彼女は運命

karon

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幾世紀後に会いましょう

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「つまり、こいつは前世に引きずられてストーカーになっただけなんですか」
 小次郎がとんでもなく失礼な質問をした。
「まあ、それもその美夕さんと離れればその影響も消えると思うわ」
 金輪際美夕さんに近づかなければ俺と美夕さんには何も起こらない。それが牧さんと原田という霊能力者の鑑定だった。
 美夕さんは前世の俺のせいで不本意な人生を送り、いらん苦労をしょい込んだせいで、俺とだけはかかわりたくないと生まれ変わる前に誓ったのだそうだ。
 そのため美夕さんの守護霊は俺に対し攻撃的になり、その結果のポルターガイスト現象だったというわけだ。
 ポルターガイストを起こしていたのは俺の守護霊も同様で、あまりにひどい前世の醜態を繰り返させないために、美夕さんと引き離そうとしたらしい。
「守護する人間によりよく生きてほしい、それが守護霊の使命なんだもの、それを全うしようとしただけよ多少手荒なことになってもね」
 牧さんはそう言って俺に言い聞かせようとした。
 正直納得したくはない。しかし、美夕さんは納得してしまった。
「もう近づいちゃだめよ」
 原田という女はそう言って、先に美夕さんを帰らせた。
 俺が彼女の跡をつけないようにここで時間稼ぎをするつもりらしい。
 ある程度時間をおいて原田という女は帰った。
「しかし物凄い執着ね、守護霊も心配するわけだ」
 牧さんはそう言って苦笑した。
「あそこまで拒否されているのに会話できるところまで近づくなんて、とんでもない執念だこと」
「ううう」
「でも、ここで頑張ったら、来世のそのまた来世で、ご縁があるかもしれないじゃない、あれほどの拒絶でも耐えきったんだから」
 拒絶っていうな。
「あの時点で改心していたら、今世でご縁があったかもしれないけどね、もしかしたら来世では彼女は小次郎君とくっつくかもしれないけど」
「なんでえ」
 牧さんは俺の心を砕くようなことを言う。
「だって小次郎君がいわゆる一朗太君だったんだもの。まあ、風の噂で御大尽の妾になったと聞いて失望して終わったんだけど、さっき事情を聴いたし、もしかしたらだけどね」
 あんまりだ。いや、前世の俺が二人の仲を裂いたのか?
「まあ、君にも希望はなくもないよ、何百年先かわからないけど、来世の来世で、それまで人類が絶滅しなければ」
 なんの希望もないことを言われて、俺は涙した。
 俺の恋が実るより、人類が絶滅する可能性のほうが高い気がするのはなぜだろう。
 だけど俺はその何百年後かを目指して、この人生を生きるしかないのか。多分俺の執着はとんでもなく、あきらめる気は全くない。だけど今度の人生は本当の間人間として終わりたいと思った。
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