鳥籠王子

karon

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社会科の勉強

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 俺は家庭教師が広げた布を見ていた。
 紙より丈夫な布に描かれているのはおおざっぱな地図だった。
 この国と三方を囲む国、そして海。
 この国の名前はシェラト、南にあるのがサイバ王国、東にあるのがこの中で一番大きいラーマ帝国。北にあるのがヤクシャー公国。西にあるのが海。
 かなりおおざっぱながら俺はこの国と近隣の地理を覚えた。
 そして、俺は国の歴史という本とこの国で流通している各国の歴史という本を手に入れた。
 地理と歴史以外はあの男の教育のほうが数段進んでいるので、俺は適当にわかったりわからないふりをしたりしてしのいだ。
 男の言う情報源というものがこの本にあるのかはわからないが俺なりに考えて本を自室に持ち込んだ。
「もらった」
 そう言って俺は男の前で意気揚々と歴史書を読み上げようとした。
「最後の方を先に読め」
 男はそう言った。
「何百年も前の情報はちょっと古すぎる。ここ数十年の情報をまず把握すべきだ」
 俺はページを何枚もめくった後それを読み上げ始めた。
 ある程度読み進んだところでもしかしたら俺の祖父さんかもしれないところが出てきた。
 大体御婆様の話していた内容が似ている。
「お前の爺さんって」
 男も顔を抱えていた。
「あんまりいいことしてないよね」
「そういう問題じゃない」
 男はため息をついた。
「つうか、脳みそついてたのか? この界隈で一番でかいラーマ帝国の御姫様じゃねえか、そんなんを浮気相手のために陥れるって何考えてたんだ」
「わかんない」

「そうか、俺もわからんよ」
 男はそう言って深く深くため息をついた。
「ああそのあと、妹姫がラーマ帝国に嫁に行ったのか、気の毒に」
 さすがに俺も想像がついた。いじめられるために嫁入りしたようなもんだな。
「しかし、いくら何でも伝染病の知識ぐらいあるだろうに、伝染病にかかった王様の周りにつきっきりで感染、死亡とか馬鹿じゃねえの」
 俺の前の王様は伝染病で死んでいた。そして、王様が死にかけたベッドのわきにずっと詰めていた王子もそれ以外の男の王族もそれで全滅したみたいだ。
「多分お前の背後に何もいないのがよかったんだろうな」
 男の言葉に俺は首をかしげた。

 


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