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第10話
依頼2 家事代行
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「う~ん、気持ちい!今日も良い天気ね」
眠い目を擦りながら私はいつもの時間に布団から起き上がる。それから窓を開けて差し込む太陽の光を浴びる。
紅玉堂に居候させてもらって早1週間、私は徐々にここの生活に馴染みつつあった。
借金の返済は凛月の交渉術の賜物で支払いは半分の額で済んだ。
あの取り立て屋が引き下がるなんて、あの人は一体何者なのか。何はともあれ私は晴れて自由になり有難いことに住まいや仕事も手に入ったのだった。
私は身支度を整え階段で下に降りると、厨房には朝早くから朝食の準備をしている凛月の姿があった。
「凛月さん、おはようございます!」
「おはようございます蓮花さん。昨夜はよく眠れましたか?」
「はい。胸の支えがおりたのか、ぐっすりです!」
「クスッ、昨日は依頼者へのお詫びの挨拶で気苦労が絶えませんでしたからね。もうすぐ朝食の用意ができますので翠玲を起こしてきてもらえますか?」
「了解です!」
寝起き癖が悪い翠玲を毎日叩き起こすのが私の役目になっていた。
朝食の時間は必ず3人揃ってから始まる。
今日は鶏粥と山菜の漬物という健康的な朝ごはんだった。
「そういえば、おふたりはこの後代行の依頼が入っていましたよね?」
鶏粥を口に運びながら凛月が尋ねる。
「はい。掃除と昼食の用意をお願いしたいとのことでした」
「くくくっ、料理ときたら私の出番だな?」
翠玲がわかりやすく調子に乗っている。
「翠玲、蓮花さん。くれぐれも粗相のないようにお願いしますよ」
『はい、気をつけます……』
凛月の警告に私と翠玲は気持ちを引き締める。
朝食が終わり食器を片付ける凛月に私は無理を承知であることをお願いした。意外にも凛月は二つ返事で私のわがままを承諾してくれたのだった。
依頼者のお宅に向かう途中、翠玲は空を見上げながら私に呟いた。
「ーーしかし、凛月にあのようなことを頼むとはな」
「何が?」
「その髪型さ。いきなり髪を短くしたいなんてどういう心境の変化だ?それに男性用の衣服の方がいいなんて変わっている」
翠玲は疑いの眼差しを私に向けていた。
無理もない。今の翠玲には私が別人に見えているはずだから。私は凛月に頼んで髪を短く切り揃えてもらい無理を言って男性の衣まで借りてきた。生まれつきガサツな性格のため私にとっては今の姿の方が合っているように感じた。
「別に深い意味はないわよ。男性の服の方が動きやすくてしっくりくるし、髪は……邪魔だったから切ってもらっただけ」
つい嘘をついてしまった。髪を切った本当の理由は過去の自分にけじめをつけたかったからだ。私なりの決意表明でもある。
「に、似合わない?」
イメージチェンジしてみたものの私は周りの反応が気になって仕方がなかった。しかし、翠玲は私の質問に笑顔で答えた。
「いや、蓮にとてもよく似合っている。私の次に美男子だな!」
私は内心顔から火が出るほど恥ずかしかった。
人から褒められることがこんなに嬉しいものだなんて。ニヤけた顔を翠玲に悟られないように私は後ろを向いて言葉を返した。
「一言余計よ!--でも、ありがとね」
私の言葉に翠玲は微笑んだ。
数時間して私達は依頼者の家に到着した。玄関で待ち構えていた老爺が優しく出迎えてくれた。
「代行屋さんですね?」
「ああ、いかにもーーん⁉︎」
私は慌てて翠玲の口を塞ぎ老爺に挨拶した。
「はい、そうです!この度はご依頼ありがとうございます。何かと不慣れではありますが本日は宜しくお願いします!」
「これはどうもご丁寧に。私は少し出かけますので後はよろしくお願いしますね」
「はい、お任せください!」
老爺が出て行くのを確認し、私は翠玲を解放した。
「ごほっ、こほっ……。な、何をする⁉︎」
「あんた正気?社交辞令くらい頭に入れておきなさいよね!」
「………うっ、気をつける」
意外にも素直に私の忠告を聞き入れていた。
私達は早速仕事に取り掛かかった。私は室内の掃除を料理が得意な翠玲は昼食の準備を担当することになった。仕事は何事もなく順調に……とはいかなかったが、何とかお昼前には家事を終えることができた。
「これはすごい!お昼も豪華ですね」
帰宅した老爺は食卓に並んだ豪勢な料理を見て声を弾ませる。
「当然だ。私が腕によりをかけて作ったからな!」
翠玲は鼻を人差し指で擦りながら満足そうにしていた。私は再び調子づく翠玲を注意しようとするが老爺に手で制された。
「ほほっ、お気になさらず。翠玲さんと言いましたかな?貴方みたいな人と暮らしたら楽しいでしょうな……あ、いたたっ」
老爺は話の途中で急に辛そうに肩を抑えた。
「大丈夫ですか⁉︎」
私は心配になり老爺の身を案じた。
「ええ、最近肩が凝っていましてね……」
ただの肩凝りにしてはかなり辛そうだ。
老爺が哀れだと感じた翠玲はある提案を投げかけた。
「よければ私が揉んで差し上げようか?」
老爺は翠玲の提案を受け入れ椅子に腰掛けた。
翠玲は老爺の背後に移動して施術を行った。
老爺が気持ちよさそうに翠玲に身を任せているのを見て自然に頬が緩んだ。
帰り際、老爺は私達に代金だけではなく手土産の饅頭まで持たせてくれた。
「ふ~、働いたね。お腹空いた~」
思ったより体力を消耗したせいか私は空腹感に苛まれていた。それを聞いた翠玲は懐から巾着を取り出して私に言った。
「よし、我々も昼飯にするか。凛月から飯代を恵んでもらったしな!」
「神様、仏様、凛月様~、ありがとうございます!」
私は天に浮かぶ凛月の顔に向かって祈りを捧げた。
近くに素敵な雰囲気の喫茶店があったので、そこでお昼をとることにした。
店員さんに案内され景色が良い窓際のテーブルに向かい合って座る。
「わあ、何これ⁉︎ こんなおしゃれな料理初めて見た!う~ん、こんなにあると迷っちゃうな~。ねぇ、ねぇ、翠玲は?どれにする?」
「………其方、妙にテンション高くないか?」
「や~ね、あんたが低いだけでしょう?すみません!注文したいんですけど~!」
「って、早っ⁉︎ 迷っていたんじゃなかったのか?」
私はわくわくしながら運ばれてきた料理に口をつけた。一口噛んだ瞬間、口の中に肉汁が広がっていく。
「ん~、幸せ!ここにして良かっ……⁉︎」
不意に視線を感じた私は後ろを振り返り店内を見回した。私の様子にいち早く気づいた翠玲が不思議そうに尋ねた。
「どうした?」
「今、誰かに見られていたような……。いや、気のせいだよね」
それからずっと食事の間も常に視線を感じ、店を出てからも途切れることはなかった。帰る道中、微かな足音がヒシヒシと背後から迫る気配を感じ取った。
私はきみが悪くなり小声で翠玲に話しかける。
「これ、明らかにつけられてるよね?」
「実は私も勘づいてはいた。軽い足取りからしておそらく子供だろう」
「どうする翠玲?」
「答えは決まっていよう、………走るぞ!」
私達は小走りで対象者との距離を引き離し、それから猛ダッシュで紅玉堂へと急いだ。
紅玉堂の玄関前では丁度凛月が庭の掃き掃除をしているところだった。
私達の姿を認識すると笑顔で手を振ってくれた。
「おや、おかえりなさい。随分と早かったですね?」
「り、り、凛月大変だ!」
「どうしたんです?そんなに慌てて」
「私達、誰かにつけられてるみたいなんです!」
「きっと、我々の命を狙っているに違いない!」
私達の報せに凛月は瞬時に状況を把握した。
「………わかりました。僕げ掛け合ってみますから、おふたりは中で大人しくしていてください!」
少し考え込んでから持っていたほうきを壁に立て掛け、私達の背中を押して店の中に入った。
私達の姿がないのを確認すると、私達を尾行していた人物も店に入るため動き出した。
「何か御用でしょうか?」
「わっ⁉︎」
が、店の入り口で佇む凛月にその人物は腰を抜かしてしまった。
「お兄さん、どういうつもりなん?いきなりびっくりするやないか⁉︎ 」
急に騒ぎ聲がして私と翠玲は凛月の後ろから恐る恐る顔を覗かせる。
そこには尻もちをついたひとりの可愛らしい少女が凛月に怒りをぶつけていた。
なぜ女の子がこの場にいるのか私は理解が追いつかなかった。
凛月は不機嫌な少女の顔を見下ろしながら質問した。
「ひとつお尋ねします。ふたりを尾行していたのは貴方ですね?」
凛月の単刀直入の質問に少女は図星を突かれたように慌てふためいた。
そして凛月の言葉に少女は必死に弁明を図った。
「び、尾行なんて人聞きの悪い⁉︎ うちはただ、そこにいるふたりに用があってやな……」
「え、私達に?」
「ーーもしや依頼か?」
翠玲の問いかけに少女はニヤリと笑って立ち上がり、ビシッと私達を指差して言い放った。
「うちは日ノ輪。代行屋、あんた達に依頼したいことがある!」
眠い目を擦りながら私はいつもの時間に布団から起き上がる。それから窓を開けて差し込む太陽の光を浴びる。
紅玉堂に居候させてもらって早1週間、私は徐々にここの生活に馴染みつつあった。
借金の返済は凛月の交渉術の賜物で支払いは半分の額で済んだ。
あの取り立て屋が引き下がるなんて、あの人は一体何者なのか。何はともあれ私は晴れて自由になり有難いことに住まいや仕事も手に入ったのだった。
私は身支度を整え階段で下に降りると、厨房には朝早くから朝食の準備をしている凛月の姿があった。
「凛月さん、おはようございます!」
「おはようございます蓮花さん。昨夜はよく眠れましたか?」
「はい。胸の支えがおりたのか、ぐっすりです!」
「クスッ、昨日は依頼者へのお詫びの挨拶で気苦労が絶えませんでしたからね。もうすぐ朝食の用意ができますので翠玲を起こしてきてもらえますか?」
「了解です!」
寝起き癖が悪い翠玲を毎日叩き起こすのが私の役目になっていた。
朝食の時間は必ず3人揃ってから始まる。
今日は鶏粥と山菜の漬物という健康的な朝ごはんだった。
「そういえば、おふたりはこの後代行の依頼が入っていましたよね?」
鶏粥を口に運びながら凛月が尋ねる。
「はい。掃除と昼食の用意をお願いしたいとのことでした」
「くくくっ、料理ときたら私の出番だな?」
翠玲がわかりやすく調子に乗っている。
「翠玲、蓮花さん。くれぐれも粗相のないようにお願いしますよ」
『はい、気をつけます……』
凛月の警告に私と翠玲は気持ちを引き締める。
朝食が終わり食器を片付ける凛月に私は無理を承知であることをお願いした。意外にも凛月は二つ返事で私のわがままを承諾してくれたのだった。
依頼者のお宅に向かう途中、翠玲は空を見上げながら私に呟いた。
「ーーしかし、凛月にあのようなことを頼むとはな」
「何が?」
「その髪型さ。いきなり髪を短くしたいなんてどういう心境の変化だ?それに男性用の衣服の方がいいなんて変わっている」
翠玲は疑いの眼差しを私に向けていた。
無理もない。今の翠玲には私が別人に見えているはずだから。私は凛月に頼んで髪を短く切り揃えてもらい無理を言って男性の衣まで借りてきた。生まれつきガサツな性格のため私にとっては今の姿の方が合っているように感じた。
「別に深い意味はないわよ。男性の服の方が動きやすくてしっくりくるし、髪は……邪魔だったから切ってもらっただけ」
つい嘘をついてしまった。髪を切った本当の理由は過去の自分にけじめをつけたかったからだ。私なりの決意表明でもある。
「に、似合わない?」
イメージチェンジしてみたものの私は周りの反応が気になって仕方がなかった。しかし、翠玲は私の質問に笑顔で答えた。
「いや、蓮にとてもよく似合っている。私の次に美男子だな!」
私は内心顔から火が出るほど恥ずかしかった。
人から褒められることがこんなに嬉しいものだなんて。ニヤけた顔を翠玲に悟られないように私は後ろを向いて言葉を返した。
「一言余計よ!--でも、ありがとね」
私の言葉に翠玲は微笑んだ。
数時間して私達は依頼者の家に到着した。玄関で待ち構えていた老爺が優しく出迎えてくれた。
「代行屋さんですね?」
「ああ、いかにもーーん⁉︎」
私は慌てて翠玲の口を塞ぎ老爺に挨拶した。
「はい、そうです!この度はご依頼ありがとうございます。何かと不慣れではありますが本日は宜しくお願いします!」
「これはどうもご丁寧に。私は少し出かけますので後はよろしくお願いしますね」
「はい、お任せください!」
老爺が出て行くのを確認し、私は翠玲を解放した。
「ごほっ、こほっ……。な、何をする⁉︎」
「あんた正気?社交辞令くらい頭に入れておきなさいよね!」
「………うっ、気をつける」
意外にも素直に私の忠告を聞き入れていた。
私達は早速仕事に取り掛かかった。私は室内の掃除を料理が得意な翠玲は昼食の準備を担当することになった。仕事は何事もなく順調に……とはいかなかったが、何とかお昼前には家事を終えることができた。
「これはすごい!お昼も豪華ですね」
帰宅した老爺は食卓に並んだ豪勢な料理を見て声を弾ませる。
「当然だ。私が腕によりをかけて作ったからな!」
翠玲は鼻を人差し指で擦りながら満足そうにしていた。私は再び調子づく翠玲を注意しようとするが老爺に手で制された。
「ほほっ、お気になさらず。翠玲さんと言いましたかな?貴方みたいな人と暮らしたら楽しいでしょうな……あ、いたたっ」
老爺は話の途中で急に辛そうに肩を抑えた。
「大丈夫ですか⁉︎」
私は心配になり老爺の身を案じた。
「ええ、最近肩が凝っていましてね……」
ただの肩凝りにしてはかなり辛そうだ。
老爺が哀れだと感じた翠玲はある提案を投げかけた。
「よければ私が揉んで差し上げようか?」
老爺は翠玲の提案を受け入れ椅子に腰掛けた。
翠玲は老爺の背後に移動して施術を行った。
老爺が気持ちよさそうに翠玲に身を任せているのを見て自然に頬が緩んだ。
帰り際、老爺は私達に代金だけではなく手土産の饅頭まで持たせてくれた。
「ふ~、働いたね。お腹空いた~」
思ったより体力を消耗したせいか私は空腹感に苛まれていた。それを聞いた翠玲は懐から巾着を取り出して私に言った。
「よし、我々も昼飯にするか。凛月から飯代を恵んでもらったしな!」
「神様、仏様、凛月様~、ありがとうございます!」
私は天に浮かぶ凛月の顔に向かって祈りを捧げた。
近くに素敵な雰囲気の喫茶店があったので、そこでお昼をとることにした。
店員さんに案内され景色が良い窓際のテーブルに向かい合って座る。
「わあ、何これ⁉︎ こんなおしゃれな料理初めて見た!う~ん、こんなにあると迷っちゃうな~。ねぇ、ねぇ、翠玲は?どれにする?」
「………其方、妙にテンション高くないか?」
「や~ね、あんたが低いだけでしょう?すみません!注文したいんですけど~!」
「って、早っ⁉︎ 迷っていたんじゃなかったのか?」
私はわくわくしながら運ばれてきた料理に口をつけた。一口噛んだ瞬間、口の中に肉汁が広がっていく。
「ん~、幸せ!ここにして良かっ……⁉︎」
不意に視線を感じた私は後ろを振り返り店内を見回した。私の様子にいち早く気づいた翠玲が不思議そうに尋ねた。
「どうした?」
「今、誰かに見られていたような……。いや、気のせいだよね」
それからずっと食事の間も常に視線を感じ、店を出てからも途切れることはなかった。帰る道中、微かな足音がヒシヒシと背後から迫る気配を感じ取った。
私はきみが悪くなり小声で翠玲に話しかける。
「これ、明らかにつけられてるよね?」
「実は私も勘づいてはいた。軽い足取りからしておそらく子供だろう」
「どうする翠玲?」
「答えは決まっていよう、………走るぞ!」
私達は小走りで対象者との距離を引き離し、それから猛ダッシュで紅玉堂へと急いだ。
紅玉堂の玄関前では丁度凛月が庭の掃き掃除をしているところだった。
私達の姿を認識すると笑顔で手を振ってくれた。
「おや、おかえりなさい。随分と早かったですね?」
「り、り、凛月大変だ!」
「どうしたんです?そんなに慌てて」
「私達、誰かにつけられてるみたいなんです!」
「きっと、我々の命を狙っているに違いない!」
私達の報せに凛月は瞬時に状況を把握した。
「………わかりました。僕げ掛け合ってみますから、おふたりは中で大人しくしていてください!」
少し考え込んでから持っていたほうきを壁に立て掛け、私達の背中を押して店の中に入った。
私達の姿がないのを確認すると、私達を尾行していた人物も店に入るため動き出した。
「何か御用でしょうか?」
「わっ⁉︎」
が、店の入り口で佇む凛月にその人物は腰を抜かしてしまった。
「お兄さん、どういうつもりなん?いきなりびっくりするやないか⁉︎ 」
急に騒ぎ聲がして私と翠玲は凛月の後ろから恐る恐る顔を覗かせる。
そこには尻もちをついたひとりの可愛らしい少女が凛月に怒りをぶつけていた。
なぜ女の子がこの場にいるのか私は理解が追いつかなかった。
凛月は不機嫌な少女の顔を見下ろしながら質問した。
「ひとつお尋ねします。ふたりを尾行していたのは貴方ですね?」
凛月の単刀直入の質問に少女は図星を突かれたように慌てふためいた。
そして凛月の言葉に少女は必死に弁明を図った。
「び、尾行なんて人聞きの悪い⁉︎ うちはただ、そこにいるふたりに用があってやな……」
「え、私達に?」
「ーーもしや依頼か?」
翠玲の問いかけに少女はニヤリと笑って立ち上がり、ビシッと私達を指差して言い放った。
「うちは日ノ輪。代行屋、あんた達に依頼したいことがある!」
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