貴方は誰ですか

karon

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学園祭二日目 2

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 発表のない時間は適当に暇をつぶすことになっていた。最近はやりの飲食店が庭園に出店に入るようになってからそうした暇つぶしにお茶とお菓子を楽しむことが習慣となっている。
 私たちはお茶とスコーンを手におしゃべりを楽しんでいた。
 もちろんその飲食店の店主の娘が偉そうにあたりを睥睨していたが。
 アリス・ベーカリーさんのお父様はいわゆるたたき上げ、街のパン屋から規模を大きくし貴族御用達の料理店をいくつも立てた立志伝中のお方だ。その晩年の結婚でできたアリスはかなりブルジョワの中で鼻っ柱が強い。
「でも美味しいのよね」
 メディアは赤いタルトを食べて呟く。
 実際美味しい。新鮮なチーズのケーキは感動モノのおいしさだ。最近ちょっとした贈り物にアリスさんちのお菓子が使われている。実際このお菓子は愛娘の名をとってアリスシリーズと呼ばれているのだ。
「あら、ジャネットさんじゃない」
 アリスさんはちょっとまあ、見た目はちょっと、残念だ。
 人の悪口を言うのはあまり好きではないが。
 しかし、食をつかさどるブルジョワ、人は食べることなく生きることはできないため態度は結構大きい。
「ジャネットさん、最近頑張っているみたいね」
「発表のことですか?」
 ジャネットはそれに関しては頑張っていた。
「違うわよ、男、ガキみたいな顔してやるわね」
 意味が分からない。
「別に男関係は今までと変わらないですよ」
 将来の婿候補である従兄弟やまた従姉妹たちとはそれなりの交流を持っているがそれ以外の男関係など全く記憶にない。
 しかし、昨日のあの男を思い出す。
 もしかしなくてもあの男高位貴族なんじゃないだろうか。向こうから告白されたら貴族ですらないブルジョワの娘に選択の自由などないとか思っているとか。
 その場合すでに自分の女呼ばわりしてあっちこっちに言いふらしているとか。
 私の血は上がったり下がったりで大忙しだ。こみあげてくる怒りと不安で頭がくらくらしてくる。
「大丈夫?」
 さすがに私の顔色がひどくなったのに心配になったのかマリアンヌは私は何とか立ち上がった。
「戦うつもりだ」
 私はきっちりとあの男に言うことにした。
「お前なんて大嫌いだ」
 は? とマリアンヌが顔を引きつらせた。
「あの男、たとえ高位貴族でもぶんなぐってやる」
「ああ、例の男?」
 私は次に来たときは、ぶんなぐる。素手だけでありがたいと思え。
「あの男がいらんことを言いふらしたせいで私はいろんな目にあってきたわけだわ」
「多分そうでしょうね」
「なになにそれ」
 アリスさんは喜々として私に詳しい話を話すように言った。
 そして私はすべてを話したわけだ。アリスさんがこの話を面白おかしく言いふらしてくれることを期待して。

 
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