社畜サラリーマンの優雅な性奴隷生活

オジサンは何才からですか

（つ、つかれた～～…）

自室に戻った龍之介はいの一番にベッドに突っ伏す。ちょっともう無理、色々無理。話が濃過ぎ。


「つまりレイノルド様と王が内々に手を組んで、権力を移動させるということでしょうか」
「…よくわかんねーけど、レイノルドがスピネルを倒したら、今いる妃たちを解散させられるだろ？だから…」
「龍之介様だけを残して、後は追放。そして一時的にレイノルド様がこの国の王となられるという筋書きでしょうか？確かに、レイノルド様にも王家の血は流れていますから、王を倒すだけの力を見せられれば臣下たちも認めざるを得ないでしょう。しかし…」

問題は、倒されたスピネルを殺さずに生かしておけるのか？ということである。
いかにスピネルが賢王であっても、長く続いた因習をすぐに止めることは困難だろう。
そもそもレイノルドがそんな面倒なことに手を貸すとは到底思えない。レイノルドの得になることなどこれっぽっちもあるようには思えないからだ。
しかし、狼くん的には「そうですか？」と首を傾げている。なんだか若干ソワソワしているように見えるのは気のせいだろうか…

「レイノルド様にも、メリットはあると思いますよ」
「例えば、どんな？」
「王の子を産んで成人まで育てれば、妃は不老の力を手にできます。寿命の短い人間の龍之介様にとっては、悪い話ではないはずです。不老になれば、体内の時間も止まりますから」
「えっ…で、でも今から妊娠して出産して成人になるまで育ててたら、俺結構なオッサンになってると思うんだけど…？」

オッサンの状態で不老になっても、果たしてレイノルドは喜ぶのだろうか？

「獣人の成人は7才です。それに、妊娠期間は大体3、4ヶ月ですよ」
「え、みじかっ」
「半獣のレイノルド様のお子を身籠ったとしても、妊娠期間はそれ程変わらないはずです。なので、もし近々に妊娠出産をされるのであれば、ご心配されるほどの容姿の変貌はないのではないかと…」
「………………」

確かに俺は今、まだ20代前半だ。ここから7、8年経ったとして、狼くんの言う通り妊娠出産からの育児を経験したとしてもまだ30ちょいといったところだろう。

（30代は立派なオッサン…とはいえ、まだそれなりに若いといえば若いような気もする…）


んんん、と龍之介は唸る。こんなことを考えるのはかなり打算的に思える。が、この条件なら確かにレイノルドはうんと言うかもしれない、と龍之介は思った。

（王との決闘は正式なものだから、手加減とか不正は通用しない。闘うならお互いに全力を出さないといけないって、そう聞いた…）

スピネルは現時点ではニールネルにもロジアンにも負けることはないと言っていた。それに、これまでにも何人か成人し、挑んできた子供たちはいたのだそうだ。その際、スピネルは手加減なくこれらの子供たちを手にかけたと聞いている。手心を加えて生かしても、その後家臣たちによって拘束され飼い殺し、もしくは拷問の上投獄されるからだそうだ。
そうなるくらいなら殺してくれと、どの子供らも言うのだそうだ。王に挑む時点で死ぬ覚悟は出来ているからと。

（そんなスピネルでさえ、レイノルドには敵わないと思っている。クーデターなんて言ってたけど、これはわりと正攻法な気がしてきたぞ…）

しかし、だからと言ってこの話をすんなり良策とは思えない龍之介であった。
だってこれ、俺が妊娠出産するの確定の話だよね？