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古い遺跡のある丘
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翌日、アリスはナニーメイドのマティルダに起こされた。
アリスとエイミーはマティルダに世話をされて洗顔などをこなしていた。
メアリーはすでにマティルダの面倒を見ることはしなくなっていた。そのためメアリーはいまだにベッドから起きだしてこない。
アリスはマティルダからタオルを受け取った。
マティルダは朝から昼までの勤務と決まっていた。
夜妹たちの面倒を見るのはメアリーの仕事と決まっているのだがさいきんさぼり気味だ。
「お客様は今日何をするの?」
アリスはそう聞くとマティルダはにっこりと笑った。
「今日はあの遺跡に行くそうですよ」
だから今日はお客様を気にしなくてもいいということらしい。
今日、Mrsモーリスは来ない。自習は午前中で終わりだ。
アリスは家の外で遊ぶことにした。
森のふちを通っていけば小さな丘に出る。
アリスのいつもの散歩コースだった。
森の涼しい風を感じながらアリスは小さく歌を口ずさんだ。
歌は不意に二重唱になる。いつの間にかデイジーがアリスの後ろを歩いていた。
アリスはそのまま二人で合唱していたが不意に歌い止んだ。
父親の話し声が聞こえていた。
アリスはこっそりと様子をうかがう。丘は柔らかな緑の下草がふんだんに生えそろっているので足音は問題ない。
この丘は古代の遺跡が残っていていくつもの巨大な石柱が丘のいたるところに建っていた。
柱には読めない言葉で緻密な文様のように彫り込まれていた。
柱はすべて上部が破損していた。もとは巨大な建物だったのかもしれないそして柱の上に屋根があったのだろうがそれがどんなものだったのかはわからない。ただ隠れるところはいくらでもある。
アリスはそっと物影からそちらをのぞき込んだ。
父親はあちら側にある柱に寄りかかってメイフェザー氏と話をしていた。
「ここが古の詩人、ゲートのインスピレーションの泉ですよ」
アリスも一度聞いたことがある。
アリスの家には昔、父と同じ詩人が住んでいたのだという。
父親はその詩人の旧家を見つけて購入し転居してきたのだという。
父親は時々アリスにその詩人の詩集を見せてくれた。アリスはいつも父親の書斎に入り浸っていたがメアリーは近づきもしない。
エイミーは母親に父親の書斎に入る許可をもらえていなかった。
アリスは父親の様子を見ていた。
「これがゲートの詩の源泉ですか」
メイフェザー氏はしばらく無言で柱に刻まれた文字列を見ていた。
「古代の文字ですか」
「これは解読されているのですか」
「私には読めませんね」
父親はそう言いながら天を仰ぐ。
「ただ、たまに学者が解読するために書き写していくようですよ」
そうした学者が玉にアリスの家に滞在することがある。そうした学者は宿代としていくらか包み食事は庭先で自炊していた。
普段台所で見る鍋と全く違う足の着いた鍋やフライパンをアリスは物珍しそうに見ていた。
用意するのがベッドだけなので母親もさして気にしていなかった。
「近くに家があるのでここは快適だよ、テントを張って生活しなけりゃならないことが多いしね」
ヤギのような髭のあるその学者さんはそう言っていた。
アリスはその学者さんの話を聞くのが好きだった。
アリスとエイミーはマティルダに世話をされて洗顔などをこなしていた。
メアリーはすでにマティルダの面倒を見ることはしなくなっていた。そのためメアリーはいまだにベッドから起きだしてこない。
アリスはマティルダからタオルを受け取った。
マティルダは朝から昼までの勤務と決まっていた。
夜妹たちの面倒を見るのはメアリーの仕事と決まっているのだがさいきんさぼり気味だ。
「お客様は今日何をするの?」
アリスはそう聞くとマティルダはにっこりと笑った。
「今日はあの遺跡に行くそうですよ」
だから今日はお客様を気にしなくてもいいということらしい。
今日、Mrsモーリスは来ない。自習は午前中で終わりだ。
アリスは家の外で遊ぶことにした。
森のふちを通っていけば小さな丘に出る。
アリスのいつもの散歩コースだった。
森の涼しい風を感じながらアリスは小さく歌を口ずさんだ。
歌は不意に二重唱になる。いつの間にかデイジーがアリスの後ろを歩いていた。
アリスはそのまま二人で合唱していたが不意に歌い止んだ。
父親の話し声が聞こえていた。
アリスはこっそりと様子をうかがう。丘は柔らかな緑の下草がふんだんに生えそろっているので足音は問題ない。
この丘は古代の遺跡が残っていていくつもの巨大な石柱が丘のいたるところに建っていた。
柱には読めない言葉で緻密な文様のように彫り込まれていた。
柱はすべて上部が破損していた。もとは巨大な建物だったのかもしれないそして柱の上に屋根があったのだろうがそれがどんなものだったのかはわからない。ただ隠れるところはいくらでもある。
アリスはそっと物影からそちらをのぞき込んだ。
父親はあちら側にある柱に寄りかかってメイフェザー氏と話をしていた。
「ここが古の詩人、ゲートのインスピレーションの泉ですよ」
アリスも一度聞いたことがある。
アリスの家には昔、父と同じ詩人が住んでいたのだという。
父親はその詩人の旧家を見つけて購入し転居してきたのだという。
父親は時々アリスにその詩人の詩集を見せてくれた。アリスはいつも父親の書斎に入り浸っていたがメアリーは近づきもしない。
エイミーは母親に父親の書斎に入る許可をもらえていなかった。
アリスは父親の様子を見ていた。
「これがゲートの詩の源泉ですか」
メイフェザー氏はしばらく無言で柱に刻まれた文字列を見ていた。
「古代の文字ですか」
「これは解読されているのですか」
「私には読めませんね」
父親はそう言いながら天を仰ぐ。
「ただ、たまに学者が解読するために書き写していくようですよ」
そうした学者が玉にアリスの家に滞在することがある。そうした学者は宿代としていくらか包み食事は庭先で自炊していた。
普段台所で見る鍋と全く違う足の着いた鍋やフライパンをアリスは物珍しそうに見ていた。
用意するのがベッドだけなので母親もさして気にしていなかった。
「近くに家があるのでここは快適だよ、テントを張って生活しなけりゃならないことが多いしね」
ヤギのような髭のあるその学者さんはそう言っていた。
アリスはその学者さんの話を聞くのが好きだった。
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