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楽しい授業
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「つまり僕の計画はまず鉄道を作り、その鉄道で何を運ぶかということです」
エドワードは黒板、もともとこの世界になかったが無理を言って作らせた。その黒板に鉄道と記す。そして次に食料と記す。
彼の前には複数の聴衆、事前にエドワードがソーセージやベーコンを送った者達だ。
「いいですか、まず食料が問題なのです。食料生産地と食料を消費する場所は離れている。ですが、鉄道を使えばその問題も解決できる、きわめて迅速に物資の輸送ができるのです」
もともと鉄道は物資を輸送する手段として作られた、旅行の手段になったのは二次的なことだ。
「さらに、食料を長時間持つように加工する技術があればその効率はさらに高まるでしょう」
「それが、この加工肉か?」
今までの塩漬け肉よりもはるかに塩気が薄いのに、悪くなり悪臭を発するのにかかる時間は倍以上。もしこれが大量生産できるようになればこの国の食糧事情は大きく変わる。そしてそれを輸送する手段として鉄道があれば。
それは国の根幹を買えてしまうことになるかもしれない。
「その通りです、鉄道を作った世界において、普遍的な保存食ですよ、それ以外に野菜や果物を加工する手段もあります」
エドワードはそう言って瓶詰のジャムを持ってきた。
ジャムは瓶の中で加熱された。微生物の知識のない時代でも加熱殺菌に近いことをすれば腐敗を遅らせることができると経験則で学んでいたのだろう。
「このジャムは来年まで持たせることができます。この蓋さえとることがなければ、蓋を取るとアッという今に傷んでしまいますから早めに召し上がることをお勧めしますが」
「一年?」
「おまけに、これは砂糖を使っていません、ただ果物を煮詰めただけです」
砂糖という防腐剤なしで果物を持たせることができる、言われたほうは唖然とするしかない。
「その生産化のめどは立っているのか」
息せきって一人が言う。
「立っていたのですがねえ」
エドワードは軽く肩をすくめた。
「私の新しいスタッフがその事業を始めるための準備に入っていました。実際にそれを召し上がったのならお判りでしょうが、この技術を伝承するための前段階に入っていました。しかし竜騎士団の襲撃を受けて」
竜騎士団がエドワードが中心となっている鉄道事業に対し目の敵にしていることは周知の事実だ、襲撃も実際に会ったのだと確信できる。
「死んだのか」
この素晴らしい技術の持ち主が。
そう、この食品加工技術と鉄道事業、この二つが合わさった時こそ歴史が変わる。
今までエドワードの鉄道事業を胡散臭い目で見ていた者たちもこの事業の有益性を理解せざるを得ない。
「いえ、誘拐されました。今騎士団の元で軟禁されているようです」
全員がざわめいた。そして、見事にエドワードの狙い通り誤解した。
誘拐された人物の持つ保存食量のつくり方を騎士団で独占するつもりなのだと。
実際はまだ発表前でアンナのことは単なる下っ端構成員と思っている、騎士団の狙いはゴロウアキマサだったのだが。
あそこの騎士団長がゴロウアキマサの作ったカタナにずいぶんご執心だったと風の噂で聞いたことがある。そのためゴロウアキマサを手に入れようとしたがその時点でゴロウアキマサはエドワードのスタッフになっていた。
まあ、これで騎士団の弾劾が始まる。そこから二人を取り戻せばいい。
エドワードは黒板、もともとこの世界になかったが無理を言って作らせた。その黒板に鉄道と記す。そして次に食料と記す。
彼の前には複数の聴衆、事前にエドワードがソーセージやベーコンを送った者達だ。
「いいですか、まず食料が問題なのです。食料生産地と食料を消費する場所は離れている。ですが、鉄道を使えばその問題も解決できる、きわめて迅速に物資の輸送ができるのです」
もともと鉄道は物資を輸送する手段として作られた、旅行の手段になったのは二次的なことだ。
「さらに、食料を長時間持つように加工する技術があればその効率はさらに高まるでしょう」
「それが、この加工肉か?」
今までの塩漬け肉よりもはるかに塩気が薄いのに、悪くなり悪臭を発するのにかかる時間は倍以上。もしこれが大量生産できるようになればこの国の食糧事情は大きく変わる。そしてそれを輸送する手段として鉄道があれば。
それは国の根幹を買えてしまうことになるかもしれない。
「その通りです、鉄道を作った世界において、普遍的な保存食ですよ、それ以外に野菜や果物を加工する手段もあります」
エドワードはそう言って瓶詰のジャムを持ってきた。
ジャムは瓶の中で加熱された。微生物の知識のない時代でも加熱殺菌に近いことをすれば腐敗を遅らせることができると経験則で学んでいたのだろう。
「このジャムは来年まで持たせることができます。この蓋さえとることがなければ、蓋を取るとアッという今に傷んでしまいますから早めに召し上がることをお勧めしますが」
「一年?」
「おまけに、これは砂糖を使っていません、ただ果物を煮詰めただけです」
砂糖という防腐剤なしで果物を持たせることができる、言われたほうは唖然とするしかない。
「その生産化のめどは立っているのか」
息せきって一人が言う。
「立っていたのですがねえ」
エドワードは軽く肩をすくめた。
「私の新しいスタッフがその事業を始めるための準備に入っていました。実際にそれを召し上がったのならお判りでしょうが、この技術を伝承するための前段階に入っていました。しかし竜騎士団の襲撃を受けて」
竜騎士団がエドワードが中心となっている鉄道事業に対し目の敵にしていることは周知の事実だ、襲撃も実際に会ったのだと確信できる。
「死んだのか」
この素晴らしい技術の持ち主が。
そう、この食品加工技術と鉄道事業、この二つが合わさった時こそ歴史が変わる。
今までエドワードの鉄道事業を胡散臭い目で見ていた者たちもこの事業の有益性を理解せざるを得ない。
「いえ、誘拐されました。今騎士団の元で軟禁されているようです」
全員がざわめいた。そして、見事にエドワードの狙い通り誤解した。
誘拐された人物の持つ保存食量のつくり方を騎士団で独占するつもりなのだと。
実際はまだ発表前でアンナのことは単なる下っ端構成員と思っている、騎士団の狙いはゴロウアキマサだったのだが。
あそこの騎士団長がゴロウアキマサの作ったカタナにずいぶんご執心だったと風の噂で聞いたことがある。そのためゴロウアキマサを手に入れようとしたがその時点でゴロウアキマサはエドワードのスタッフになっていた。
まあ、これで騎士団の弾劾が始まる。そこから二人を取り戻せばいい。
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