30 / 41
犯罪者がいる
しおりを挟む
うん、裏って怖いね。
ちょっと怪しげな情報は探ろうとすればそれなりに出てくる。
正当な手段では集まらない情報だが。そして正当な手段で集めた情報でなければ証拠として提出することもできないけど。
俺としてはルーファスとレオナルドが伝手をたどって集めてきた情報に思わず眉をひそめた。
というのももともとは母方の祖父母の所業なのだが。
母方の祖父母、子爵家だけど。ちょっと黒い噂のある子爵家だったようだ。
身分の違いもさることながら、そうした背景もあって父方の祖父母はあの母親との関係を歓迎したりしなかったらしい。そして何とか引き離そうと同格の先妻さんとの結婚をごり押ししたそうだが。
普通の親ならその時点であきらめて別の結婚相手を探す。
しかし、母方の祖父母はあきらめなかった。母親を愛人としてあてがい父親に張り付かせた。そして父方の祖父母が亡くなってすぐ先妻さんも亡くなっている。
これ、意味深すぎないだろうか。
マジてやらかしたかあの両親。
鳥肌が立ってきたがそれでも状況を把握しなければならない。
祖父母の黒い噂に関してはあんまり聞きたくない。領地の娘さんが女中として雇われたと思ったらそのまま行方不明になり、そして数年後娼婦をしているのを知り合いに目撃されたとか。
怪しげな薬を領地で栽培しているとか。
祖父母の死後、その財産は母親が継いでいたはずだ。
母親は一人っ子だったから。
ここも祖父母の異常さが感じ取れるところだろう。普通一人娘を愛人なんかにしない。たとえそれがかなり格上の貴族だとしてもだ。
跡取り息子がいるか、それとも複数娘のいる家ならそれもありえなくもないのだが。
今までおじいちゃんおばあちゃんと呼んだことは一度もない祖父母だがこれから先もそんな呼称で呼ぶことは無いだろう。
はっきり言って諸悪の根源だ。
そして、その祖父母の悪事をあの母親が引き継いだ可能性があるってのがまた。
はっきり言ってどんだけどす黒いんだろう。
「まあ、元気出せよ」
テーブルに突っ伏した俺を慰めるようにルーファスとレオナルドが頭を撫でてくれる。
野郎に撫でられてそれでも和むのが悲しい。
「たださ、問題はどうやってこれを告発するってことだよね」
「ちょっと洒落にならん気がする。それにこういうことにかかわっていると、殺し屋とか雇えるんじゃねえの、金に目がくらんだ奴らは親子の情なんて簡単に蹴り飛ばすぞ」
レオナルドの言うことは薄々俺も感じていた。
父親は言うまでもなく、母親も俺が自分の人形ではないということに気づいたときは迷わず消すつもりだろう。
俺が両親を愛していないと同じように両親も俺を愛していない。ありのままの俺を愛するなんてありえない。
「まあ、それに、家が多少ダメージを受ければと思っているかもしれないけど、ダメージを受けすぎてもダメなんじゃないの」
ルーファスの言葉に俺は頷いた。ただ、俺の脳裏にちょっと利用できそうな者が浮かんでいた。
我ながらあれを利用しようとは。
だけど、まあ、俺の望み通りになることは間違いない。
俺以外の家族にとっては望み通りにならないけれど。
「ありがとう、何とかやってみるよ」
俺は二人に礼を言った。なんだかんだ言ってもここで雁を作ったし、いつかは返さなければならない。そのためにも作戦は成功させよう。
ちょっと怪しげな情報は探ろうとすればそれなりに出てくる。
正当な手段では集まらない情報だが。そして正当な手段で集めた情報でなければ証拠として提出することもできないけど。
俺としてはルーファスとレオナルドが伝手をたどって集めてきた情報に思わず眉をひそめた。
というのももともとは母方の祖父母の所業なのだが。
母方の祖父母、子爵家だけど。ちょっと黒い噂のある子爵家だったようだ。
身分の違いもさることながら、そうした背景もあって父方の祖父母はあの母親との関係を歓迎したりしなかったらしい。そして何とか引き離そうと同格の先妻さんとの結婚をごり押ししたそうだが。
普通の親ならその時点であきらめて別の結婚相手を探す。
しかし、母方の祖父母はあきらめなかった。母親を愛人としてあてがい父親に張り付かせた。そして父方の祖父母が亡くなってすぐ先妻さんも亡くなっている。
これ、意味深すぎないだろうか。
マジてやらかしたかあの両親。
鳥肌が立ってきたがそれでも状況を把握しなければならない。
祖父母の黒い噂に関してはあんまり聞きたくない。領地の娘さんが女中として雇われたと思ったらそのまま行方不明になり、そして数年後娼婦をしているのを知り合いに目撃されたとか。
怪しげな薬を領地で栽培しているとか。
祖父母の死後、その財産は母親が継いでいたはずだ。
母親は一人っ子だったから。
