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折衷案
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そもそも龍之介は性欲が強かった。
だから妊娠したとしても、それなりに性行為には応じようと思っていた。
さすがに妊娠初期は控えるつもりであったが、手や口で抜いてやること自体は出来るだろうし、なんだったら外で適当に処理してきたって構わないとすら思っていた。というか、そう伝えていたのだ。
「…………にも関わらず、なんでみんな外で発散してこないわけ?」
龍之介とて、申し訳ないとは思っているのだ。まさかこんなにも悪阻がつらいものだとは思ってもいなかった。世のお母さま方には頭があがらない。この世にこんなに解決しない具合の悪さがあったなんて信じられない。
つまり、龍之介の性欲は今までにないくらい減退していたのである。ついでに言うと敏感な部分への過度な刺激も子宮の収縮に繋がってしまう為禁止とされた。よって乳首への愛撫もダメ。素股もダメ。こっちがオーガズムを感じること自体がもう危険行為なのだそうだ。
となるとこっちが応じられる行為はキスくらいになる。それもゲロゲロ吐いた口にキスさせるわけだからとてつもなく申し訳なく感じるし、だからと言って奴らのバカでかいちんこを咥えようなもんなら即えずいてしまう。なんというか喉奥を刺激されると反射で吐き気が込み上がってきてしまうのだ。仕方なしに手でやってやろうにも手で抜いたくらいで奴らの性欲が満たされるはずもなく、むしろこっちが腱鞘炎になる始末である。
「マジで、浮気が嫌なら愛人同士でヤるのがいちばん手っ取り早い解決策だと思ったんだけどな…」
「お前は俺がレイノルドに掘られてるのが見たいのか?」
「え、スピネルってそっちもイケるの?」
「今のレイノルドに力じゃ敵わないからな…」
「あぁ、そういう…」
つまり、腕力(魔力?)の強い方がタチになる、とそういう理屈なのだろうか…
「俺らは皆抱きたい側だからな」
「少しは俺の苦労も知った方がいいと思うんだけど…」
「自分はそもそも同性相手の経験はありませんでしたから」
「へえ?そうなんだ」
「レイノルドもバリタチだって話だしな。俺たち同士で性欲の発散をしようとしたら必然的に俺とエドがレイノルドに抱かれるコースだと思うぜ」
「……………」
「(エド黙っちゃった)」
「ま、レイノルドにも好みってもんがあるだろうし、エルヴィンの野郎も獣人とセックスするような趣味はないだろうし、この話はもうするなよ?」
わかったな、とスピネルに念押しされる龍之介であったが、そう言えばと思い出す。
(あの時、エルヴィンさんもスピネルもエドも怒ってたけど、レイノルドだけは……どんな顔してたか思い出せないんだよなぁ)
なんてことを考えた龍之介であった。
が、そんなことは口に出さずにただ沈黙する。
なんとなく不穏な空気を感じ取ったせいなのだが、その答えを龍之介が知るのは悪阻がひと段落した、その後でのことだった。
だから妊娠したとしても、それなりに性行為には応じようと思っていた。
さすがに妊娠初期は控えるつもりであったが、手や口で抜いてやること自体は出来るだろうし、なんだったら外で適当に処理してきたって構わないとすら思っていた。というか、そう伝えていたのだ。
「…………にも関わらず、なんでみんな外で発散してこないわけ?」
龍之介とて、申し訳ないとは思っているのだ。まさかこんなにも悪阻がつらいものだとは思ってもいなかった。世のお母さま方には頭があがらない。この世にこんなに解決しない具合の悪さがあったなんて信じられない。
つまり、龍之介の性欲は今までにないくらい減退していたのである。ついでに言うと敏感な部分への過度な刺激も子宮の収縮に繋がってしまう為禁止とされた。よって乳首への愛撫もダメ。素股もダメ。こっちがオーガズムを感じること自体がもう危険行為なのだそうだ。
となるとこっちが応じられる行為はキスくらいになる。それもゲロゲロ吐いた口にキスさせるわけだからとてつもなく申し訳なく感じるし、だからと言って奴らのバカでかいちんこを咥えようなもんなら即えずいてしまう。なんというか喉奥を刺激されると反射で吐き気が込み上がってきてしまうのだ。仕方なしに手でやってやろうにも手で抜いたくらいで奴らの性欲が満たされるはずもなく、むしろこっちが腱鞘炎になる始末である。
「マジで、浮気が嫌なら愛人同士でヤるのがいちばん手っ取り早い解決策だと思ったんだけどな…」
「お前は俺がレイノルドに掘られてるのが見たいのか?」
「え、スピネルってそっちもイケるの?」
「今のレイノルドに力じゃ敵わないからな…」
「あぁ、そういう…」
つまり、腕力(魔力?)の強い方がタチになる、とそういう理屈なのだろうか…
「俺らは皆抱きたい側だからな」
「少しは俺の苦労も知った方がいいと思うんだけど…」
「自分はそもそも同性相手の経験はありませんでしたから」
「へえ?そうなんだ」
「レイノルドもバリタチだって話だしな。俺たち同士で性欲の発散をしようとしたら必然的に俺とエドがレイノルドに抱かれるコースだと思うぜ」
「……………」
「(エド黙っちゃった)」
「ま、レイノルドにも好みってもんがあるだろうし、エルヴィンの野郎も獣人とセックスするような趣味はないだろうし、この話はもうするなよ?」
わかったな、とスピネルに念押しされる龍之介であったが、そう言えばと思い出す。
(あの時、エルヴィンさんもスピネルもエドも怒ってたけど、レイノルドだけは……どんな顔してたか思い出せないんだよなぁ)
なんてことを考えた龍之介であった。
が、そんなことは口に出さずにただ沈黙する。
なんとなく不穏な空気を感じ取ったせいなのだが、その答えを龍之介が知るのは悪阻がひと段落した、その後でのことだった。
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