異世界に鉄道を引こう

karon

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騎士団の巣

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 あれよあれよという間に猿轡をかまされて荷物のように縛り上げられた。
 そのままアンナとゴロウアキマサの二人は屈強な男たちに担がれて運ばれていく。
 以前エドワードがその状態で竜で迎えに来たときはきちんと座らせてもらえたが、今回は鞍に縛り付けられた態勢で運ばれるらしい。
 荷物よろしく鞍に括り付けられてその状態で宙に浮かぶ。
 前回とは違うものすごい風圧を感じた。
 猿轡をされた状態なので息が苦しい。真剣に窒息死する恐怖を感じた。
 風圧に、結い上げていた髪が崩れて視界をふさぎ、目に当たって痛みを感じる。
 括り付けられた状態では身体は前後左右揺れ放題だ。さっき食べていたおやつを吐いてしまう。
 ゴロウアキマサの姿を探したが、風圧で目も開けられない状態では周囲を見回す余裕すらない。
 いっそこのまま気絶したいと思っても、希望通りにはいかない。
 永遠より長いような時間が過ぎて、いつの間にか地上に降ろされ座り込んでいた。  
 しばらく放心状態だったようだ。
 背後を振り返るとぐるぐる巻きにされたゴロウアキマサが転がっている。
「生きてる?」
 ぐったりとして身じろぎもしないその姿に恐怖を感じて思わず尋ねた。
「何とかな」
 しばらく間が明いたがゴロウアキマサも口を開いた。
 風圧のせいかそれとも戒めをほどこうと暴れたせいか、ゴロウアキマサの着ている服はいつもより寄れている様の思われる。
「あいつら手加減なくふんじばりやがって」
 毒づきながらも周囲を見回す。
 周囲に竜はいるが、竜騎士たちの姿は見えない。最も竜は竜騎士の忠実な僕なので、竜騎士がアンナ達を逃がすなと命じていた場合、うかつに動けばアンナは竜に襲われることになりそうだ。竜はアンナが今まで見たどんな生き物よりも大きい、そんな生き物に襲われたらただでは済まないだろう。
 随分と遠くまで連れてこられたようだ。アンナは開けた場所に座っていたが、その背後に巨大な建物があり、そしてそれ以外何も見えない。
「ここは竜騎士団の巣だな」
 ゴロウアキマサは身体をばたつかせながら起き上がろうとした。
 手を貸したくともアンナの両手は後ろ手に束ねられていたからどうしようもない。
「うかつに動くな、ここは四方が結構高い崖になっている。真四角な大地の上にいると思え」
 ゴロウアキマサは以前ここに来たことがあるらしい。
 平地と建物とあとは空しか見えないのはものすごい高所にいるかららしい。
「落ちたら助からんぞ」
 そう言われてアンナはため息をついた。
「それで、これからどうすればいいの」
「さてね、あいつら次第じゃないのか」
 ゴロウアキマサはそう言って周囲にいる竜を見回す。
「どうして、私たちがこんな目に?」
「竜騎士の奴らは鉄道事業がどうも気に食わないらしいな、いろいろと嫌がらせをされたが、まさかかどわかし迄やってくれるとはなあ」
 アンナはそれは初耳だった。まさか鉄道事業が竜騎士に目の敵にされていたとは。
 竜騎士はアンナの知る限りこの国の最高戦力のはずだ。
「まあ、だからたちが悪いんだがね」
 ゴロウアキマサはうんざりとした顔で、あんなの膝にいざり寄った。
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