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不穏な企み
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「孕ませ…られたんだ…」
「まあ正直、いったいどういう経緯で妊娠出産したのか詳しいことはわかっていない。そもそも誰も追求しなかったからな」
「追求しないもんなんだ…?」
「あの人がレイノルドを連れて王宮に戻ってきた時、誰も血縁を疑わなかったからな。レイノルドは父親に瓜二つの容姿をしていたから」
「ああ…」
レイノルドの顔に瓜二つというのなら、そりゃあその父親とやらも美形だったに違いない。しかもその顔で魔物にしか欲情しないなんて、宝の持ち腐れもいいところである。想像しただけで妙な気分になる…ような…ならないような…
「まあでも、いくら悪魔の血が混じってるとはいえ魔物に子育ては無理だったみたい。早々に母親は逃げ出したんですって」
「えっ、……レイノルドのこと、捨てたってこと?」
「父親共々な」
「そ、そうなんだ…」
「その後、父親も女を追いかけて行方を眩ませちまった。結局、レイノルドはひとり王宮に取り残されたってわけ」
「え…父親までレイノルドのこと置いてったの!?な、なんで!?」
「なんでって、そりゃ子供より嫁の方が大事だったんだろ」
「そんなぁ」
レイノルドがいくつの時の話か知らないが、あんまりである。流石に気の毒なんてレベルの話ではない。勝手過ぎて腹が立ってくる。
「……でもね、レイノルドさんがいると、女の人が狂っちゃうのよね」
「(狂う!?)」
「みんなレイノルドに惚れちゃうんだよな。あれはちょっと異様な光景だったぜ」
「だから先代の王様に王宮を追い出されちゃったの。でもその後、国内を転々としつつも気が付いたら国外で貴族になってるんですもの、すごい適応能力よねえ?」
「………まるで見てきたように話すな、ニールネル」
「お母様の記録箱に当時の記憶が保存されていたのよ。お母様もレイノルドさんのファンだったみたいね?」
「親の記憶、勝手に盗み見すんなよ…」
「盗み見出来る場所に置いておくほうが悪いでしょ」
ニールネルは悪びれない。ツッコミどころ満載の会話だが、とりあえず龍之介はそもそもの疑問を恐る恐る口にしてみる。実はずっと、この話の間中疑問に思っていたのだ。
「…………で、レイノルドの出生と俺が妃たちを追い出すことになんの関係が…?」
マジでわからん、と龍之介はニールネルとスピネルを交互に見る。すると、スピネルはこれまたニヤリと笑った。
「レイノルドが獣人国に戻ってくれば、龍之介の言っていたことが実現可能になるかもしれないぞ?」
「え」
「レイノルドがその気になれば、この国なんざ軽々征圧出来るだろうさ」
「えっと…」
つまり、どういうこと?と聞くと、実にあっさりとした単純明快な答えが返ってきた。
「つまり、クーデターを起こすのさ」
「まあ正直、いったいどういう経緯で妊娠出産したのか詳しいことはわかっていない。そもそも誰も追求しなかったからな」
「追求しないもんなんだ…?」
「あの人がレイノルドを連れて王宮に戻ってきた時、誰も血縁を疑わなかったからな。レイノルドは父親に瓜二つの容姿をしていたから」
「ああ…」
レイノルドの顔に瓜二つというのなら、そりゃあその父親とやらも美形だったに違いない。しかもその顔で魔物にしか欲情しないなんて、宝の持ち腐れもいいところである。想像しただけで妙な気分になる…ような…ならないような…
「まあでも、いくら悪魔の血が混じってるとはいえ魔物に子育ては無理だったみたい。早々に母親は逃げ出したんですって」
「えっ、……レイノルドのこと、捨てたってこと?」
「父親共々な」
「そ、そうなんだ…」
「その後、父親も女を追いかけて行方を眩ませちまった。結局、レイノルドはひとり王宮に取り残されたってわけ」
「え…父親までレイノルドのこと置いてったの!?な、なんで!?」
「なんでって、そりゃ子供より嫁の方が大事だったんだろ」
「そんなぁ」
レイノルドがいくつの時の話か知らないが、あんまりである。流石に気の毒なんてレベルの話ではない。勝手過ぎて腹が立ってくる。
「……でもね、レイノルドさんがいると、女の人が狂っちゃうのよね」
「(狂う!?)」
「みんなレイノルドに惚れちゃうんだよな。あれはちょっと異様な光景だったぜ」
「だから先代の王様に王宮を追い出されちゃったの。でもその後、国内を転々としつつも気が付いたら国外で貴族になってるんですもの、すごい適応能力よねえ?」
「………まるで見てきたように話すな、ニールネル」
「お母様の記録箱に当時の記憶が保存されていたのよ。お母様もレイノルドさんのファンだったみたいね?」
「親の記憶、勝手に盗み見すんなよ…」
「盗み見出来る場所に置いておくほうが悪いでしょ」
ニールネルは悪びれない。ツッコミどころ満載の会話だが、とりあえず龍之介はそもそもの疑問を恐る恐る口にしてみる。実はずっと、この話の間中疑問に思っていたのだ。
「…………で、レイノルドの出生と俺が妃たちを追い出すことになんの関係が…?」
マジでわからん、と龍之介はニールネルとスピネルを交互に見る。すると、スピネルはこれまたニヤリと笑った。
「レイノルドが獣人国に戻ってくれば、龍之介の言っていたことが実現可能になるかもしれないぞ?」
「え」
「レイノルドがその気になれば、この国なんざ軽々征圧出来るだろうさ」
「えっと…」
つまり、どういうこと?と聞くと、実にあっさりとした単純明快な答えが返ってきた。
「つまり、クーデターを起こすのさ」
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