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邪魔物達
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待ち合わせの駅、これは魔法転移の術がかかった施設だ。
行先の名前の付いた小部屋に入り再び出た時には目的地、料金はどれほどの距離と重量次第で変わる。しかし、魔法学校の生徒は駅に限らず魔法を使うところなら金を払わず利用できる。
扉の前にある魔法石、それに魔力を吸わせると、必要な魔力プラスアルファで料金を相殺できるのだ。まあ、これが持ち込み荷物の重量制限の理由ではあるのだが。重すぎると追加料金が来る。学生の身にその料金は重くのしかかる。
俺は目的地の地名の付いた扉の前で、そわそわと彼女の姿を待っていた。
サイカニアに会うのが楽しみすぎて三十分も早く来てしまった。しかし遅れるよりいいはずだ。
そしてやってきた彼女の姿と背後にいる不穏な三つの影。
「おはようございますアルケオさん」
にこりと微笑みサイカニアの背後にいたのは。
『おはようアルケオ』
ハルキゲニア・スパルサ、マルレラ・スペレンデンス、オピバニア・レガリスの下級貴族劣等生三人組だった。
「これ、結構難易度の高い課題だよね、何でお前らが受けようなんて無謀なことを考えた?」
オピバニアは分厚い眼鏡の向こうから俺を見てにっこりと笑う。
「成果を出さなくても単位をもらえた人がいるんですって」
こいつをぶん殴っていいだろうか。
成果を出さなくてといっても精いっぱいやった結果だ。何もしなくても単位を取得できるとは誰も言っていない。
マルレラは改造したひらひらの制服と校則違反ぎりぎりに飾り立てた髪型で流し目をしてくる。
裕福な商家生まれの俺が狙いなのはわかっているが、ずれている。本来狙うのは跡取りである兄だ。
ハルキゲニアはあいも変わらずぼんやりしている。どこか焦点のあっていない目が俺を見てそしてふいに視線がサイカニアにずれた。
すうっと目を細める。
「駄目よ……」
意味が分からん、全く意味が分からない。なんか理解できない。
「ええと、知ってる人たちですか?」
サイカニアは恐る恐る俺に訊いて生きた。
「ああ、知ってるっていうか、ちょっと家庭教師のまねごとを?」
「ええ、同じ学年ですよね、同学年で家庭教師って、アルケオさんて凄いんですね」
サイカニアはこぼれんばかりの笑顔を俺に向けた。思わぬ副産物に思わず小さくガッツポーズ、しかし俺がすごいわけじゃないこいつらができなさすぎるだけだ。
しかし、こいつらの目の前で真実を言うのはさすがにデリカシーがなさすぎるだろうか。
いや、こいつらを見ていればその実力はすぐに察してくれるだろう。
俺は曖昧に笑って扉の前の魔法石に触れた。
「俺が先に言って待ってます」
そう言って扉の内側に入る。
とても狭苦しい部屋だ。囚人が入る独房と同じ面積だと聞いたことがあるが、横になるのが精いっぱいというところか。
目の間の窓から駅職員の姿が見えた。
「転移します」
その言葉と同時に窓が閉じ、軽く振動を感じた。
再び窓が開けば駅職員が別人になっている。
俺は職員に一礼して、扉を開けた。扉のデザインは同じだが、廊下の材質が違う。この地方独特のどこか赤みがかかった石だ。
扉の前で待っていればまず出てきたのはマルレラ、ついでオピバニア、次にハルキゲニアで最後にサイカニアだった。
魔力を吸われた影響か三人はふらついている。どうしてこいつらが試験に受かったのだろうか。
そして、サイカニアはなぜか職員に手を握られていた。
「どうぞまたのお越しを」
何をしているのか、サイカニアが困っているだろう。
サイカニアに、行こうかと水を向けるとほっとした顔で俺のほうに笑いかけてくれた。
行先の名前の付いた小部屋に入り再び出た時には目的地、料金はどれほどの距離と重量次第で変わる。しかし、魔法学校の生徒は駅に限らず魔法を使うところなら金を払わず利用できる。
扉の前にある魔法石、それに魔力を吸わせると、必要な魔力プラスアルファで料金を相殺できるのだ。まあ、これが持ち込み荷物の重量制限の理由ではあるのだが。重すぎると追加料金が来る。学生の身にその料金は重くのしかかる。
俺は目的地の地名の付いた扉の前で、そわそわと彼女の姿を待っていた。
サイカニアに会うのが楽しみすぎて三十分も早く来てしまった。しかし遅れるよりいいはずだ。
そしてやってきた彼女の姿と背後にいる不穏な三つの影。
「おはようございますアルケオさん」
にこりと微笑みサイカニアの背後にいたのは。
『おはようアルケオ』
ハルキゲニア・スパルサ、マルレラ・スペレンデンス、オピバニア・レガリスの下級貴族劣等生三人組だった。
「これ、結構難易度の高い課題だよね、何でお前らが受けようなんて無謀なことを考えた?」
オピバニアは分厚い眼鏡の向こうから俺を見てにっこりと笑う。
「成果を出さなくても単位をもらえた人がいるんですって」
こいつをぶん殴っていいだろうか。
成果を出さなくてといっても精いっぱいやった結果だ。何もしなくても単位を取得できるとは誰も言っていない。
マルレラは改造したひらひらの制服と校則違反ぎりぎりに飾り立てた髪型で流し目をしてくる。
裕福な商家生まれの俺が狙いなのはわかっているが、ずれている。本来狙うのは跡取りである兄だ。
ハルキゲニアはあいも変わらずぼんやりしている。どこか焦点のあっていない目が俺を見てそしてふいに視線がサイカニアにずれた。
すうっと目を細める。
「駄目よ……」
意味が分からん、全く意味が分からない。なんか理解できない。
「ええと、知ってる人たちですか?」
サイカニアは恐る恐る俺に訊いて生きた。
「ああ、知ってるっていうか、ちょっと家庭教師のまねごとを?」
「ええ、同じ学年ですよね、同学年で家庭教師って、アルケオさんて凄いんですね」
サイカニアはこぼれんばかりの笑顔を俺に向けた。思わぬ副産物に思わず小さくガッツポーズ、しかし俺がすごいわけじゃないこいつらができなさすぎるだけだ。
しかし、こいつらの目の前で真実を言うのはさすがにデリカシーがなさすぎるだろうか。
いや、こいつらを見ていればその実力はすぐに察してくれるだろう。
俺は曖昧に笑って扉の前の魔法石に触れた。
「俺が先に言って待ってます」
そう言って扉の内側に入る。
とても狭苦しい部屋だ。囚人が入る独房と同じ面積だと聞いたことがあるが、横になるのが精いっぱいというところか。
目の間の窓から駅職員の姿が見えた。
「転移します」
その言葉と同時に窓が閉じ、軽く振動を感じた。
再び窓が開けば駅職員が別人になっている。
俺は職員に一礼して、扉を開けた。扉のデザインは同じだが、廊下の材質が違う。この地方独特のどこか赤みがかかった石だ。
扉の前で待っていればまず出てきたのはマルレラ、ついでオピバニア、次にハルキゲニアで最後にサイカニアだった。
魔力を吸われた影響か三人はふらついている。どうしてこいつらが試験に受かったのだろうか。
そして、サイカニアはなぜか職員に手を握られていた。
「どうぞまたのお越しを」
何をしているのか、サイカニアが困っているだろう。
サイカニアに、行こうかと水を向けるとほっとした顔で俺のほうに笑いかけてくれた。
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