社畜サラリーマンの優雅な性奴隷生活

簡単じゃないよね

レイノルドによる王位簒奪（？）はアッサリと終幕を迎えた。
まあ簒奪というには全てがおあつらえ向きで、予定調和であったわけだけど…

スピネルは手筈通りに死んだ振りをし（仮死状態になる薬を飲んだのだそうだ）スピネルの築いたハーレムは解散を余儀なくされた。
ただひとり、龍之介を除いては。


「人殺し！！」
「お前が死ねばよかったのに！！」
「なんでお前だけ残るの！？おかしいじゃない！！」

案の定、スピネルを殺したレイノルドよりヘイトを集めてしまった。妃たちの憎しみを一身に浴びて、龍之介は心の中で悲鳴をあげる。

（これ、呪い殺されたりしないよな？）

事前に加護を授けてもらっといて良かった、と龍之介は思う。でなければ今この瞬間にも飛びかかられそうな形相をしていた。そのくらいスピネルを愛していたのかと思うと流石に気の毒に思えるが、その愛情の一欠片でも今いる子供たちに対して向けてくれていたら…なんてことを考えないわけでもない。

（ニルとロジアンは母親との関係は最悪だって言ってたけど、せめて双子たちは…って思ったんだけどな…）

双子たちの母親からの返答は、龍之介の期待するようなものではなかった。要するに、子供の世話などするつもりはないと言われてしまったのだ。

そう言われてしまえば、彼女たちには国外に出て行ってもらうしかない。レイノルドは遺恨を残すくらいなら殺してしまおうと言ったのだが、龍之介とスピネルが反対したのである。レイノルドの思考が過激派過ぎて怖い。

だがそんな内情など知らない彼女たちの怒りの矛先は当然のように龍之介に向けられた。加護が外れひとりずつ指輪の返還をする為一堂に集められたこの場所で、妃たちは口々に呪いの言葉を口にする。

「どの面下げてそこにいるの！？スピネル様から新しい王に寝返るなんて！！恥知らず！恩知らず！死ね！死んで贖え！！末代まで呪われろ！！」
「……………よし、殺そう」
「やめ、レイノルド立ち上がるなっ、ちょ、マジで勘弁して…！！」

今にも腕を振り上げて殺しにかかろうとするレイノルドにしがみつき、必死で止めようとする龍之介であったが
残念ながらその様子は傍から見るとイチャついているようにしか見えなかった。
よって、余計に妃たちの反感を買っていたことを龍之介は知らない。なんとも報われない話である。

レイノルドは後宮に配属されていたメイドや使用人についても纏めて処分した。勤務態度によっては再就職先を斡旋したが、その多くは同じように国外追放とした。（龍之介に対する嫌がらせに加担した為である）護衛騎士については本人の意思を尊重しつつ、軍属に戻りたい者には席を用意するとしたが、残ったところでレイノルドによるパワハラを受けることは確定している為、中々厳しい道と言わざるを得ない。