり始めた。
 一応他の団員からのラインも入っていた。それに適当に返事を入れていた。
 斎藤さんとの仕事のやり取りに関してはスマホを使うことは無い。何しろ情報流出が怖いからな。
 使うときはあらかじめ決めておいた符丁で情報を最低限に交換する。
 斎藤さんは俺の顔を覗き込む。
「それで、相手の情報は聞かなくていいの」
 にんまりと笑う。それに俺は無表情に見返した。
「別に興味ない」
 どういう訳ありなのかなんて聞いても無駄なことだ、やることは変わらない。
「三日後に仕事するわ」
 俺はそう言って髪をぐしゃぐしゃとかき回してネクタイを緩めた。
 よっぽどのアクシデントがない限り仕事は滞りなく終わるだろう。
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