ここも祖父母の異常さが感じ取れるところだろう。普通一人娘を愛人なんかにしない。たとえそれがかなり格上の貴族だとしてもだ。
跡取り息子がいるか、それとも複数娘のいる家ならそれもありえなくもないのだが。
今までおじいちゃんおばあちゃんと呼んだことは一度もない祖父母だがこれから先もそんな呼称で呼ぶことは無いだろう。
はっきり言って諸悪の根源だ。
そして、その祖父母の悪事をあの母親が引き継いだ可能性があるってのがまた。
はっきり言ってどんだけどす黒いんだろう。
「まあ、元気出せよ」
テーブルに突っ伏した俺を慰めるようにルーファスとレオナルドが頭を撫でてくれる。
野郎に撫でられてそれでも和むのが悲しい。
「たださ、問題はどうやってこれを告発するってことだよね」
「ちょっと洒落にならん気がする。それにこういうことにかかわっていると、殺し屋とか雇えるんじゃねえの、金に目がくらんだ奴らは親子の情なんて簡単に蹴り飛ばすぞ」
レオナルドの言うことは薄々俺も感じていた。
父親は言うまでもなく、母親も俺が自分の人形ではないということに気づいたときは迷わず消すつもりだろう。
俺が両親を愛していないと同じように両親も俺を愛していない。ありのままの俺を愛するなんてありえない。
「まあ、それに、家が多少ダメージを受ければと思っているかもしれないけど、ダメージを受けすぎてもダメなんじゃないの」
ルーファスの言葉に俺は頷いた。ただ、俺の脳裏にちょっと利用できそうな者が浮かんでいた。
我ながらあれを利用しようとは。
だけど、まあ、俺の望み通りになることは間違いない。
俺以外の家族にとっては望み通りにならないけれど。
「ありがとう、何とかやってみるよ」
俺は二人に礼を言った。なんだかんだ言ってもここで雁を作ったし、いつかは返さなければならない。そのためにも作戦は成功させよう。
37
お気に入りに追加
338
あなたにおすすめの小説

土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~
にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。
「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。
主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?
伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します
小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。
そして、田舎の町から王都へ向かいます
登場人物の名前と色
グラン デディーリエ(義母の名字)
8才
若草色の髪 ブルーグリーンの目
アルフ 実父
アダマス 母
エンジュ ミライト
13才 グランの義理姉
桃色の髪 ブルーの瞳
ユーディア ミライト
17才 グランの義理姉
濃い赤紫の髪 ブルーの瞳
コンティ ミライト
7才 グランの義理の弟
フォンシル コンドーラル ベージュ
11才皇太子
ピーター サイマルト
近衛兵 皇太子付き
アダマゼイン 魔王
目が透明
ガーゼル 魔王の側近 女の子
ジャスパー
フロー 食堂宿の人
宝石の名前関係をもじってます。
色とかもあわせて。
異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~
WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
1~8巻好評発売中です!
※2022年7月12日に本編は完結しました。
◇ ◇ ◇
ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。
ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。
晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。
しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。
胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。
そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──
ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?
前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる