198 / 242
最早別人
しおりを挟む
「見た目……違わない?」
『今日は主導権を渡して貰ったが故に、特性が前面に出ているのであろう』
「特性……」
これを特性の一言で片付けていいのか…?と龍之介は思う。もうこれ、ほぼ別人じゃねえかよ…
一日あけて再びレイノルドとの子作りの日がやってきた。
レイノルドの私室に時間通り足を運ぶと、そこにはレイノルドのようでいてレイノルドでは全くない男が立っていた。
(魔人に主導権を譲るってこういうこと…?)
顔はうっすらレイノルドの面影があるが、褐色の肌のレイノルドに対し目の前の男は透けるような白い肌で、その左眼はしっかりと視力を取り戻しているようにも見えた。そして、何より髪が伸びている。腰まである。なにこれこわい…
「俺……レイノルドと子作りするつもりで来たんだけど、お前もう殆ど別人じゃん…?」
『そんなことはない。これは間違いなくレイノルドの肉体であるぞ?』
「そういうこと言ってんじゃねえんだよ」
と、龍之介は思わず語尾を強める。肉体がレイノルドでも見た目も中身も別人だったらもうそれはレイノルドじゃねえだろうが、と龍之介は溜息を吐く。何故こんな普通の話がすんなり通らないのだろうか?というかレイノルドはいったいどういうつもりでこの状態をOKしたのだろうか、全くもって意味がわからない…!
『ふむ、見た目が気に食わぬか』
「見た目の問題じゃ……ていうかその顔はほぼダームウェルだろ、おかしな気分になるからやめて欲しいっていうか…」
『愚弟の臭いがするな。ふふ、あれも大概過去に縛られておる』
「?」
どれ、愚弟のように抱いてやろうかと魔人は龍之介をベットの上に押し倒す。そのまま何処からかシュルシュルと触手が伸びてきて、シーツの上で手足を拘束されてしまった。その流れるような一連の動作に龍之介は文句を言う隙も与えられなかった。
『人間とまじわるのは久方ぶりよ、じゃがまあこの肉体なら傷をつけることもなかろうて』
「えっ、いやいや……ちょっと待ってちょっと待て、俺まだお前とするって言ってな……」
『愚弟とはしたのであろう?ならば我とも構わぬじゃろ』
「構うわ!お前とダームウェルじゃ全然違うっつーの!そもそもダームウェルは俺を抱く時に触手なんか使わなかったしっ…」
『ふうむ?ああ……そう言えば、ユウも嫌っておったな、触手を使うのは』
それを覚えていたから使わなかったのであろう、と魔人は言った。決して龍之介のことを慮ったわけではないのだと、諭す様に魔人は続ける。
『あれはそういう男よ。優しい振りで優しい言葉を話すかもしれぬが心の内では何も感じてはいない。あれの心は空洞よ。ユウが死んだ時、愚弟の心も共に消えた』
故に今の愚弟は亡霊だと魔人は続ける。悪いけど、何言ってるか全然わからん。そんなことより勝手に服を脱がしにかかるな!と龍之介は身を捩る。無駄な抵抗とわかっていても、おとなしく抱かれる気にはなれなかった。こんな状況でダームウェルの悪口を聞かされるのも御免である。
『今日は主導権を渡して貰ったが故に、特性が前面に出ているのであろう』
「特性……」
これを特性の一言で片付けていいのか…?と龍之介は思う。もうこれ、ほぼ別人じゃねえかよ…
一日あけて再びレイノルドとの子作りの日がやってきた。
レイノルドの私室に時間通り足を運ぶと、そこにはレイノルドのようでいてレイノルドでは全くない男が立っていた。
(魔人に主導権を譲るってこういうこと…?)
顔はうっすらレイノルドの面影があるが、褐色の肌のレイノルドに対し目の前の男は透けるような白い肌で、その左眼はしっかりと視力を取り戻しているようにも見えた。そして、何より髪が伸びている。腰まである。なにこれこわい…
「俺……レイノルドと子作りするつもりで来たんだけど、お前もう殆ど別人じゃん…?」
『そんなことはない。これは間違いなくレイノルドの肉体であるぞ?』
「そういうこと言ってんじゃねえんだよ」
と、龍之介は思わず語尾を強める。肉体がレイノルドでも見た目も中身も別人だったらもうそれはレイノルドじゃねえだろうが、と龍之介は溜息を吐く。何故こんな普通の話がすんなり通らないのだろうか?というかレイノルドはいったいどういうつもりでこの状態をOKしたのだろうか、全くもって意味がわからない…!
『ふむ、見た目が気に食わぬか』
「見た目の問題じゃ……ていうかその顔はほぼダームウェルだろ、おかしな気分になるからやめて欲しいっていうか…」
『愚弟の臭いがするな。ふふ、あれも大概過去に縛られておる』
「?」
どれ、愚弟のように抱いてやろうかと魔人は龍之介をベットの上に押し倒す。そのまま何処からかシュルシュルと触手が伸びてきて、シーツの上で手足を拘束されてしまった。その流れるような一連の動作に龍之介は文句を言う隙も与えられなかった。
『人間とまじわるのは久方ぶりよ、じゃがまあこの肉体なら傷をつけることもなかろうて』
「えっ、いやいや……ちょっと待ってちょっと待て、俺まだお前とするって言ってな……」
『愚弟とはしたのであろう?ならば我とも構わぬじゃろ』
「構うわ!お前とダームウェルじゃ全然違うっつーの!そもそもダームウェルは俺を抱く時に触手なんか使わなかったしっ…」
『ふうむ?ああ……そう言えば、ユウも嫌っておったな、触手を使うのは』
それを覚えていたから使わなかったのであろう、と魔人は言った。決して龍之介のことを慮ったわけではないのだと、諭す様に魔人は続ける。
『あれはそういう男よ。優しい振りで優しい言葉を話すかもしれぬが心の内では何も感じてはいない。あれの心は空洞よ。ユウが死んだ時、愚弟の心も共に消えた』
故に今の愚弟は亡霊だと魔人は続ける。悪いけど、何言ってるか全然わからん。そんなことより勝手に服を脱がしにかかるな!と龍之介は身を捩る。無駄な抵抗とわかっていても、おとなしく抱かれる気にはなれなかった。こんな状況でダームウェルの悪口を聞かされるのも御免である。
60
お気に入りに追加
1,648
あなたにおすすめの小説

異世界のオークションで落札された俺は男娼となる
mamaマリナ
BL
親の借金により俺は、ヤクザから異世界へ売られた。異世界ブルーム王国のオークションにかけられ、男娼婦館の獣人クレイに買われた。
異世界ブルーム王国では、人間は、人気で貴重らしい。そして、特に日本人は人気があり、俺は、日本円にして500億で買われたみたいだった。
俺の異世界での男娼としてのお話。
※Rは18です
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる