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発覚

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 拝家の当主がいきなり呼び出されたのは、後宮に送り込んでいた部下からの連絡が途絶えた直後だった。
 王の謁見の間にはいつもは多数の人間がいる。しかし、今日に限って誰もいない。
 がらんとした広大な空間。それはどこか寒々しい。
 明らかに出入りが禁止されている。
「いったい何が」
 思わず、声が漏れた。
 従者は、先ほど進むことを止められた、今は別室に待機しているはずだ。
 もし、後宮にいる部下が抑えられたのならば、問答無用でとらえられているはずだ。それをせずただ呼び出すだけ。それも大掛かりな出入り禁止までして自分だけを呼び出す。
 意図が読めず、何をしていいのかもわからない。
 玉座に座る王とそのわきに置かれた椅子に座る二名の姿が目に入る。
 一人は薄絹を頭からかぶって姿を隠した、しかし下に着ているものと体形から若い女に見える。
 もう一人は、後宮に送り込んだはずの孫だった。
 不肖の息子のなぜかそこそこ賢い孫だが、何故この場にいるのか。
 わけがわからないまま。彼は王の前に膝をつく。王は読めない表情で彼を見下ろしてる。
「いきなり呼び出してすまないな」
 王が口を開く。
 彼はますます頭を下げた。
「この度、わが国において極めて朗報がある」
 朗報という言葉が、彼に対してではないと察した。
「芍薬が懐妊した。これにより、新たな王族が生まれる」
 先代の崩御後の騒ぎで、王族の数は激減した。その王族が新たに生まれるのだから慶事には間違いない。しかし、彼だけを呼び出す必要性が分からない。
 大多数の貴族を集め大々的に発表するのが通常のありようだろう。
「何故、お前一人が呼び出されたか、わからないのか?」
 来たかと彼は肩を震わせる。
 芍薬追い落としの策がばれたのだ、そのための断罪がなぜこういう形になったのかは謎だが。
「芍薬、顔を見せてやれ」
 傍らの女が薄絹をまくる。その絹を傍らの孫が受け取った。
 二人は同じ顔をしていた。
「芍薬の弟だ、見知っているな」
 一気に頭に血が上り再び下がった。
 ようやく事情が理解できたのだ。
「芍薬の懐妊の宴を近々開くことになるだろうな、無論、一族にも知らせるがいい」
 王はにこやかに笑っている。しかし、目が笑っていない。
 そして、傍らの孫達も何の表情も浮かべていない。
「あの男の身柄はこちらにある。ああ、そろそろ、人質にとったその家族もこちらの手のものが奪い返したころだな、まだ生かしておいたのか?」
 冷たい汗が、全身を濡らす。
「下がれ」
 そう言われて、よろよろと立ち上がる。
 よろめきながら歩いていきその間ずっと何がどうなっているのかと自問自動詞続けていた。
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