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死ぬかと思ったよね
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結論からいうと、龍之介は帝王切開で可愛い赤子を出産した。
赤子の姿は人のかたちをしており、しかしその髪は金糸で、その瞳もまた金色であった。
「俺にもレイノルドにも似てないんだが…?」
「そうか?顔はリュウにそっくりだと思うぞ」
「え、俺黒目黒髪ですけど…」
「色ではなく、顔のつくりや表情ということだ」
「ええ…かわいそう…」
「なんでそうなる」
レイノルドのあきれたような声音に、だって!と龍之介は拳を握る。だってこんなにも規格外の美形の血をひいて生まれてきた子なのに、俺に似てしまったばっかりに美形とは縁遠い容姿になっちまうんだぜ!?と力説すると、「なにを馬鹿なことを」とレイノルドは龍之介の発言を一蹴した。
「私になど似るより、リュウに似た方が良いに決まっているだろう」
「なんでっ!?」
「そもそも、自分に似た子供であったなら、私はこんなにも愛しいとは思わなかった」
「………………」
い、いとしい…?
「なんだその顔は」
「いや、レイノルドにもそんな人並みの感情があったんだなと…」
「意外にもあったようだな」
「だよな?意外だよな!?」
「リュウに似ているんだ、可愛く思うに決まっているだろう」
「お、おぅ…」
なんだこれ、めっちゃ恥ずかしいんですけど……!?
なんて夫婦(?)の会話を繰り広げているレイノルドと龍之介であったが、今この瞬間にもふたりの子供は元気に龍之介のおっぱいを吸い続けていた。
最初は違和感しかなかった授乳も、今ではなんとも思わなくなっていた。レイノルドも然り、最初は対抗して同時に吸いつくなどの外道ぶりを遺憾なく発揮したレイノルドであったが、出産後10日も過ぎた頃には相応の落ち着きを取り戻していた。というのも、この10日間で赤子の顔が、かなりはっきりとしてきた為である。(要は龍之介に似てきた、と認識したわけである)
(マジで獣人の子って成長早いのな…)
今のところ獣人の要素はあまり見られないが、この異常な成長スピードは人の子ではまずあり得ない。
レイノルドの場合は魔物の血も混じっている為余計かもしれなかった。というか金色は魔物の血が色濃く出ている証拠かもしれませんねとエルヴィンには言われてしまっていた。
(とは言え、人の姿で産まれてきてくれて、俺は正直ホッとしたけどな)
流石によくわからない形で腹から飛び出してきていたなら、龍之介とてこうもすんなり受け入れられたかどうかはわからない。
それとも我が子は、どんな姿をしていてもやはり可愛いものなのだろうか?
「それにしてもよく飲むよなぁ…」
「右ばかり吸われて左が張るようなら、私が逆の乳首を吸ってやろうか?」
「うん、それは遠慮しとく…」
お前絶対いやらしい吸い方するからヤダ、と龍之介はレイノルドを睨みつける。
だが睨まれたレイノルドはなんだか満更でもなさそうな、幸せそうな顔をするばかりで、龍之介は少しばかり変な気持ちになってしまう。
(なんか、これって、ちょっといい夫婦みたいな空気じゃない?)
鬼畜外道だとばかり思っていたレイノルドにも、こんな一面があったなんて
痛い思いをして産んだ甲斐があったなあ、なぁんて思っていたのも束の間
後日、セックス解禁を言い渡されたレイノルドによって散々なドSプレイの数々を強要され、龍之介は心底泣くハメになるのだが
この時はまだ、そんなことはつゆも知らない龍之介であった。
赤子の姿は人のかたちをしており、しかしその髪は金糸で、その瞳もまた金色であった。
「俺にもレイノルドにも似てないんだが…?」
「そうか?顔はリュウにそっくりだと思うぞ」
「え、俺黒目黒髪ですけど…」
「色ではなく、顔のつくりや表情ということだ」
「ええ…かわいそう…」
「なんでそうなる」
レイノルドのあきれたような声音に、だって!と龍之介は拳を握る。だってこんなにも規格外の美形の血をひいて生まれてきた子なのに、俺に似てしまったばっかりに美形とは縁遠い容姿になっちまうんだぜ!?と力説すると、「なにを馬鹿なことを」とレイノルドは龍之介の発言を一蹴した。
「私になど似るより、リュウに似た方が良いに決まっているだろう」
「なんでっ!?」
「そもそも、自分に似た子供であったなら、私はこんなにも愛しいとは思わなかった」
「………………」
い、いとしい…?
「なんだその顔は」
「いや、レイノルドにもそんな人並みの感情があったんだなと…」
「意外にもあったようだな」
「だよな?意外だよな!?」
「リュウに似ているんだ、可愛く思うに決まっているだろう」
「お、おぅ…」
なんだこれ、めっちゃ恥ずかしいんですけど……!?
なんて夫婦(?)の会話を繰り広げているレイノルドと龍之介であったが、今この瞬間にもふたりの子供は元気に龍之介のおっぱいを吸い続けていた。
最初は違和感しかなかった授乳も、今ではなんとも思わなくなっていた。レイノルドも然り、最初は対抗して同時に吸いつくなどの外道ぶりを遺憾なく発揮したレイノルドであったが、出産後10日も過ぎた頃には相応の落ち着きを取り戻していた。というのも、この10日間で赤子の顔が、かなりはっきりとしてきた為である。(要は龍之介に似てきた、と認識したわけである)
(マジで獣人の子って成長早いのな…)
今のところ獣人の要素はあまり見られないが、この異常な成長スピードは人の子ではまずあり得ない。
レイノルドの場合は魔物の血も混じっている為余計かもしれなかった。というか金色は魔物の血が色濃く出ている証拠かもしれませんねとエルヴィンには言われてしまっていた。
(とは言え、人の姿で産まれてきてくれて、俺は正直ホッとしたけどな)
流石によくわからない形で腹から飛び出してきていたなら、龍之介とてこうもすんなり受け入れられたかどうかはわからない。
それとも我が子は、どんな姿をしていてもやはり可愛いものなのだろうか?
「それにしてもよく飲むよなぁ…」
「右ばかり吸われて左が張るようなら、私が逆の乳首を吸ってやろうか?」
「うん、それは遠慮しとく…」
お前絶対いやらしい吸い方するからヤダ、と龍之介はレイノルドを睨みつける。
だが睨まれたレイノルドはなんだか満更でもなさそうな、幸せそうな顔をするばかりで、龍之介は少しばかり変な気持ちになってしまう。
(なんか、これって、ちょっといい夫婦みたいな空気じゃない?)
鬼畜外道だとばかり思っていたレイノルドにも、こんな一面があったなんて
痛い思いをして産んだ甲斐があったなあ、なぁんて思っていたのも束の間
後日、セックス解禁を言い渡されたレイノルドによって散々なドSプレイの数々を強要され、龍之介は心底泣くハメになるのだが
この時はまだ、そんなことはつゆも知らない龍之介であった。
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