異世界に鉄道を引こう

karon

文字の大きさ
上 下
23 / 29

網を広げる

しおりを挟む
 そのスープは芋と肉片がゴロゴロと浮いていた。それに果物をすりつぶしたものを加えて塩気を和らげてある。実にスープだけで腹いっぱいになりそうな食べ応えのあるだろうスープだった。
「これは」
 アンナの作ったスープを飲んで料理人たちは息をのんだ。
「なるほどスープで薄めるのか」
「あの今まではいったいどうしていたんですか?」
 本気で素朴な疑問だったのだが、あっさりと答えられた。
「焼いて、そのまま食べていた」
 アンナはテーブルに頭を打ち付けそうになった。
 いくらなんでも塩辛い塩漬け肉をそのまま焼いて食べるなんてそんなのは拷問とそう変わらない。
「よくそんなの食べてましたね」
 塩漬け肉を焼いた後、細かく刻んで潰した芋と合わせたことはあったが。それを丸めて焼くとなかなかおいしい軽食になる。
「なんといっていいのかわからんが、採用だ」
 アンナはそう言われて頷いた。どうせここから出られないなら、幽閉よりは働いていたほうがいい。
 アンナの提案した塩漬け肉入りスープは今まで以上に肉が食べられるというので竜騎兵に大いに受け入れられた。
 そしてアンナは肉入りのつぶし芋団子の軽食をせっせと作り日々だった。
 そして牢につながれたままのゴロウアキマサに毎日料理を届けながらエドワードはどうしているのだろうねとつぶやく日々。
「なんか知ら考えてるよ、多分、ただここで俺らのできることはあんまりねえな」
 芋団子をむしむしと食べながらゴロウアキマサはそう答えた。
「できれば出してあげたいけど」
 料理を届けるのが精いっぱいだ。牢の鍵は鍵付きの金庫にしまわれたままだ。

 エドワードはまずウィルファとして会える人間を目標とした。
 手にはアンナ特性のベーコンとソーセージを持って。
 そして訪ねたのは貴族の中でもそれなりの地位を持つ政治家のところだ。
 壮麗な屋敷に土地の高い首都とは思えないほど広い庭園を持っている。
 今自分は赤い花で覆われている。
 この庭は季節によって花の色が変わる。
 その季節に花の咲く時期に合わせてその色の花だけを植えてあるのだ。
 それがこの屋敷の主の趣味なのだろう。
 イングリッシュガーデンとは違うが、この国は庭園を楽しむ趣向がある。
 エドワードは主に会いたい旨を伝えて客間に通された。
「久しぶりだな、ウィルファ」
 自分の今の父親の従兄弟であり、こちらの事業を少々胡散臭く思っている御仁だ。しかしエドワードはにこやかに頷く。
「お久しぶりです、叔父上」
 便宜上の呼び名を用いた後手土産のベーコンとソーセージを渡す。
「これは異世界の料理です、ですが、すぐ食べきってはいけませんよ、これはかなり長時間食べることができる食材なのです。これをぜひ叔父上に食べていただきたくて」
「ほう、それだけか?」
「ええ、今日のところは」
 そう言ってエドワードはあっさりとその場を離れた。
 そうしたことを毎日繰り返し、一週間後にようやく最初の連絡が来た。
「どういうことだ、あの肉、一週間たっても痛んでいないぞ」
「そのように加工してありますから、そしてその件について詳しい話をぜひさせていただけませんか?」
 そして、似たような問い合わせは次々とエドワードのところに届く。
「根回しはこんなところでいいか」
 後はゴロウアキマサをアンナを迎えに行くまでだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【草】限定の錬金術師は辺境の地で【薬屋】をしながらスローライフを楽しみたい!

黒猫
ファンタジー
旅行会社に勤める会社の山神 慎太郎。32歳。 登山に出かけて事故で死んでしまう。 転生した先でユニークな草を見つける。 手にした錬金術で生成できた物は……!? 夢の【草】ファンタジーが今、始まる!!

お気楽少女の異世界転移――チートな仲間と旅をする――

敬二 盤
ファンタジー
※なろう版との同時連載をしております ※表紙の実穂はpicrewのはなまめ様作ユル女子メーカーで作成した物です 最近投稿ペース死んだけど3日に一度は投稿したい! 第三章 完!! クラスの中のボス的な存在の市町の娘とその取り巻き数人にいじめられ続けた高校生「進和実穂」。 ある日異世界に召喚されてしまった。 そして召喚された城を追い出されるは指名手配されるはでとっても大変! でも突如であった仲間達と一緒に居れば怖くない!? チートな仲間達との愉快な冒険が今始まる!…寄り道しすぎだけどね。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

異世界に来ちゃったよ!?

いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。 しかし、現在森の中。 「とにきゃく、こころこぉ?」 から始まる異世界ストーリー 。 主人公は可愛いです! もふもふだってあります!! 語彙力は………………無いかもしれない…。 とにかく、異世界ファンタジー開幕です! ※不定期投稿です…本当に。 ※誤字・脱字があればお知らせ下さい (※印は鬱表現ありです)

処理中です...