14 / 14
発光体
しおりを挟む
おぼろな、揺らめくような光がいくつもともる。
ふわふわとしたその光は徐々に集まってきた。
それはランタンを手にした女たちだった。そしてランタンを一人が頭上に掲げる。
「悪しきものはかの地の生贄に捧げられた」
朗々と響き渡る声がした。
エリザベスは黒いローブを身にまとい、自らの手にあるランタンを大きく頭上に掲げる。
マリーアンヌはたった一人尼僧院に追いやられた。いや尼僧院とは名ばかりのその場所は罪人を清め神の身元に送るための場所だ。
その場所に贈られれば半年と生きのびることは無い。
エリザベスの唇が吊り上がった。
教化を拒んだ愚かな女は地の果てで朽ちていけばいい。それこそがあの女にふさわしい死にざまだ。
我らの理想は消えはしない。
同性愛者の領主を持つこの場所は女性の地位がとても低かった。
子供を作るための道具。それがこの地の女性のありようだった。
だが彼女がやってきてそれが変わった。
男たちはいくらでも戯れればいいのだ。それが女たちの娯楽となる。それを教えてくれた彼女に女たちは忠誠を誓った。
そして彼女に強化された女たちも新たにこの地にやってきた。
少しずつ、だが確実に彼女はその勢力を伸ばしていく。
愚かな領主は気づかない。実に物分かりのいい女がやってきたのだと喜んでいる。
彼女は積極的に近隣の未明い少年たちを集めさえしたのだ。
ただの気の利く女、そう思わせておけばいい、そこからエリザベスは足場を固める。そして同胞たちのための場所を作る。
エリザベスは己の志の正しさを疑わない。
そしてエリザベスは徐々にこの国をむしばんでいく。
発酵した女たち。
そう呼ばれ恐れられる存在。
その時は近い。
ふわふわとしたその光は徐々に集まってきた。
それはランタンを手にした女たちだった。そしてランタンを一人が頭上に掲げる。
「悪しきものはかの地の生贄に捧げられた」
朗々と響き渡る声がした。
エリザベスは黒いローブを身にまとい、自らの手にあるランタンを大きく頭上に掲げる。
マリーアンヌはたった一人尼僧院に追いやられた。いや尼僧院とは名ばかりのその場所は罪人を清め神の身元に送るための場所だ。
その場所に贈られれば半年と生きのびることは無い。
エリザベスの唇が吊り上がった。
教化を拒んだ愚かな女は地の果てで朽ちていけばいい。それこそがあの女にふさわしい死にざまだ。
我らの理想は消えはしない。
同性愛者の領主を持つこの場所は女性の地位がとても低かった。
子供を作るための道具。それがこの地の女性のありようだった。
だが彼女がやってきてそれが変わった。
男たちはいくらでも戯れればいいのだ。それが女たちの娯楽となる。それを教えてくれた彼女に女たちは忠誠を誓った。
そして彼女に強化された女たちも新たにこの地にやってきた。
少しずつ、だが確実に彼女はその勢力を伸ばしていく。
愚かな領主は気づかない。実に物分かりのいい女がやってきたのだと喜んでいる。
彼女は積極的に近隣の未明い少年たちを集めさえしたのだ。
ただの気の利く女、そう思わせておけばいい、そこからエリザベスは足場を固める。そして同胞たちのための場所を作る。
エリザベスは己の志の正しさを疑わない。
そしてエリザベスは徐々にこの国をむしばんでいく。
発酵した女たち。
そう呼ばれ恐れられる存在。
その時は近い。
0
お気に入りに追加
13
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました
空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。
結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。
転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。
しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……!
「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」
農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。
「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」
ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)

困りました。縦ロールにさよならしたら、逆ハーになりそうです。《改訂版》
新 星緒
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢アニエス(悪質ストーカー)に転生したと気づいたけれど、心配ないよね。だってフラグ折りまくってハピエンが定番だもの。
趣味の悪い縦ロールはやめて性格改善して、ストーカーしなければ楽勝楽勝!
……って、あれ?
楽勝ではあるけれど、なんだか思っていたのとは違うような。
想定外の逆ハーレムを解消するため、イケメンモブの大公令息リュシアンと協力関係を結んでみた。だけどリュシアンは、「惚れた」と言ったり「からかっただけ」と言ったり、意地悪ばかり。嫌なヤツ!
でも実はリュシアンは訳ありらしく……

【完結】断罪された悪役令嬢は、全てを捨てる事にした
miniko
恋愛
悪役令嬢に生まれ変わったのだと気付いた時、私は既に王太子の婚約者になった後だった。
婚約回避は手遅れだったが、思いの外、彼と円満な関係を築く。
(ゲーム通りになるとは限らないのかも)
・・・とか思ってたら、学園入学後に状況は激変。
周囲に疎まれる様になり、まんまと卒業パーティーで断罪&婚約破棄のテンプレ展開。
馬鹿馬鹿しい。こんな国、こっちから捨ててやろう。
冤罪を晴らして、意気揚々と単身で出国しようとするのだが、ある人物に捕まって・・・。
強制力と言う名の運命に翻弄される私は、幸せになれるのか!?
※感想欄はネタバレあり/なし の振り分けをしていません。本編より先にお読みになる場合はご注意ください。

巻き込まれて婚約破棄になった私は静かに舞台を去ったはずが、隣国の王太子に溺愛されてしまった!
ユウ
恋愛
伯爵令嬢ジゼルはある騒動に巻き込まれとばっちりに合いそうな下級生を庇って大怪我を負ってしまう。
学園内での大事件となり、体に傷を負った事で婚約者にも捨てられ、学園にも居場所がなくなった事で悲しみに暮れる…。
「好都合だわ。これでお役御免だわ」
――…はずもなかった。
婚約者は他の女性にお熱で、死にかけた婚約者に一切の関心もなく、学園では派閥争いをしており正直どうでも良かった。
大切なのは兄と伯爵家だった。
何かも失ったジゼルだったが隣国の王太子殿下に何故か好意をもたれてしまい波紋を呼んでしまうのだった。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。
三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*
公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。
どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。
※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。
※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる