鳥籠王子

karon

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最初の町

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 翌日。俺は家庭教師を見送った後、あらかじめ壊しておいた窓から外に滑り出した。
 鐘の音が鳴るまで、鐘の音で牢番たちは俺の部屋を巡回する。鐘は時間をおいて三回鳴る。鐘が鳴り終えるまでに牢にたどり着けば俺の不在はばれないはずだ。
 俺は今まで遠目に見ていた建物の近くまで歩いていく。
 そして、その建物の影に小さい道があるのを確認した。その道をそっと歩いて行った。
 道の向こうに直角に大きな道があった。その道ははものすごい人通りだった。
 見たこともない服を着た男女が歩いている。
 俺の周りには灰色か黒の服を着た人間しかいなかった。だけど道を歩いている人間は赤や黄色や青色、あるいは複数の色を使った服を着ている。
 俺と同じくらいの子供俺より小さな子供俺より大きな子供、みんないっぱいいた。
 建物は赤い石で作られたものが多く。それに青い屋根があった。
 そして俺はその建物の向こうに俺がいつも聞いていた鐘の姿を見た。
 見たこともない動物にひかれた箱がガタガタ言いながら進んでいく。
 目の前にあるものを俺は茫然として見ていた。
 あまりにも何もかもが俺の今までいた場所と違いすぎて何もできない。
「おい?」
 知らない男が俺に話しかけてきた。俺はびくっと背筋をはねさせた。
「どうした、親はどうした?」
 俺は何もできなかった、頭がごちゃごちゃして何も考えることができない。
 怖かった、だから俺は今まで見知ったあの場所に帰ろうと元来た道を駆けていった。
 そして鐘が一つも鳴っていないのに俺は早々に自分の寝床に潜り込んで震えていた。
 そして俺はとぼとぼと男の待つ扉を開いた。
「ごめんなさい」
 せっかく教えてもらったのに俺は何もできず外に出ただけで怖くなってしまった。
「これはリハビリってやつだな」
 男は聞きなれない言葉を呟く。
「最終的にお前はここを出なければならない。だけどだ、偏った教育をされてきたお前に外で生きていくことは難しいだろう」
 男の言葉に俺は頷く。
 ずっとあそこで暮らす、それはとても怖いことだと思う。
「だから、何回かに分けて、外に出て、外に慣れるしかないだろう。後、必要なのはアリバイ作りだな、まさかお前が頻繁に外に出ていると思わないだろう。だから顔見知りを作っておけ、いつもあの辺にいる子供だと証言して盛れたら追手がかかっても時間が稼げる」
 追っ手という言葉に俺は前に出た。
「俺を追ってくるの?」
「必要があって、お前をここに閉じ込めているんだ、逃げたらまた閉じ込めようとするだろう」
 ここから逃げて一人で生きていく。それはとても難しいことに思えた。だけどそれをしなければならない。
 急にずっしりとしたものが肩にのしかかってきた。
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