解かり合えない二人

karon

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発光体

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 おぼろな、揺らめくような光がいくつもともる。
 ふわふわとしたその光は徐々に集まってきた。
 それはランタンを手にした女たちだった。そしてランタンを一人が頭上に掲げる。
「悪しきものはかの地の生贄に捧げられた」
 朗々と響き渡る声がした。
 エリザベスは黒いローブを身にまとい、自らの手にあるランタンを大きく頭上に掲げる。
 マリーアンヌはたった一人尼僧院に追いやられた。いや尼僧院とは名ばかりのその場所は罪人を清め神の身元に送るための場所だ。
 その場所に贈られれば半年と生きのびることは無い。
 エリザベスの唇が吊り上がった。
 教化を拒んだ愚かな女は地の果てで朽ちていけばいい。それこそがあの女にふさわしい死にざまだ。
 我らの理想は消えはしない。
 同性愛者の領主を持つこの場所は女性の地位がとても低かった。
 子供を作るための道具。それがこの地の女性のありようだった。
 だが彼女がやってきてそれが変わった。
 男たちはいくらでも戯れればいいのだ。それが女たちの娯楽となる。それを教えてくれた彼女に女たちは忠誠を誓った。
 そして彼女に強化された女たちも新たにこの地にやってきた。
 少しずつ、だが確実に彼女はその勢力を伸ばしていく。
 愚かな領主は気づかない。実に物分かりのいい女がやってきたのだと喜んでいる。
 彼女は積極的に近隣の未明い少年たちを集めさえしたのだ。
 ただの気の利く女、そう思わせておけばいい、そこからエリザベスは足場を固める。そして同胞たちのための場所を作る。
 エリザベスは己の志の正しさを疑わない。
 そしてエリザベスは徐々にこの国をむしばんでいく。
 発酵した女たち。
 そう呼ばれ恐れられる存在。
 その時は近い。

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