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エルフの性事情
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(よく、わからないこともあるけど…)
エルヴィンがレイノルドの都合より、龍之介に対する気遣いの方を優先してくれたということだけは、なんとなく理解出来た。
「…ええと、ありがとうございます」
今の話を聞いて、怖くないのかと問われれば確かに怖い。
だが、何も知らずにレイノルドの子を妊娠し、生まれてから今の話を聞かされるよりは遥かに良かったと、そう思う。その可能性を知った上で結果を見るのと、知らずにその事実を受け入れるのとではこちらの心構えも全然違ってくるからだ。
(まあそもそも、その前にちゃんと出産出来るかどうかすら怪しい話みたいだけど…)
よくもまあこんな大事なことを、レイノルドは自分に話さずに通そうとしていたものだ。ほんと、そういうとこだぞ、レイノルド…
(ま、実際、レイノルドはそこまで深く考えてないだけなんだろうけど…)
悪気はないのだ、多分。そこがレイノルドのレイノルドたる所以なのだろうが。
故に、龍之介は思う。やはりレイノルドにはエルヴィンという存在が、必要不可欠なのではないのかと。
「教えてもらって、助かりました。後はまあ、エドやスピネルとよく話し合って決めますよ」
「…………意外に、落ち着いた対応ですね。もっと感情的になって、喧しく罵るかと思ってました」
「えっ、レイノルドをですか?いやー、怒りたいのは山々ですけど、きっとアイツには何言ったって響かないですよ、どうせ」
「どうせ…」
「そう、どうせ文句言ったって大丈夫の一言で片付けられるのがオチです。怒るだけ無駄ですよ、きっと」
「…………あなたは思っていたより、ずっとレイノルド様のことを理解しているようですね」
そこで、漸くエルヴィンはくっ、となんのてらいもなく笑った。
その時初めて、龍之介はエルヴィンの笑った顔を、しっかり見た気がした。笑うと案外優しい顔つきになるんだな、なんてことを素で考えていると、部屋の隅に待機していたはずの狼くんが気づけば真後ろに立っていた。え、近っ
「…………そんなに警戒しなくとも、私は彼のハーレムには加わりませんよ」
「はっ!?エ、エルヴィンさん、何言って…!」
「生憎私は同種族同士でしかセックスしない主義なので」
「あ、あー……前もそんなこと言ってましたね、確か…」
だからうさぎさんからの熱烈なアプローチにも靡かなかったのだ。ということは、エルヴィンはエルフとしかセックスしないということになる。
「エルフって、そんなにホイホイそこら中にいるもんなんですか?」
「いませんね。基本エルフは森から出てこないので」
「えっ、じゃあエルヴィンさんてムラムラした時どうしてるんですか?ま、まさか自分で処理して…?」
「龍之介様、話が逸れてます」
「ファッ!?……あっ、エ、エド、そうだな、えっと……えっと…」
「ご想像にお任せします」
「あっ、ハイ…」
なんかすみませんでした、と龍之介が謝って、その場はお開きとなった。そして、狼くんからの視線は、暫く冷たいままなのであった…。
エルヴィンがレイノルドの都合より、龍之介に対する気遣いの方を優先してくれたということだけは、なんとなく理解出来た。
「…ええと、ありがとうございます」
今の話を聞いて、怖くないのかと問われれば確かに怖い。
だが、何も知らずにレイノルドの子を妊娠し、生まれてから今の話を聞かされるよりは遥かに良かったと、そう思う。その可能性を知った上で結果を見るのと、知らずにその事実を受け入れるのとではこちらの心構えも全然違ってくるからだ。
(まあそもそも、その前にちゃんと出産出来るかどうかすら怪しい話みたいだけど…)
よくもまあこんな大事なことを、レイノルドは自分に話さずに通そうとしていたものだ。ほんと、そういうとこだぞ、レイノルド…
(ま、実際、レイノルドはそこまで深く考えてないだけなんだろうけど…)
悪気はないのだ、多分。そこがレイノルドのレイノルドたる所以なのだろうが。
故に、龍之介は思う。やはりレイノルドにはエルヴィンという存在が、必要不可欠なのではないのかと。
「教えてもらって、助かりました。後はまあ、エドやスピネルとよく話し合って決めますよ」
「…………意外に、落ち着いた対応ですね。もっと感情的になって、喧しく罵るかと思ってました」
「えっ、レイノルドをですか?いやー、怒りたいのは山々ですけど、きっとアイツには何言ったって響かないですよ、どうせ」
「どうせ…」
「そう、どうせ文句言ったって大丈夫の一言で片付けられるのがオチです。怒るだけ無駄ですよ、きっと」
「…………あなたは思っていたより、ずっとレイノルド様のことを理解しているようですね」
そこで、漸くエルヴィンはくっ、となんのてらいもなく笑った。
その時初めて、龍之介はエルヴィンの笑った顔を、しっかり見た気がした。笑うと案外優しい顔つきになるんだな、なんてことを素で考えていると、部屋の隅に待機していたはずの狼くんが気づけば真後ろに立っていた。え、近っ
「…………そんなに警戒しなくとも、私は彼のハーレムには加わりませんよ」
「はっ!?エ、エルヴィンさん、何言って…!」
「生憎私は同種族同士でしかセックスしない主義なので」
「あ、あー……前もそんなこと言ってましたね、確か…」
だからうさぎさんからの熱烈なアプローチにも靡かなかったのだ。ということは、エルヴィンはエルフとしかセックスしないということになる。
「エルフって、そんなにホイホイそこら中にいるもんなんですか?」
「いませんね。基本エルフは森から出てこないので」
「えっ、じゃあエルヴィンさんてムラムラした時どうしてるんですか?ま、まさか自分で処理して…?」
「龍之介様、話が逸れてます」
「ファッ!?……あっ、エ、エド、そうだな、えっと……えっと…」
「ご想像にお任せします」
「あっ、ハイ…」
なんかすみませんでした、と龍之介が謝って、その場はお開きとなった。そして、狼くんからの視線は、暫く冷たいままなのであった…。
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