鳥籠王子

karon

文字の大きさ
上 下
9 / 24

俺は地道に生きたかった

しおりを挟む
 本には何も書かれていないように思えた。
 だけど次に本を開いたとき文字が記されている。
 商業と書かれたそこには基本や利益率などそして、どのような商売があるのかなどということが書かれている。
 雑用をして小銭をもらう。俺が思いついたのはそれだった。
 とにかく俺は金がなければどうしようもないということを悟ったのだ。
 物を作って売るは、俺にそういう技術を教えてくれる人などいなく、技術を生かせる場所もない。
 子供の俺にできることはそれしかない。
 俺はこっそりだが、それらしい商店を探した。
 そして、なんだかわからないが、俺より年上の子供たちが何やら喋っているのを見つけた。
「あの、俺」
 思わず俺はその子供たちに声をかけた。
「あ、やべ、草むしりしてない」
「あの、俺がしましょうか?」
 俺はとっさにそう言った。
「本当か、じゃ頼むわ」
 子供たちは屈託のない顔で俺の申し出を受けた。
 俺は言われた範囲で雑草をむしれと言われてモクモクとむしりだした。
 どれくらい経っただろう。気が付くと子供たちの一人が俺の肩を叩いた。
「これ、やるからさっさと消えろ」
 小銭を渡されて俺はその場から足早に走り去った。
 この小銭はどれくらいの価値があるのか俺にはわからない。だけど、少しずつでも溜めていけば。
 そう思って俺はこっそり枕の下にこの小銭を隠し持っていた。
 そして、俺は男のところに通い、街に出て小銭を稼ぐという生活を丸一年ぐらいしていた。
 浮浪児のわりに身ぎれいな俺に頼みごとをする人間はそこそこの数いた。俺は金をごまかしたりせず、まじめに働くのでうちで働かないかと親切に言ってくる商人もいた。
 そして少しずつ俺は外の様子を学んでいった。
 そんな日々を過ごすうち俺は壊れた窓をくぐるたび俺の身体が大きくなっていくのを実感した。
このまま大きくなってしまったら俺はこの窓から出入りができなくなるだろう。その前に街で暮らせるようにならなければ。
 働かせてくれるという商人の話に乗るべきかと俺が思案しているうち。いつもと同じ日々は唐突に終わった。
 外で見るよりもっときれいな色の服を着た男達が現れ、俺の前に膝をついた。
「ルドルフ三世即位をここにことほがせていただきます」
 それが俺に掛けられた言葉だった。




しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります

京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。 なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。 今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。 しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。 今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。 とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。

転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた

ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで先行投稿中。 遊戯遊太(25)は会社帰りにふらっとゲームセンターに入った。昔遊んだユーフォーキャッチャーを見つめながらつぶやく。 「遊んで暮らしたい」その瞬間に頭に声が響き時間が止まる。 「異世界転生に興味はありますか?」 こうして遊太は異世界転生を選択する。 異世界に転生すると最弱と言われるジョブ、遊び人に転生していた。 「最弱なんだから努力は必要だよな!」 こうして雄太は修行を開始するのだが……

異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー

紫電のチュウニー
ファンタジー
 第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)  転生前も、転生後も 俺は不幸だった。  生まれる前は弱視。  生まれ変わり後は盲目。  そんな人生をメルザは救ってくれた。  あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。  あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。  苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。  オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。

ミルキィにおまかせ!

ノデミチ
ファンタジー
王立レクタル学院。 大陸の覇者と言えるレクサンダル王国が誇る学院。 ここは、未来の近衛騎士を育てるだけではなく、聖職者や魔導師、商人や錬金術師等王国の未来を担う若者達の学舎。 貴族、平民を問わず優秀な者に門戸を開く王立学校に例年、掘り出し物とも呼べる若者達が入学して来る。 騎士科、神聖科、魔導科、商業科、海洋科、そして錬金術科。 今年、この学院の優秀な生徒の中で、一際型破りとも言える逸材が入学した。 錬金術科生徒、ミルキィ 10歳。 その腕はもはや熟練者並。効能1.5倍の高級回復薬等製薬技術は有に及ばず、武具付与術や魔導具製作に於いても天才的。 素材収集も魔物相手に天下無敵!しかも従魔が半端無し‼︎ 彼女は、その才を遺憾なく発揮してあらゆる依頼を熟していく。 「私におまかせ!」 そんな彼女には、言えない秘密がある…。 周りの人々を笑顔に変える、型破りな錬金術師の少女のお話。 カクヨムコンテスト用新作でした。 コチラでも掲載したいと思います。

最強九尾は異世界を満喫する。

ラキレスト
ファンタジー
 光間天音は気づいたら真っ白な空間にいた。そして目の前には軽そうだけど非常に見た目のいい男の人がいた。  その男はアズフェールという世界を作った神様だった。神様から是非僕の使徒になって地上の管理者をしてくれとスカウトされた。  だけど、スカウトされたその理由は……。 「貴方の魂は僕と相性が最高にいいからです!!」 ……そんな相性とか占いかよ!!  結局なんだかんだ神の使徒になることを受け入れて、九尾として生きることになってしまった女性の話。 ※別名義でカクヨム様にも投稿しております。

【完結】貴方たちはお呼びではありませんわ。攻略いたしません!

宇水涼麻
ファンタジー
アンナリセルはあわてんぼうで死にそうになった。その時、前世を思い出した。 前世でプレーしたゲームに酷似した世界であると感じたアンナリセルは自分自身と推しキャラを守るため、攻略対象者と距離を置くことを願う。 そんな彼女の願いは叶うのか? 毎日朝方更新予定です。

魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~

月見酒
ファンタジー
 俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。  そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。  しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。 「ここはどこだよ!」  夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。  あげくにステータスを見ると魔力は皆無。  仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。 「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」  それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?  それから五年後。  どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。  魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!  見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる! 「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」 ================================  月見酒です。  正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。

幼女エルフの自由旅

たまち。
ファンタジー
突然見知らぬ土地にいた私、生駒 縁-イコマ ユカリ- どうやら地球とは違う星にある地は身体に合わず、数日待たずして死んでしまった 自称神が言うにはエルフに生まれ変えてくれるらしいが…… 私の本当の記憶って? ちょっと言ってる意味が分からないんですけど 次々と湧いて出てくる問題をちょっぴり……だいぶ思考回路のズレた幼女エルフが何となく捌いていく ※題名、内容紹介変更しました 《旧題:エルフの虹人はGの価値を求む》 ※文章修正しています。

処理中です...