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意味不明な指示
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警察は道路での爆発事故と、今回の遠距離狙撃による殺人事件の関係性をいまだつかめないでいた。
どうやら目的とした車がその付近にいたらしいという情報を得た警察はその場所にパトカーを走らせる。
ついでに周囲の防犯カメラやスピード違反追跡用のカメラも確認する。
すでに爆発を聞いてその場に向かっていたパトカーもある。消防車や救急車も出動していた。
すでに話をまわしており、現場で聞き込みをしている警察官もいる。
くだんの車の逃走経路をさがしてパトカーはひた走る。
佐藤和夫の車には段ボールひと箱分の爆発物が積んであった。
「こんなにたくさんいるの?」
「なんだかたくさん用意されたんですよ」
佐藤和夫も困惑顔だ。
「もともと爆発物取り扱いの資格は持っておりますが、仕事ではあんまり使わないんですよねえ」
「仕事で使わないんなら何でそんな資格取ったのよ」
「学生時代のバイトのためですかね」
「どんなバイト?」
「コンビニの売り子です」
しばらく会話が途切れた。
「なんで?」
「夏になると花火を売るでしょう、花火を売るためには爆発物取り扱い資格がいるんですよ、守っているところは少ないですが、守れるならそれに越したことはないですからね」
はっはっはと緊張感のない笑いが漏れる。
「で、これからどうするの?」
佐藤和夫は笑いやむと、そのままインターフォンで連絡を取り合う。
「どうやらほかのところのものはすでに補足済みだそうです。秘密裏にとらえることになりそうですね」
そう言って、佐藤和夫は老師の乗っている車を指差した。
「では、そろそろ捕まってもらいますか」
「は?」
今度こそ李香蘭はわけがわからなくなった。
「とりあえず、タイミングはいいようなので、こちらの指定した通りには知らせてください」
わけがわからないなりに李香蘭は指定された通りの道を老師の車に連絡する。
つかまってもらうという言葉に引っかかるものは感じたが、あの二人が捕まった場合困るのは佐藤和夫も同じはずだ。
道をたどればいつの間にか海に近づいているのがわかった。
そしてパトカーのサイレンも聞こえてくる。
「ここからのタイミングは極めて微妙なので、心してくださいね、ああ、車はあちらの駐車場に止めてもらいます。そして着替えるよう伝えてください」
李香蘭は言われたことをそのまま復唱する。
指定された駐車場に車を止めたのを確認し、佐藤和夫はしばらく待つように言った。
どうやら目的とした車がその付近にいたらしいという情報を得た警察はその場所にパトカーを走らせる。
ついでに周囲の防犯カメラやスピード違反追跡用のカメラも確認する。
すでに爆発を聞いてその場に向かっていたパトカーもある。消防車や救急車も出動していた。
すでに話をまわしており、現場で聞き込みをしている警察官もいる。
くだんの車の逃走経路をさがしてパトカーはひた走る。
佐藤和夫の車には段ボールひと箱分の爆発物が積んであった。
「こんなにたくさんいるの?」
「なんだかたくさん用意されたんですよ」
佐藤和夫も困惑顔だ。
「もともと爆発物取り扱いの資格は持っておりますが、仕事ではあんまり使わないんですよねえ」
「仕事で使わないんなら何でそんな資格取ったのよ」
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しばらく会話が途切れた。
「なんで?」
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はっはっはと緊張感のない笑いが漏れる。
「で、これからどうするの?」
佐藤和夫は笑いやむと、そのままインターフォンで連絡を取り合う。
「どうやらほかのところのものはすでに補足済みだそうです。秘密裏にとらえることになりそうですね」
そう言って、佐藤和夫は老師の乗っている車を指差した。
「では、そろそろ捕まってもらいますか」
「は?」
今度こそ李香蘭はわけがわからなくなった。
「とりあえず、タイミングはいいようなので、こちらの指定した通りには知らせてください」
わけがわからないなりに李香蘭は指定された通りの道を老師の車に連絡する。
つかまってもらうという言葉に引っかかるものは感じたが、あの二人が捕まった場合困るのは佐藤和夫も同じはずだ。
道をたどればいつの間にか海に近づいているのがわかった。
そしてパトカーのサイレンも聞こえてくる。
「ここからのタイミングは極めて微妙なので、心してくださいね、ああ、車はあちらの駐車場に止めてもらいます。そして着替えるよう伝えてください」
李香蘭は言われたことをそのまま復唱する。
指定された駐車場に車を止めたのを確認し、佐藤和夫はしばらく待つように言った。
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