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あんたいったい何様だ
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わが上官殿ははっきり言って見栄えが大変よい。と下士官ジャック・ウィルソンは思っていた。
きれいな癖のない黒髪にややあっさり気味だが整った顔立ちと切れ長な黒い瞳。
ジャックの階級は准尉、かろうじて士官と呼ばれる階級だ。
そしてかのアレク・サンダース上官殿は大佐、将軍まであと一つと言うところだ。
それでいて、年齢差は十年に満たない。
十年頑張ってもジャックは今の上官の階級まではたどり着けないと確信している。
そんな上官殿が昨日結婚したと言い出した。
「はあ?」
上官であるにもかかわらず詰問口調になってしまった同僚チューザレ・ボルト准尉をだれも責められないだろう。
軍人にしてはぽっちゃり体型の彼は膨大な知識の宝庫の頭脳派だ。動機では士官学校では常にトップの成績を誇っていた。実技で足を引っ張られていたが
「婚約なさったという話は聞いていないのですが」
そう返したのはthe美人秘書の代名詞と呼ばれる秘書官だ。軍服の上からでもわかるメリハリボディと豪華な金髪碧眼ぱっちりとした眼が印象的な美貌は周囲の高等士官の憧れの的だ。
頭脳だけでなく実は実技も相当なもので、どこに出しても有能とその名も高いユリア・カーター少尉は上官を冷たい目で見据える。
余談だが、この美貌の女性士官にアプローチをかけて大佐殿は三分で返り討ちにあい、以後二度とそう言うことは口に出さなくなった。
セクハラ監視委員会にも名を連ねている彼女はそういうことに極めてお固い。
同じく少尉階級のマティアス・スミスとマディソン・スミスの双子が眼を瞬かせている。
特殊任務使用の子の双子髪の分け目以外全く区別がつかない。ちなみに右がマティアスで左がマディソン、また常に二人は必ず右がマティアスで左がマディウスという順番に並ぶ。もし二人が髪形をいじり、左右逆に立ったならそれを見破ることは不可能と言われている。
その上個性に乏しい。茶色の髪と茶色の瞳埋没することを約束された平凡な顔。
潜入任務のためにだけ存在する人材と言われている。
彼らはじっとりとした眼で上官を見た。
常々突拍子もないことをしでかして部下に尻拭いをさせるのだ。
とにかく上官が妙なことをやり出したら、全力で見張る。場合によってはどつき倒す覚悟を彼らは固めていた。
「それで、どなたと結婚されたのですか?」
とりあえず一番冷静に事態を進めることができるだろうとカーター少尉が上官に代表として質問する。
「魔道庁のレイシック卿のご息女だ」
魔道庁とは一王軍に所属するが、命令形態は少々ずれた部署だ。レイシック今日はその最高顧問官である。
優秀で、実績も豊かなちょっと初老の紳士だ。
魔道は少し前までは国防の主戦力と言ってもよかったが、徐々に科学文明が発達し、銃や大砲と言った兵器が開発されるにつれ、前線から退いて行った。
魔道士となれる人材はきわめて少ないが、銃火器の類は誰でも扱える。というわけで国防の主力は徐々に武装した軍に移って行った。
しかし、魔道自体が廃れたわけでもなく魔道士もまた国防の片翼を担っている。
その最高顧問観と言えば、国のトップから数えたほうがはるかに速いお偉方で。
「確かレイシック卿は結婚が遅くて」
カーター少尉は小刻みに震えていた。
「確かご息女はまだ学生だったと記憶していますが」
「ああ、十六歳だ」
その時その場にいた全員が凶器を手にした。
きれいな癖のない黒髪にややあっさり気味だが整った顔立ちと切れ長な黒い瞳。
ジャックの階級は准尉、かろうじて士官と呼ばれる階級だ。
そしてかのアレク・サンダース上官殿は大佐、将軍まであと一つと言うところだ。
それでいて、年齢差は十年に満たない。
十年頑張ってもジャックは今の上官の階級まではたどり着けないと確信している。
そんな上官殿が昨日結婚したと言い出した。
「はあ?」
上官であるにもかかわらず詰問口調になってしまった同僚チューザレ・ボルト准尉をだれも責められないだろう。
軍人にしてはぽっちゃり体型の彼は膨大な知識の宝庫の頭脳派だ。動機では士官学校では常にトップの成績を誇っていた。実技で足を引っ張られていたが
「婚約なさったという話は聞いていないのですが」
そう返したのはthe美人秘書の代名詞と呼ばれる秘書官だ。軍服の上からでもわかるメリハリボディと豪華な金髪碧眼ぱっちりとした眼が印象的な美貌は周囲の高等士官の憧れの的だ。
頭脳だけでなく実は実技も相当なもので、どこに出しても有能とその名も高いユリア・カーター少尉は上官を冷たい目で見据える。
余談だが、この美貌の女性士官にアプローチをかけて大佐殿は三分で返り討ちにあい、以後二度とそう言うことは口に出さなくなった。
セクハラ監視委員会にも名を連ねている彼女はそういうことに極めてお固い。
同じく少尉階級のマティアス・スミスとマディソン・スミスの双子が眼を瞬かせている。
特殊任務使用の子の双子髪の分け目以外全く区別がつかない。ちなみに右がマティアスで左がマディソン、また常に二人は必ず右がマティアスで左がマディウスという順番に並ぶ。もし二人が髪形をいじり、左右逆に立ったならそれを見破ることは不可能と言われている。
その上個性に乏しい。茶色の髪と茶色の瞳埋没することを約束された平凡な顔。
潜入任務のためにだけ存在する人材と言われている。
彼らはじっとりとした眼で上官を見た。
常々突拍子もないことをしでかして部下に尻拭いをさせるのだ。
とにかく上官が妙なことをやり出したら、全力で見張る。場合によってはどつき倒す覚悟を彼らは固めていた。
「それで、どなたと結婚されたのですか?」
とりあえず一番冷静に事態を進めることができるだろうとカーター少尉が上官に代表として質問する。
「魔道庁のレイシック卿のご息女だ」
魔道庁とは一王軍に所属するが、命令形態は少々ずれた部署だ。レイシック今日はその最高顧問官である。
優秀で、実績も豊かなちょっと初老の紳士だ。
魔道は少し前までは国防の主戦力と言ってもよかったが、徐々に科学文明が発達し、銃や大砲と言った兵器が開発されるにつれ、前線から退いて行った。
魔道士となれる人材はきわめて少ないが、銃火器の類は誰でも扱える。というわけで国防の主力は徐々に武装した軍に移って行った。
しかし、魔道自体が廃れたわけでもなく魔道士もまた国防の片翼を担っている。
その最高顧問観と言えば、国のトップから数えたほうがはるかに速いお偉方で。
「確かレイシック卿は結婚が遅くて」
カーター少尉は小刻みに震えていた。
「確かご息女はまだ学生だったと記憶していますが」
「ああ、十六歳だ」
その時その場にいた全員が凶器を手にした。
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