11 / 19
資料提供
しおりを挟む
夕食後ミーティングを始めたが、三人組の持ってきたのが、三人ともティラン・レックスの伝記一冊だとわかった。
いや、三人とも申し合わせたように一冊ずつ同じ本て、何考えてんだ。
サイカニアもなんだかフォローできないという顔で、ノートをいじっている。
サイカニアが用意したのは、今までここでオリエンテーリングした先達の残した記録。そこから参考になりそうなものを抜粋したようだ。
結構膨大な量があったのを全部確認したと言っていた。
サイカニアは地道な努力のできるできた女性だとわかる。
ついでに俺の用意したのは、ティラン・レックスの時代の魔方陣について。
封印されているなら、時代が合わなければならないはずと考えてだ。いろいろと書き写した分はノート三冊分ある。
その紋章を抜粋したものを真新しいページに書き写した。
「とりあえず、これに似た紋章を見つけたら地図に印をつけておいてくれ」
地図はサイカニアが用意していた。今までの調査結果も書き込まれてある。
「この資料どうしたんだ?」
「ああ、その、懇意にしている先輩に頼んだら用意してくれて」
「ええ、男?」
マルレラがいらんことを言い出す、このまま脱線するかもしれない。
「二学年上の女性です」
サイカニアがそういうとマルレラはつまらなそうに唇を尖らせた。
いったいどういう話をしようとしたんだ。
いや、こいつらが戦力にならないということはわかっていたはずじゃないか、せめて邪魔にならないことだけを祈ろう。実際別の意味で邪魔だけどな。
「紋章を刻むということですが、樹木にですか?」
「それはちょっと難しいかもしれませんね、樹木って、成長するじゃないですか。その過程で紋章が壊れたり、位置がずれたりしますから、その場合こまめな調整が必要なはずですよ、ティランはすでに亡くなっているので、調整は不可能。結界が壊れるはずです」
「結界に封じられていると思われるんですか?」
「そうでもなければ、探知の魔法に引っかかるはずですよ、どれほど地中深く埋まっていたとしてもね、それに、この課題に挑戦した人たちはそれなりの実力者が多かったはずですしね」
「確かに、顔触れを見てもそんな感じですね」
サイカニアが、自分のノートを確認しながら呟く。
「でも、何かが引っかかるんですよ」
サイカニアが髪をかき上げる。白い額があらわになり、ちょっとドキッとした。
「まあ、そうですね、それなり血こちらも進歩しているはずなのに、かつての魔法使いの宝を何年も見つけられないって」
オピバニアが伝記をぱらぱらとめくっている。
「ティランの聖剣ってその力を倍にする魔法がかかっているっていうけどね」
少しだけ目が真面目になる。
実際魔力は入学規定ギリギリ、もし平民だったら確実に入学できなかった、最低ランクとはいえ爵位なしでは入学できなかったろう実力のオピバニアには魔法を増幅する魔法というのはとても魅力的だろう。
これは俺の悪意ではなく正真正銘学校の成績表に刻まれた事実だ。
「ティランはもともと無能な魔法使いと思われていたんだけど、聖剣を手にしていきなり頭角を現し、聖剣を持っていない状態で殺された」
「そして聖剣はいまだ見つかっていない」
政権探しに血眼になる理由はそこだ。魔法を増幅する方法はまだ開発されていない。その魔法が手に入るかもしれないとなれば誰だってほしいだろう。
「岩ですか、そんなのあったかなあ」
サイカニアだけが真面目にノートを確認している。
いや、三人とも申し合わせたように一冊ずつ同じ本て、何考えてんだ。
サイカニアもなんだかフォローできないという顔で、ノートをいじっている。
サイカニアが用意したのは、今までここでオリエンテーリングした先達の残した記録。そこから参考になりそうなものを抜粋したようだ。
結構膨大な量があったのを全部確認したと言っていた。
サイカニアは地道な努力のできるできた女性だとわかる。
ついでに俺の用意したのは、ティラン・レックスの時代の魔方陣について。
封印されているなら、時代が合わなければならないはずと考えてだ。いろいろと書き写した分はノート三冊分ある。
その紋章を抜粋したものを真新しいページに書き写した。
「とりあえず、これに似た紋章を見つけたら地図に印をつけておいてくれ」
地図はサイカニアが用意していた。今までの調査結果も書き込まれてある。
「この資料どうしたんだ?」
「ああ、その、懇意にしている先輩に頼んだら用意してくれて」
「ええ、男?」
マルレラがいらんことを言い出す、このまま脱線するかもしれない。
「二学年上の女性です」
サイカニアがそういうとマルレラはつまらなそうに唇を尖らせた。
いったいどういう話をしようとしたんだ。
いや、こいつらが戦力にならないということはわかっていたはずじゃないか、せめて邪魔にならないことだけを祈ろう。実際別の意味で邪魔だけどな。
「紋章を刻むということですが、樹木にですか?」
「それはちょっと難しいかもしれませんね、樹木って、成長するじゃないですか。その過程で紋章が壊れたり、位置がずれたりしますから、その場合こまめな調整が必要なはずですよ、ティランはすでに亡くなっているので、調整は不可能。結界が壊れるはずです」
「結界に封じられていると思われるんですか?」
「そうでもなければ、探知の魔法に引っかかるはずですよ、どれほど地中深く埋まっていたとしてもね、それに、この課題に挑戦した人たちはそれなりの実力者が多かったはずですしね」
「確かに、顔触れを見てもそんな感じですね」
サイカニアが、自分のノートを確認しながら呟く。
「でも、何かが引っかかるんですよ」
サイカニアが髪をかき上げる。白い額があらわになり、ちょっとドキッとした。
「まあ、そうですね、それなり血こちらも進歩しているはずなのに、かつての魔法使いの宝を何年も見つけられないって」
オピバニアが伝記をぱらぱらとめくっている。
「ティランの聖剣ってその力を倍にする魔法がかかっているっていうけどね」
少しだけ目が真面目になる。
実際魔力は入学規定ギリギリ、もし平民だったら確実に入学できなかった、最低ランクとはいえ爵位なしでは入学できなかったろう実力のオピバニアには魔法を増幅する魔法というのはとても魅力的だろう。
これは俺の悪意ではなく正真正銘学校の成績表に刻まれた事実だ。
「ティランはもともと無能な魔法使いと思われていたんだけど、聖剣を手にしていきなり頭角を現し、聖剣を持っていない状態で殺された」
「そして聖剣はいまだ見つかっていない」
政権探しに血眼になる理由はそこだ。魔法を増幅する方法はまだ開発されていない。その魔法が手に入るかもしれないとなれば誰だってほしいだろう。
「岩ですか、そんなのあったかなあ」
サイカニアだけが真面目にノートを確認している。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。


【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる