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第11話
依頼3 〈三〉
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「ふたりともおつかれさん。初めてにしては上出来やったで」
店じまいをしながら日ノ輪は私と翠玲に労いの言葉をかける。テーブル席を拭いていた翠玲はそれを聞くと安堵したかのように呟いた。
「役に立てたようで何よりだ。な、蓮!」
「え?あ、そうだね………」
考え事をしながら窓拭きをしていた私は翠玲の呼びかけに答えるのが遅れた。
そんな私を気にかけて日ノ輪はすかさず寄り添ってくれる。
「なんか浮かない顔してるな。何かあったんか?」
「--ここじゃちょっと……。奥で話してもいいかな?」
「ん、別に構わんよ。翠玲はん、テーブル全部拭き終わったら後は花瓶の掃除頼むな!」
「うむ、了解した」
後のことを翠玲に任せてから日ノ輪と私は従業員用の部屋に移動した。
それから私は先程のご婦人達から預かっていた伝言を日ノ輪に話した。
「ーーお客さんがそんなことを⁉︎ それ本当なんか?」
事情を聞きうろたえる日ノ輪に私は頷くことしかできなかった。
私があの時ご婦人達から聞いた内容は今日のイベントに関することだった。
派手に着飾った遊女が男性客を持て成すいかがわしい店だということ。また店は男性客ばかりで入りにくいという筋の通った意見もあった。
正直、伝えるべきか迷ったのだが、この店のためにも日ノ輪には知っておいて欲しいと思ったのだ。
「……なんでや、何が間違ってた?うちはただ甘味屋に負けずと新しいアイデアを……」
「……多分、それが原因だと思う」
「え?」
私の言葉に日ノ輪は戸惑い不意に俯いていた顔をあげる。私は日ノ輪の目を見て優しく話しかける。
「日ノ輪言ってたよね、青蘭の甘味屋に男性客を取られたって」
「そうやで、だからうちは」
「でもさ、喫茶店って男の人をチヤホヤしてお金を貰う店じゃないよね?」
「それは……」
「そりぁ、飲食店の競争はよくわからないし、どの店も生き残るのに必死だから部外者の私が口を挟める立場じゃない。けど、今日ノ輪がしていることは的外れだって流石に私でもわかるよ」
日ノ輪の顔色が次第に青ざめていく。
私はいたたまれない気持ちになるが拳を握りしめて己を鼓舞する。
「ねえ、よく思い出して?日ノ輪が望む光景は何だったのか。あんな新しくできた甘味屋の姑息な手段に惑わされちゃダメだよ。日ノ輪にとって何が一番大切かちゃんと考えなきゃ!」
「何が一番大切……か」
日ノ輪は目を閉じて自分の気持ちと向き合っているようだった。
「……思えばうち、甘味屋に勝つことばかりで目の前のお客さんの顔全然見えてなかった。ありがとな、蓮花はん。あんたのおかげで目が覚めた気がする」
どうやら日ノ輪は自分の誤ちを認めたようで心なしかスッキリした表情に見えた。
日ノ輪は私の両手を握りしめ笑顔で言葉を向けてきた。それが私には何だか照れ臭くつい目を逸らしてしまった。
次の日から日ノ輪はもう無茶振りな提案はしなくなり、私達も正式な仕事着で接客をすることになった。
店内はいつもの暖かい雰囲気に戻り、幅広い世代の客で賑わっていた。
私達が接客している間、見知った人物が突然店に顔を出す。そして厨房に佇む日ノ輪に気づき笑顔で声をかけた。
「こんにちは、日ノ輪さん」
「おお、誰かと思えば凛月はんやないか!店の方はいいんか?」
「ええ、ようやくひと段落ついたので休憩がてらにふたりの様子を見に来たんです」
「そうなんか。貴重な休憩使ってわざわざこんでもよかったのに」
凛月は店内を見回し私と翠玲に視線を移した。
「それで、ふたりはうまくやれていますか?」
「十分すぎるぐらい頑張ってくれてる。翠玲はんがおると店内は明るくなるし、蓮花はんは……」
「--蓮花さんがどうしました?」
急に日ノ輪の言葉が途切れる。不思議そうに顔を覗き込む凛月に日ノ輪は慌てて訂正した。
「ううん!なんでもない。とにかく、ふたりにお願いして正解だったって話や!あんさんも良い仲間を持ったな」
「ふっ、当然です。なにせ僕が信頼する人達ですから」
満足そうに語る凛月に日ノ輪は暖かい眼差しを向けた。
最後の客をもてなした後、すぐさま帰り支度に取り掛かる。支度が整った私達を見ると日ノ輪は依頼報酬として給料をくれた。
なんと封筒には予想より多くの金額が入っていた。
「え、こんなに貰えないよ⁉︎」
「ええんや受け取って。あんたらはうちの期待以上に依頼をこなしてくれた。働きに見合った報酬を渡すのが筋ってもんや」
そして日ノ輪は急に真剣な表情に変わり少し間をおいてから話出した。
「--それに、昨日のあんたの言葉、めっちゃ心に響いた」
「え?……あ、あれは、その勢いで……。その、ごめんなさい」
「謝る必要やない。依頼主のうちに気後れせずあんな堂々とものが言えるなんて寧ろ尊敬する。感動した!」
そう言って日ノ輪は私の手を再び握り真っ直ぐな言葉をぶつけてきた。
「うちと友達になってくれんか?そんでこれからうちもあんたのこと『蓮』って、呼んでもいいかな?」
「……日ノ輪。うん、もちろんだよ」
日ノ輪の望みを断る理由など私にはなかった。私がこの良郭に来て初めてできた友達。
私の答えをじっと待つ日ノ輪の手をそっと握り返し明るく同意した。
背後で翠玲が微笑ましそうにこちらを見ていたのがちょっぴり恥ずかしかった。
店じまいをしながら日ノ輪は私と翠玲に労いの言葉をかける。テーブル席を拭いていた翠玲はそれを聞くと安堵したかのように呟いた。
「役に立てたようで何よりだ。な、蓮!」
「え?あ、そうだね………」
考え事をしながら窓拭きをしていた私は翠玲の呼びかけに答えるのが遅れた。
そんな私を気にかけて日ノ輪はすかさず寄り添ってくれる。
「なんか浮かない顔してるな。何かあったんか?」
「--ここじゃちょっと……。奥で話してもいいかな?」
「ん、別に構わんよ。翠玲はん、テーブル全部拭き終わったら後は花瓶の掃除頼むな!」
「うむ、了解した」
後のことを翠玲に任せてから日ノ輪と私は従業員用の部屋に移動した。
それから私は先程のご婦人達から預かっていた伝言を日ノ輪に話した。
「ーーお客さんがそんなことを⁉︎ それ本当なんか?」
事情を聞きうろたえる日ノ輪に私は頷くことしかできなかった。
私があの時ご婦人達から聞いた内容は今日のイベントに関することだった。
派手に着飾った遊女が男性客を持て成すいかがわしい店だということ。また店は男性客ばかりで入りにくいという筋の通った意見もあった。
正直、伝えるべきか迷ったのだが、この店のためにも日ノ輪には知っておいて欲しいと思ったのだ。
「……なんでや、何が間違ってた?うちはただ甘味屋に負けずと新しいアイデアを……」
「……多分、それが原因だと思う」
「え?」
私の言葉に日ノ輪は戸惑い不意に俯いていた顔をあげる。私は日ノ輪の目を見て優しく話しかける。
「日ノ輪言ってたよね、青蘭の甘味屋に男性客を取られたって」
「そうやで、だからうちは」
「でもさ、喫茶店って男の人をチヤホヤしてお金を貰う店じゃないよね?」
