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油断大敵
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(えらい目にあった……)
ぐったりとした様子を隠そうともせず、龍之介は早々にベッドに入る。
あの後戻ってきた狼くんを落ち着かせるのが思った以上に大変だった。
狼くんが言うにはエルヴィンがなんらかの幻術を使って自分と龍之介を物理的に引き離し、意図的に自分を龍之介のそばから追い出したのだと主張したのだ。
そりゃあもう物凄い剣幕である。狼くんはエルヴィンに対し今から決闘でもすんのか?みたいな猛抗議を繰り出し、それに対してエルヴィンの方は知らぬ存ぜぬを貫き通す始末。スピネルもレイノルドもいない状態でのこのふたりの喧嘩を龍之介が止められるわけもなく、結局何故か戻ってきてくれたロジアンに仲裁してもらい、なんとか事なきを得たのだが…
(5歳児に場をおさめてもらう情けなさよ…)
マジで不甲斐ない。マジ無能。
こんな時は寝るに限る、と龍之介はひとりベッドで丸くなる。ひとりで寝るのは久しぶりのことだった。レイノルドがいない時は愛人ふたりと交互に寝ていたし、酷い時(?)は3人で寝たりもしていた為妙にベッドが広く感じる。龍之介は基本何処でも直ぐに眠れるタチなので隣に誰がいても引っ付かれてもわりとすぐに寝落ちしてしまえる体質だった。なのでこの時もすぐに寝てしまえると、そう思っていた。
のだが、なんだか妙に寝つけない。
(…………ん、なんだこれ…?)
その内に、尻の付近が微妙に濡れている気がしてきた。もしかして、生理……?とサッと青ざめる。が、すぐに違うなと気付く。これは内からの分泌物ではない。というかこれ、この感触は──……
「スライムっ!?なんでっ!?」
ガバっと上半身を起こしシーツを捲り上げる。そして慌てて下半身を露出して確認してみると、そこには元気に蠢くスライムの姿があるではないか。なんで?というかいつの間にベッドに入り込んだんだっ!?
「ちょ、ちょちょちょい待ち!待て、待って!今日はいいから、必要ないからっ」
龍之介は慌てて尻の中に入り込もうとするスライムを捕まえようと手を伸ばす。が、何故かスライムはつるんと逃げる。まるで明確な意思を持って龍之介から逃れるようにヌルヌルと下半身を這いまわりはじめるではないか。
(なんで……?まさか俺のこと、餌をくれる人とか思ってる??)
確かに精子や排泄物を食べてくれるのは有り難いし、便利な部分もあった。
なのでなんとなく、魔物といえど最近はこのスライムに気を許している節もあった。何よりレイノルドが使役している限り、スライムが龍之介に危害を加えることは決してない。その安心感が油断に繋がっていたことに、今この瞬間ようやく龍之介は自覚した。
(スライムとはいえ、魔物は魔物だった……!)
ここでスライムが勝手な行動を取ったとて、それを制止するだけの術は龍之介にはないのである。
「ヤバ、詰んだ……かも…?」
そんな単純な事実に気が付いた時にはもう遅かった。
スライムは龍之介の抵抗などまるで意に介さずに、ヌプンと尻の奥まで侵入してきたのである。
ぐったりとした様子を隠そうともせず、龍之介は早々にベッドに入る。
あの後戻ってきた狼くんを落ち着かせるのが思った以上に大変だった。
狼くんが言うにはエルヴィンがなんらかの幻術を使って自分と龍之介を物理的に引き離し、意図的に自分を龍之介のそばから追い出したのだと主張したのだ。
そりゃあもう物凄い剣幕である。狼くんはエルヴィンに対し今から決闘でもすんのか?みたいな猛抗議を繰り出し、それに対してエルヴィンの方は知らぬ存ぜぬを貫き通す始末。スピネルもレイノルドもいない状態でのこのふたりの喧嘩を龍之介が止められるわけもなく、結局何故か戻ってきてくれたロジアンに仲裁してもらい、なんとか事なきを得たのだが…
(5歳児に場をおさめてもらう情けなさよ…)
マジで不甲斐ない。マジ無能。
こんな時は寝るに限る、と龍之介はひとりベッドで丸くなる。ひとりで寝るのは久しぶりのことだった。レイノルドがいない時は愛人ふたりと交互に寝ていたし、酷い時(?)は3人で寝たりもしていた為妙にベッドが広く感じる。龍之介は基本何処でも直ぐに眠れるタチなので隣に誰がいても引っ付かれてもわりとすぐに寝落ちしてしまえる体質だった。なのでこの時もすぐに寝てしまえると、そう思っていた。
のだが、なんだか妙に寝つけない。
(…………ん、なんだこれ…?)
その内に、尻の付近が微妙に濡れている気がしてきた。もしかして、生理……?とサッと青ざめる。が、すぐに違うなと気付く。これは内からの分泌物ではない。というかこれ、この感触は──……
「スライムっ!?なんでっ!?」
ガバっと上半身を起こしシーツを捲り上げる。そして慌てて下半身を露出して確認してみると、そこには元気に蠢くスライムの姿があるではないか。なんで?というかいつの間にベッドに入り込んだんだっ!?
「ちょ、ちょちょちょい待ち!待て、待って!今日はいいから、必要ないからっ」
龍之介は慌てて尻の中に入り込もうとするスライムを捕まえようと手を伸ばす。が、何故かスライムはつるんと逃げる。まるで明確な意思を持って龍之介から逃れるようにヌルヌルと下半身を這いまわりはじめるではないか。
(なんで……?まさか俺のこと、餌をくれる人とか思ってる??)
確かに精子や排泄物を食べてくれるのは有り難いし、便利な部分もあった。
なのでなんとなく、魔物といえど最近はこのスライムに気を許している節もあった。何よりレイノルドが使役している限り、スライムが龍之介に危害を加えることは決してない。その安心感が油断に繋がっていたことに、今この瞬間ようやく龍之介は自覚した。
(スライムとはいえ、魔物は魔物だった……!)
ここでスライムが勝手な行動を取ったとて、それを制止するだけの術は龍之介にはないのである。
「ヤバ、詰んだ……かも…?」
そんな単純な事実に気が付いた時にはもう遅かった。
スライムは龍之介の抵抗などまるで意に介さずに、ヌプンと尻の奥まで侵入してきたのである。
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