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都会
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竜に乗って移動するということはアンナにとってはまるで世界を超えるような気分だ。
目を閉じて強風に身体をなぶらせ、そして気が付けば別の場所にいる。
それを何度か繰り返した末にアンナとエドワードは目的の場所についた。
馬車に乗せられて初めてこの国の首都をアンナは見た。
まるで別世界だと思う。見たこともない巨大な石造りの建物が壁のように建ち並んでいる。
それがどこまでも続くのだ。
そして人はこれまで見てきた人間の総数を軽く超えるほどの人数をただすれ違うだけで見終えてしまった。
目を丸くしているアンナをエドワードは面白そうに見ている。
「これから、僕の住処に向かうけれど、君は今のところは客人だから、安心していい」
そう言われても安心できるものではない。
今のところということはそのあとは客人として扱わないということだ。その後どうなるのか、アンナは小さくため息をついた。
辿り着いたのは最初に迎え入れられた館よりは小さいが、アンナの感覚ではかつていたドイツの協会より大きなお屋敷だった。
使用人と思われる女たちが、いかにもあか抜けない田舎娘のアンナを怪訝そうに見ている。
アンナは、用意されたという部屋に案内された。
寝台と書き物をする机、それがあるだけの小さな部屋だった。それにむしろほっとした。
二間続きの豪勢な部屋では豪華すぎてほとんど寝られなかったのだ。
書き物机の椅子に座って一息ついた。
「食事は部屋に持って来ますので時間には必ず部屋にいてください、ご家族の食卓には着く権利はございません」
慇懃に案内してくれた女は言った。お仕着せの紺の制服を着ている。
どうやらアンナを仲間に入れるつもりはないようだ。
何となく極力部屋から出るなと言われているような気がする。
持ってきた手荷物は下着が数枚あるきりだ。着替える服もないので、客人から何か仕事を任される立場になりたいと思った。
一人になって、何もすることのない時間、食事の時間はまだ先のようだ。
ただ座っているのも苦痛だが、部屋は掃除が行き届いており、暇をつぶすものが何もなかった。
扉を叩く音がする。
「誰ですか?」
「新入りが来たと聞いて」
エドワードの声じゃない、それならエドワードが集めているという仲間なのだろうか。
アンナは扉を開けると、まだあどけなさすら感じる少年が立っていた。
きれいな金髪に青い目だが、肌は小麦色に焼けている。くりくりした目と丸っこい鼻が愛嬌があった。
「お仲間か、あんたはいったいどこにいたんだ?」
少年は随分あけすけな態度をとった。
「君は?」
「こっちの親に漬けてもらったのはディルだがな、あっちではゴロウアキマサと呼ばれとった」
何となく違和感を感じる響きの名前を答えられた。
「今まで鍛冶の見習いをしてたんだけど、追い出されてな、困ってたらこっちの仕事を手伝ってくれって言われたんだ」
「やっぱり仕事を手伝うのね」
ゴロウアキマサは首をかしげた。
「何の仕事をするか聞いたことないのか?」
「何を?」
「わしらは、オカジョウキを作るためにいるんだろ?」
目を閉じて強風に身体をなぶらせ、そして気が付けば別の場所にいる。
それを何度か繰り返した末にアンナとエドワードは目的の場所についた。
馬車に乗せられて初めてこの国の首都をアンナは見た。
まるで別世界だと思う。見たこともない巨大な石造りの建物が壁のように建ち並んでいる。
それがどこまでも続くのだ。
そして人はこれまで見てきた人間の総数を軽く超えるほどの人数をただすれ違うだけで見終えてしまった。
目を丸くしているアンナをエドワードは面白そうに見ている。
「これから、僕の住処に向かうけれど、君は今のところは客人だから、安心していい」
そう言われても安心できるものではない。
今のところということはそのあとは客人として扱わないということだ。その後どうなるのか、アンナは小さくため息をついた。
辿り着いたのは最初に迎え入れられた館よりは小さいが、アンナの感覚ではかつていたドイツの協会より大きなお屋敷だった。
使用人と思われる女たちが、いかにもあか抜けない田舎娘のアンナを怪訝そうに見ている。
アンナは、用意されたという部屋に案内された。
寝台と書き物をする机、それがあるだけの小さな部屋だった。それにむしろほっとした。
二間続きの豪勢な部屋では豪華すぎてほとんど寝られなかったのだ。
書き物机の椅子に座って一息ついた。
「食事は部屋に持って来ますので時間には必ず部屋にいてください、ご家族の食卓には着く権利はございません」
慇懃に案内してくれた女は言った。お仕着せの紺の制服を着ている。
どうやらアンナを仲間に入れるつもりはないようだ。
何となく極力部屋から出るなと言われているような気がする。
持ってきた手荷物は下着が数枚あるきりだ。着替える服もないので、客人から何か仕事を任される立場になりたいと思った。
一人になって、何もすることのない時間、食事の時間はまだ先のようだ。
ただ座っているのも苦痛だが、部屋は掃除が行き届いており、暇をつぶすものが何もなかった。
扉を叩く音がする。
「誰ですか?」
「新入りが来たと聞いて」
エドワードの声じゃない、それならエドワードが集めているという仲間なのだろうか。
アンナは扉を開けると、まだあどけなさすら感じる少年が立っていた。
きれいな金髪に青い目だが、肌は小麦色に焼けている。くりくりした目と丸っこい鼻が愛嬌があった。
「お仲間か、あんたはいったいどこにいたんだ?」
少年は随分あけすけな態度をとった。
「君は?」
「こっちの親に漬けてもらったのはディルだがな、あっちではゴロウアキマサと呼ばれとった」
何となく違和感を感じる響きの名前を答えられた。
「今まで鍛冶の見習いをしてたんだけど、追い出されてな、困ってたらこっちの仕事を手伝ってくれって言われたんだ」
「やっぱり仕事を手伝うのね」
ゴロウアキマサは首をかしげた。
「何の仕事をするか聞いたことないのか?」
「何を?」
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