21 / 26
ルーティン
しおりを挟む
僕は周囲の学友を見た。
僕がとっている授業は役人志望の人間かかなり大きめの商家の番頭になりたい人間がとるものだった。
そしてここで学んでいる人間はまず一生この街を出ることはできない。
ほんの短時間出ることは可能らしい。仕事の都合で数日別の土地に泊まることは可能なんだとか。
しかしべつの場所に住むことはできない。
どういう現象が起きるのか知らないが何かが起きるらしい。それを経験した人は誰もが口をつぐんでいる。口にするのも恐ろしいらしい。
だから、ほとんどの学友たちはこの街の運営に携わる仕事をする前提でこの授業を受けているんだろう。
だとすれば僕の進路はほかの学友たちと同じはずだ。だとすればなんでわざわざ僕を呼び出したりしたんだろう。
僕はそんなことを思いながら教科書を開いた。僕が悩んでも迷ってもそれでも時は着々と過ぎていく。
授業中に襲撃が始まった。
それぞれの持ち場にいつものように走った僕は、かつての僕のようにパニックに陥った人がその場で泣き叫んでいるのを見た。
無理もない、今日の敵はひときわ気色悪い。
ぬめぬめとした蜥蜴のような巨大な怪物がのし歩いている。
その人は恰幅の言い、結構上等な艶のある茶色い生地で重厚な服装をした人だった。そのままふんぞり返っていればかなり偉そうな風に見えるだろう。
口を大きく開けて悲鳴を上げているせいで整えた口ひげが歪んで見えた。
その人そ見ていたのはほんの数秒のこと、僕の身体はそのまま上空に移動する。
見下した先で陸戦部隊の誰かがその人を適当な建物に押し込むのが見えた。
僕の眼前には皮膜で飛ぶ蜥蜴が見えた。
うろこのあるムササビのような生き物に向かって僕はまっすぐに体当たりの態勢をとる。
僕が斬りつけた相手が傾いた後、それが火に包まれた。
ミランダさんも頑張っているなあ。
僕はそんなことを考えた。次々に火砲が撃ち出される。それをかいくぐりながら僕は空中を飛んでいく。
僕たちが飛んでいるんだから手加減してほしいものなんだが。
少し前の僕ならパニック起こして泣きわめいていたはずだ、いつの間にか僕もふてぶてしくなっていったな。
僕の背後で僕よりも大きな機体で飛んでいるマリアも頑張っているようだ。
マリアの機体は火を吐くことができる。
小さくちぎれた蜥蜴のかけらを焼き払っている。
ここまで苛烈な戦いが行われているのにどうして周囲の建物に被害が出ないのか本当に不思議だ。
ガラス扉が敵の体当たりに耐えきったしな。
ある程度掃討が終わると僕は校庭に降り立った。
同じように降りてきた空挺部隊の仲間はまるで掃除当番が終わったかのように穏やかな笑顔を浮かべて元の仕事場や授業に戻った。
いつの間にかルーティンになってしまったその日だった。
僕がとっている授業は役人志望の人間かかなり大きめの商家の番頭になりたい人間がとるものだった。
そしてここで学んでいる人間はまず一生この街を出ることはできない。
ほんの短時間出ることは可能らしい。仕事の都合で数日別の土地に泊まることは可能なんだとか。
しかしべつの場所に住むことはできない。
どういう現象が起きるのか知らないが何かが起きるらしい。それを経験した人は誰もが口をつぐんでいる。口にするのも恐ろしいらしい。
だから、ほとんどの学友たちはこの街の運営に携わる仕事をする前提でこの授業を受けているんだろう。
だとすれば僕の進路はほかの学友たちと同じはずだ。だとすればなんでわざわざ僕を呼び出したりしたんだろう。
僕はそんなことを思いながら教科書を開いた。僕が悩んでも迷ってもそれでも時は着々と過ぎていく。
授業中に襲撃が始まった。
それぞれの持ち場にいつものように走った僕は、かつての僕のようにパニックに陥った人がその場で泣き叫んでいるのを見た。
無理もない、今日の敵はひときわ気色悪い。
ぬめぬめとした蜥蜴のような巨大な怪物がのし歩いている。
その人は恰幅の言い、結構上等な艶のある茶色い生地で重厚な服装をした人だった。そのままふんぞり返っていればかなり偉そうな風に見えるだろう。
口を大きく開けて悲鳴を上げているせいで整えた口ひげが歪んで見えた。
その人そ見ていたのはほんの数秒のこと、僕の身体はそのまま上空に移動する。
見下した先で陸戦部隊の誰かがその人を適当な建物に押し込むのが見えた。
僕の眼前には皮膜で飛ぶ蜥蜴が見えた。
うろこのあるムササビのような生き物に向かって僕はまっすぐに体当たりの態勢をとる。
僕が斬りつけた相手が傾いた後、それが火に包まれた。
ミランダさんも頑張っているなあ。
僕はそんなことを考えた。次々に火砲が撃ち出される。それをかいくぐりながら僕は空中を飛んでいく。
僕たちが飛んでいるんだから手加減してほしいものなんだが。
少し前の僕ならパニック起こして泣きわめいていたはずだ、いつの間にか僕もふてぶてしくなっていったな。
僕の背後で僕よりも大きな機体で飛んでいるマリアも頑張っているようだ。
マリアの機体は火を吐くことができる。
小さくちぎれた蜥蜴のかけらを焼き払っている。
ここまで苛烈な戦いが行われているのにどうして周囲の建物に被害が出ないのか本当に不思議だ。
ガラス扉が敵の体当たりに耐えきったしな。
ある程度掃討が終わると僕は校庭に降り立った。
同じように降りてきた空挺部隊の仲間はまるで掃除当番が終わったかのように穏やかな笑顔を浮かべて元の仕事場や授業に戻った。
いつの間にかルーティンになってしまったその日だった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる