闘えホワイト君

ランチと報告会

　校庭で売店で買ったランチをとりながら四人で話し合うことになった。
　僕は魚のペーストをはさんだサンドウィッチを手に瓶入りのお茶を飲んだ。
　ドウとキュンはでっかいソーセージをはさんだ巨大なホットドッグにかぶりついている。
　マリアは自宅から持ってきたランチボックスから出したチキンの照り焼きをフォークで口に運んでいる。
「ミランダさんはそんなことあったことは無いって言ってたんだけど」
　ある程度食べ終わってから僕は口を開いた。
　考え事をしながら食事をすると消化に悪い。商家もへったくれもなく早食いでホットドッグを詰め込んだ二人は指先をなめていた。
「その人砲手だろ、まず前衛に出ないからなあ」
　ミランダさんは僕より十歳以上年上であり、単純計算でも十数年の戦歴があるがあくまで後衛そうなると例外と言った事象に詳しくないかもしれない。
　そう言いたいらしい。確かにそうだがその場合ミランダさん同様十数年のキャリアのある前衛の人に話を聞くべきだろうか。
「航空隊の隊長じゃないかしら」
　マリアがそう言うと妥当じゃないかとドウとキュンの二人も頷く。
「アンソニーさんか」
　この間ご馳走してもらったし、何か菓子折りでももってお礼に行くべきだろうと思っていた。
「とりあえず贈答品のお菓子を売っている店を知らないか？」
　呆れた顔でキュンが呻く。
「その報告をした場合、菓子買ってくる暇があったらさっさと来いって怒られると思うが」
　言われた意味が分からない。こういう時礼儀は大事だと思うのだが。
　一応アンソニーさんの住所はひかえてある。
「私も一緒に行くわ」
　マリアもそう言ってきた。
　学校を早退してその足でアンソニーさんの家に向かった。
「そう言えば、ラリー君、将来どうするつもりなの？」
　学校を卒業したら、一応僕は役人になるつもりでその授業をとっていた。しかしこの街を出て行くことができない以上この街の運営にかかわることになるってことなんだよな。
「マリアはどうするの」
「うちは自営で商売しているから学校を卒業したらそっちを手伝う予定よ、今の授業は経理があるからね」
　まあ、役人の仕事も税務署あたりに行けば経理の仕事が多いから商売関係の子も結構いるらしい。
　アンソニーさんの家は海沿いの道を奥に入った場所にあった。
　高台は割と高級住宅、海沿いは商店主かその従業員といった低所得層が住んでいる集合住宅が林立している。
　俺は割合海から奥まった場所に家があるので中堅当たりの家に住んでいる。大伯父さんはいったい何をしていたのかは不明だ。
　そしてアンソニーさんの家は俺の家と大きさはさほど変わらない。俺は家族世帯単位の住宅を一人暮らしにしているのだが多分家族と住んでいるんだろう。
　僕は一枚板の扉のノッカーに手をかけた。
　カンカンと甲高い音がした。
「お客様？」
　十歳くらいの少年がいつの間にか僕のわきにやってきていた。アンソニーさんの息子さんだろうか。
「アンソニーさんに話があって」
「いつも来る人と違う」
　少年はそばかすの浮いた頬を膨らませる。
「僕は新入りなんだよ、でもちゃんと航空隊の人間だよ」
「トミー、何をしているんだ」
　僕の後ろに買い物かごを持ったアンソニーさんが立っていた。
　どうやら外出中だったらしい。
「あの、相談させていただきたいことがありまして」
　僕は何度も頭を下げながらそう言った。