「それは……」
「そりぁ、飲食店の競争はよくわからないし、どの店も生き残るのに必死だから部外者の私が口を挟める立場じゃない。けど、今日ノ輪がしていることは的外れだって流石に私でもわかるよ」
日ノ輪の顔色が次第に青ざめていく。
私はいたたまれない気持ちになるが拳を握りしめて己を鼓舞する。
「ねえ、よく思い出して?日ノ輪が望む光景は何だったのか。あんな新しくできた甘味屋の姑息な手段に惑わされちゃダメだよ。日ノ輪にとって何が一番大切かちゃんと考えなきゃ!」
「何が一番大切……か」
日ノ輪は目を閉じて自分の気持ちと向き合っているようだった。
「……思えばうち、甘味屋に勝つことばかりで目の前のお客さんの顔全然見えてなかった。ありがとな、蓮花はん。あんたのおかげで目が覚めた気がする」
どうやら日ノ輪は自分の誤ちを認めたようで心なしかスッキリした表情に見えた。
日ノ輪は私の両手を握りしめ笑顔で言葉を向けてきた。それが私には何だか照れ臭くつい目を逸らしてしまった。
次の日から日ノ輪はもう無茶振りな提案はしなくなり、私達も正式な仕事着で接客をすることになった。
店内はいつもの暖かい雰囲気に戻り、幅広い世代の客で賑わっていた。
私達が接客している間、見知った人物が突然店に顔を出す。そして厨房に佇む日ノ輪に気づき笑顔で声をかけた。
「こんにちは、日ノ輪さん」
「おお、誰かと思えば凛月はんやないか!店の方はいいんか?」
「ええ、ようやくひと段落ついたので休憩がてらにふたりの様子を見に来たんです」
「そうなんか。貴重な休憩使ってわざわざこんでもよかったのに」
凛月は店内を見回し私と翠玲に視線を移した。
「それで、ふたりはうまくやれていますか?」
「十分すぎるぐらい頑張ってくれてる。翠玲はんがおると店内は明るくなるし、蓮花はんは……」
「--蓮花さんがどうしました?」
急に日ノ輪の言葉が途切れる。不思議そうに顔を覗き込む凛月に日ノ輪は慌てて訂正した。
「ううん!なんでもない。とにかく、ふたりにお願いして正解だったって話や!あんさんも良い仲間を持ったな」
「ふっ、当然です。なにせ僕が信頼する人達ですから」
満足そうに語る凛月に日ノ輪は暖かい眼差しを向けた。
最後の客をもてなした後、すぐさま帰り支度に取り掛かる。支度が整った私達を見ると日ノ輪は依頼報酬として給料をくれた。
なんと封筒には予想より多くの金額が入っていた。
「え、こんなに貰えないよ⁉︎」
「ええんや受け取って。あんたらはうちの期待以上に依頼をこなしてくれた。働きに見合った報酬を渡すのが筋ってもんや」
そして日ノ輪は急に真剣な表情に変わり少し間をおいてから話出した。
「--それに、昨日のあんたの言葉、めっちゃ心に響いた」
「え?……あ、あれは、その勢いで……。その、ごめんなさい」
「謝る必要やない。依頼主のうちに気後れせずあんな堂々とものが言えるなんて寧ろ尊敬する。感動した!」
そう言って日ノ輪は私の手を再び握り真っ直ぐな言葉をぶつけてきた。
「うちと友達になってくれんか?そんでこれからうちもあんたのこと『蓮』って、呼んでもいいかな?」
「……日ノ輪。うん、もちろんだよ」
日ノ輪の望みを断る理由など私にはなかった。私がこの良郭に来て初めてできた友達。
私の答えをじっと待つ日ノ輪の手をそっと握り返し明るく同意した。
背後で翠玲が微笑ましそうにこちらを見ていたのがちょっぴり恥ずかしかった。
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