彼女は運命

karon

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俺はあきらめない

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 金縛りがようやく解けたとき俺は大きく息を吐いてその場にへたり込んだ。
「兄貴、あの女やばいから、近づいちゃだめだ」
 小次郎はそう言って俺の肩をつかみ、真剣な目でそう言った。
「よく考えてみろ、今まで起きたおかしいことはもしかしてあの女と一緒にいた時ばかりだったんじゃないのか?」
 言われてみれば、最初は初めて彼女と一緒になったコンパだったけど。でも彼女が何かしたっていうんじゃない気がする。
 それに俺に植木鉢が落ちてきたのは単なる事故だよな。
「もしかして、彼女は何かに憑りつかれているのかも」
「そうかもな」
 じゃあ、彼女を、美夕さんを助けなきゃ。
「こうなったら、俺、彼女を助けに行くよ」
「だからどうしてそうなる」
 小次郎が俺の襟首をつかんだ。
「こういう場合、あの女と縁を切るというのが正しい対処法だろう?」
「それはない、だって彼女は俺の運命の人だから」
「色ぼけてんじゃねえよ、それに、あれはやばい、下手すれば命にかかわりかねないと思うぞ」
 小次郎は一歩も引かない、だが俺はあきらめない、どうしても彼女をあきらめることができないんだ、今までの投資の分もあるし。いや、彼女と付き合えるならそれくらいの投資やすいものだと思ってたけど。だからかかわらないという選択肢はない。
 学校二学部、そして名前も分かってる、俺は彼女の周囲を調べることにした。もし彼女が悪霊に取りつかれているなら、俺が何とかしてあげないと。
 俺は彼女を守りたい、それだけなんだ。
「あの、兄貴?」
 小次郎が何か言いたそうな顔をしていたが、俺は気にしない。彼女のことを知りたい、それが俺の望みだった。
 小次郎は俺の荷物を持ったまましばらく茫然と立ち尽くしていた。
「兄貴、あんた阿保や」
 小次郎がものすごく失礼なことを口走っているが、寛大な俺は許してやることにした。

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