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探索開始
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俺たちはまず、最初のポイントであるティランのかつての住居跡にたどり着いた。
ここは基本であり、家じゅう家探しし、床下まで掘り返したが政権は見つからなかったという。
辛うじて敷石だけがあるその場所で家の間取りなどを確認する。
家の大きさは結構普通だ。郊外の一軒家ぐらいか。すり減ったタイル張りの場所はおそらく炊事場だろう。調理台があったあたりが特にすり減っている。
「この辺りに焜炉があったのかしらね」
すり減ったタイルをしゃがみこんだ姿勢でサイカニアが確認する。
「ここは掘り返さなかったのかしら」
「やっぱり、この状態なら掘り返した形跡はないからかな」
このタイル張りをはがして何かを埋め込むのはかなり困難な仕事だ。
「魔法を使えばと思うけど、結構繊細な仕事になるな」
タイルの傷一枚一枚を奇麗に一致させて、なおかつ何かを埋めるには相当な時間がかかる。
「ほかは板張りだったから、すぐはがしたみたいだな」
第一の探索場所として、ティランの自宅は壁一枚残さず解体された。
「見取り図ついてるよ」
ハルキゲニアが自慢そうにティランの自伝を取り出した。
自宅の外観とが表紙裏に、背表紙には見取り図が書かれている。
「家の広さとしては普通だな」
一応結構著名な魔法使いなのだ。それなりの豪邸に住んでいたのかと思った。
「一度結婚したけど、離婚して、一人暮らしだったって書いてある」
オピバニアが自伝についている年表を見ながら言う。
持ってきてよかっただろうと言わんばかりの態度だが、一冊あれば事足りるんだよ。
サイカニアは何事か考え込んでいるようだ。
「この近辺から持ち出されていないのは確実なんですよね」
「まあ、当時は軍隊まで出たらしいから」
サイカニアは軽く眉根を寄せた。
「考えていることはあるんですが、かなり突拍子もないことですよ」
「今は話せない?」
「今はまずいです」
そう言って、サイカニアはノートをぺらぺらとめくった。
「次は先人の足跡を追いましょう、確かこちらに手掛かりになりそうな石碑があったはずです」
サイカニアが指さした方向に進んでいく。
石碑も調べつくされたのだろう。顔料が付着していた。
この青白い粉は、魔石を削った希少品だ。それに魔力をしみこませ陣を描く。
極めて調整の難しい代物だ、これを使いこなせるというだけでそれなりの実力者だと認めてもらえる。
つまりそれなりの実力者が挑んだが駄目だったということだ。
成果なんか出せるんだろうか。
キッキと独特な鳴き声が聞こえた。
ふわふわした縦じまの尻尾と小さな耳。
ラタトクスが鳴いている。
「あれはラタトスクですね」
サイカニアが目を細めた。
ラタトスクはかわいらしい姿をしているが、れっきとした害獣だ。多少の警戒はするべきだろう。
ラタトスクの鳴き声が聞こえた後、別の金切り声が聞こえた。
オピバニアとマルレラだった。
ここは基本であり、家じゅう家探しし、床下まで掘り返したが政権は見つからなかったという。
辛うじて敷石だけがあるその場所で家の間取りなどを確認する。
家の大きさは結構普通だ。郊外の一軒家ぐらいか。すり減ったタイル張りの場所はおそらく炊事場だろう。調理台があったあたりが特にすり減っている。
「この辺りに焜炉があったのかしらね」
すり減ったタイルをしゃがみこんだ姿勢でサイカニアが確認する。
「ここは掘り返さなかったのかしら」
「やっぱり、この状態なら掘り返した形跡はないからかな」
このタイル張りをはがして何かを埋め込むのはかなり困難な仕事だ。
「魔法を使えばと思うけど、結構繊細な仕事になるな」
タイルの傷一枚一枚を奇麗に一致させて、なおかつ何かを埋めるには相当な時間がかかる。
「ほかは板張りだったから、すぐはがしたみたいだな」
第一の探索場所として、ティランの自宅は壁一枚残さず解体された。
「見取り図ついてるよ」
ハルキゲニアが自慢そうにティランの自伝を取り出した。
自宅の外観とが表紙裏に、背表紙には見取り図が書かれている。
「家の広さとしては普通だな」
一応結構著名な魔法使いなのだ。それなりの豪邸に住んでいたのかと思った。
「一度結婚したけど、離婚して、一人暮らしだったって書いてある」
オピバニアが自伝についている年表を見ながら言う。
持ってきてよかっただろうと言わんばかりの態度だが、一冊あれば事足りるんだよ。
サイカニアは何事か考え込んでいるようだ。
「この近辺から持ち出されていないのは確実なんですよね」
「まあ、当時は軍隊まで出たらしいから」
サイカニアは軽く眉根を寄せた。
「考えていることはあるんですが、かなり突拍子もないことですよ」
「今は話せない?」
「今はまずいです」
そう言って、サイカニアはノートをぺらぺらとめくった。
「次は先人の足跡を追いましょう、確かこちらに手掛かりになりそうな石碑があったはずです」
サイカニアが指さした方向に進んでいく。
石碑も調べつくされたのだろう。顔料が付着していた。
この青白い粉は、魔石を削った希少品だ。それに魔力をしみこませ陣を描く。
極めて調整の難しい代物だ、これを使いこなせるというだけでそれなりの実力者だと認めてもらえる。
つまりそれなりの実力者が挑んだが駄目だったということだ。
成果なんか出せるんだろうか。
キッキと独特な鳴き声が聞こえた。
ふわふわした縦じまの尻尾と小さな耳。
ラタトクスが鳴いている。
「あれはラタトスクですね」
サイカニアが目を細めた。
ラタトスクはかわいらしい姿をしているが、れっきとした害獣だ。多少の警戒はするべきだろう。
ラタトスクの鳴き声が聞こえた後、別の金切り声が聞こえた。
オピバニアとマルレラだった。
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